火曜日。
「もう逢いたくなっちゃった」とついメールしてしまった。
すぐに8時に電話するからとの返信メール。
今週末は逢えない予定だった。3連休なのに土曜日は彼のお嬢さんの試合がある。その後は私の息子の友達が泊まりに来る。私は電話が鳴るとすぐに外へ出た。
「明日定時後すぐにそっちへ行くから、5分でも10分でも逢いたい」
「ちょっと待って、それじゃお嬢さんたちに申し訳ないわ」
彼の会社からうちまで2時間近くかかるだろう、その後一時間以上かけて帰るなんて待っているお嬢さんたちがかわいそうだ。
「でもどうしても逢いたい」
「私も逢いたい…こんな年になってもうちょっと我慢できても良いはずなのに」
「もうねぇ、こういうのって年って関係ないよぉ」
彼の声が自分の情けなさを受け入れて悲鳴のように響く。
「そうだね、とにかく今週末どうにか時間を作ろうよ。5分や10分じゃかえって切ないから」
私たちはその後メッセで予定を詰めた。
「悪いけど、日曜日の夜でもこっちまで来てもらってファミレスかどこかで… 夜だったら道も空いているし、深夜のデートwwきゃ~~、深夜のデートって妖しい響きだ~」
翌日
「一年生は早い時間で試合が終わるらしいから、土曜日何とかなりそう」
「お昼は?」
「友達や先輩とコンビニで買って食べるんだって、それも楽しみらしい」
「じゃ遠慮なく。あんまり子供たちに気を使って逢えなくて、恨めしくなっちゃってもいけないしね」
夜10時になると2つの家庭のパパとお母さんは親としての営業を終える。寝付きの悪い私の息子は何度でも蘇ってくるし、PCの前でにやけているパパの周りには、何事かと怪しんでいる年頃の娘がさりげなく覗きに来る。
隠すつもりもないけれど、やはり子供の手前恥ずかしいから、メッセは時々突然ローマ字になったり、中断されながら11時まで続く。
「この間は私のわがまま聞いてもらったから、今度はたかしさんのしたいことをしましょう」
「いろいろ行きたいところがあるから迷うな~
当日doorさんの服見て決める」
「靴が…
たくさん歩くんならペタンコで行くけれど、ハイヒールは女の子の心意気なんだよねー
それによって服が変わってくるし…」
「僕はグランドから直接行くからラフな感じ」
「じゃぁ、それに合わせる。でも気分もあるし、天気もわからないし
逆にリクエストは?」
しばらく応答がなかった。
「もしかしてミニスカが良いとか書けないよなぁって悩んでる?」
「……それ見たい」
「やっぱり恥ずかしいからジーンズにシャツで行く~」
「うん、イメージ湧いてきた」
明日、西口のお花屋さんの前で…