ブルーノートのオーナーでドイツ人であるアルフレッド ライオン氏は極端なくらいのドラム好き。彼が生涯に制作したアルバム数百枚のうち、初期のものを除くほぼ全てがドラム入りのグループ演奏のものといっていいだろう。
しかし、それだけですまさないのがドイツ人。こんなん作ってしまいました。
氏が全身全霊をかけて支持したドラマー、アート ブレーキーをリーダーに、アートテイラー、スペックス ライト、サブー以下9人のパーカッション奏者を迎えたリズムの大響宴アルバム。題して「オージー イン リズム」だ。しかもその9人の中には何故かあの大御所ジョー ジョーンズまでもが含まれている。
当然この響宴はとんでもない威力を発揮する。特に火を吹いたブレイキーに全員がたたみかける様にまとわりつく部分は鳥肌もの。その反面アフリカのお祈りをベースにじわじわと盛り上げる。その音楽性は流石にブルーノートだ。
これはもはやジャズではない。今の感覚でいえば間違いなくワールドミュージックの最高傑作にあげられる作品であろう。もちろん1枚では収まりきれずVol.2までこしらえて、そのうえレーベル史上最大の広告で売り出したという。
しかし!ドイツ人は甘かった。まったく売れなかったらしい。
にもかかわらず、この企画はその後6年の月日をかけて続編、続続編と制作されていく。そのどれもが素晴らしいが多分どれも売れなかったであろう。社員や家族は泣いていたに違いない。ドイツ人につける薬はないのか。
ただ先にも述べたように、この音楽はまさに最高のワールドミュージックだ!ライオン氏とブレイキーの信頼関係が現在の音楽ファンに残してくれた究極の宝と言っていい。ワールドミュージックは音楽ファンの心を豊かにし、世界に目を向けさせる。それを世界で最初にジャズというフィルターを通して制作したのがこのシリーズだ。よくぞ作ってくれた。
我々現在の音楽ファンはそんなライオン氏に最大限の敬意を示すべきだと思う。ダンケシェーン。






