スワロフスキーのツリー | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして


幻のツリー
感謝祭すらまだなのに、街のあちらこちらで見かけるようになったツリー。


ベツレヘムに木なんてないし、在ったとしてもナツメヤシか百歩譲ってせいぜい糸杉。

それなのにモミの木の形を模してこんな風にガラスのツリーが作られる。
もはや本来の意味を何もかも置き去りにして。


たかしが
「きれいだー」という。
「そうね、ホントに綺麗」


心の中にある交錯する様々な気持ち、想いにガラスの蓋をして。
スワロフスキーのクリスマスツリーの形の美しさ、光の美しさを、それでも私は愛でる。


目の前にあるツリーは見事に美しく、そんなものに意味を持たせるなんて馬鹿らしいと思うから。

意味なんて、私の中でしか価値の無い幻。
どうせ私の幻でしかないのなら楽しい幻影を見たいと想う。


たかし、手を繋いで。

その手を温めてあげるから。
この温もりは幻じゃないよ。