10歳年上の「たかし」 | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

昨日のデートの帰り道、私のアパートへ着く少し前、車の運転席に座るたかしが突然私の右手をぎゅっと握った。ハッとして、でも恥ずかしくて俯いたまま、握り返す。気がつくと私は左手も添えて胸元で彼の左手を抱きしめるようにしていた。

そのまま車は進む。
「doorさんの手あったかい」
私の手はいつも温かいのだ。
「僕もあったかいほうだと思うけど、すごくあったかい」
「うん」
「今度は手を繋いで歩こうね」
「うん」


たかしより10歳年上の「たかし」。


このブログが誕生してから今日で3年目。その間いろいろなことがあった。
ここはごくたまに集中的に更新するブログ。私の恋愛を書くブログ。
そのたかしの口から「秘密の扉」というキーワードが出てきて、それはこのブログのことではないし、ここの存在も彼は知らない。教える気もない。


けれど運命というのはなんと不思議なことよと、私はいつも思うのだ。



40という年齢を越えてこんな気持ちになるとは思わなかったというのがお互いの共通意見。
お互いに子供を抱えているから、子供の手前恥ずかしくて電話できない。そこにメッセというツールはとても便利だった。毎日のメールもどんどん頻繁になってきた。おはようメール、昼休みメール、お疲れメール、お休みメール。
職場のカップが魚柄で共通、妹の家のすぐ近くにお勤めでローカルな話で盛り上がる。アウトドアが好きで、同じキャンプ場が好きで、聞いているCDが一緒。
ところが面白いもので、メールやメッセで盛り上がれば盛り上がる程、逢うと恥ずかしいのだ。
もう相手の顔がまともに見られないくらい恥ずかしい。
帰り道、車で送っていただいて、メガネをかけたらようやく見られるように。


来週は子供たちの都合で逢えないから、またリセットしちゃうかもしれないねって言いながら、50歳になってこんな初々しい感じでもいいねって笑いあった。


お互いに自分のありのままを見せるには覚悟のいる年齢だ。
私はここのところ屈んで仕事をすることが多かったので若干腰が痛い。昨日は歩き疲れてベンチに座ったとたん、思わずトントンと腰を叩いてしまったりして、そんな情けなさを抱えたままの私を笑って許容してくれる。


お互いに一度ならず失敗をしているし、その傷の深さを知っているだけに、次に向かうには非常な勇気がいる。
その強さを持つ人にお互い出会い得たことの幸運を思う。