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Doodlin' Records

神戸元町のバー「Doodlin'」店主がチョイスするジャズレコード紹介。
勝手気ままに書かせていただきます。

ドイツ人っていうのはこうと決めた道を曲げる事などないのだろうか?

ブルーノートのオーナーでドイツ人であるアルフレッド ライオン氏は極端なくらいのドラム好き。彼が生涯に制作したアルバム数百枚のうち、初期のものを除くほぼ全てがドラム入りのグループ演奏のものといっていいだろう。

しかし、それだけですまさないのがドイツ人。こんなん作ってしまいました。

氏が全身全霊をかけて支持したドラマー、アート ブレーキーをリーダーに、アートテイラー、スペックス ライト、サブー以下9人のパーカッション奏者を迎えたリズムの大響宴アルバム。題して「オージー イン リズム」だ。しかもその9人の中には何故かあの大御所ジョー ジョーンズまでもが含まれている。

当然この響宴はとんでもない威力を発揮する。特に火を吹いたブレイキーに全員がたたみかける様にまとわりつく部分は鳥肌もの。その反面アフリカのお祈りをベースにじわじわと盛り上げる。その音楽性は流石にブルーノートだ。
これはもはやジャズではない。今の感覚でいえば間違いなくワールドミュージックの最高傑作にあげられる作品であろう。もちろん1枚では収まりきれずVol.2までこしらえて、そのうえレーベル史上最大の広告で売り出したという。

しかし!ドイツ人は甘かった。まったく売れなかったらしい。

にもかかわらず、この企画はその後6年の月日をかけて続編、続続編と制作されていく。そのどれもが素晴らしいが多分どれも売れなかったであろう。社員や家族は泣いていたに違いない。ドイツ人につける薬はないのか。

ただ先にも述べたように、この音楽はまさに最高のワールドミュージックだ!ライオン氏とブレイキーの信頼関係が現在の音楽ファンに残してくれた究極の宝と言っていい。ワールドミュージックは音楽ファンの心を豊かにし、世界に目を向けさせる。それを世界で最初にジャズというフィルターを通して制作したのがこのシリーズだ。よくぞ作ってくれた。

我々現在の音楽ファンはそんなライオン氏に最大限の敬意を示すべきだと思う。ダンケシェーン。

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去年の5月に観光旅行であこがれのシカゴへ行ってまいりました。シカゴはとんでもないくらい新旧の高層ビルが建ち並ぶ大都会。その規模たるやアメリカ人にはシカゴの高層ビル見学ツアーが一般的に浸透してるほど。

だけどダウンタウンでも何故か田舎っぽい空気がただよってるのは確か。何かのんびりしてるというか、東京、大阪、バンコックの方がよっぽど都会の殺伐とした空気につつまれてます。

シカゴジャズというものがあります。ニューヨークと並ぶジャズの街だからその区別として付けられた名称だと思います。だからこのシカゴ出身のグリフィンがまだNYへ進出する前に、シカゴの仲間とシカゴのカデットというレーベルに残した当アルバムも当然シカゴジャズといえるでしょう。そしてやっぱり超絶技巧で売った彼のデビューにしては何かほのぼのとしています。多分シカゴを意識せずに、これ以降のグリフィンのパワー溢れるプレイと比較すればもの足りないと思うでしょう。

でも彼らが地元でどういう事をやっていたのか?NYジャズばかり聴いててもわかりにくい、アメリカの風土に根付いたジャズが少し理解できるという点で、僕はけっこう好きな1枚です。

カデットに限らずビージェイとかデルマークとかのレーベルもシカゴらしくてけっこう面白いよ。


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※お店情報
本日15日、木曜ですが営業しております。お待ちしています!
Doodlin'は明日の木曜日、営業いたします。

また18日の日曜日は反対に臨時休業といたします。

来週のお休みは未定。

4月からは毎週日曜日と第4木曜日が定休日となります。

ご了承くださいませ。
お店を始めるにあたって、新たな気持ちで何枚か仕入れておこうと、立ち寄った中古レコード屋さんで500円で入手したこの1枚。ジョー サンプルとT ウォーカーの81年のアルバムだけど、この2人に関してはこれまでの僕の音楽的趣味からは少し距離があるし、馴染みは薄いプレイヤーなのでありますが、周りには好きな人も多いし、ジャケットがいかにも酒場の雰囲気なんで、まあ営業用になるかなー、安いし、なんて軽い気持ちで購入したのでありんす。

それがまあ結果的には最高の内容、そして当店のナンバー1ヒットを記録しております。

特にデヴィッド T。僕はこれまで、グラント グリーンがジャズと(ジャンルとしての)ブルースの中間に位置する最良のギタリストだと思っていたのだけど、これ聴いてTこそがグラント グリーンとグリーン以降のフージョンやR&Bの中間に位置する最良のギタリストだと認識した。それほどの音数を使いわける訳ではないのに何でこんなに色々なムードを醸し出す事が出来るのか。そしてそれらが一貫してメロディアスでメランコリックで。

来る度にTをリクエストする人がいる。今までレコードを聴かず仕事の話してたのに、音を聴くや「誰これ?T?」と聞く人がいる。まだレコードをかけていないのにTの名前をみて感激する人がいる。僕もこれをかけると仕事をやめてカウンターのそっち側でバーボンが呑みたくなる。酒場音楽万歳!

人生はホンキートンク。Tで今夜もメランコリーな夜をすごそう。

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※お店情報
ご要望に応え、ホットコーヒーはじめました。ほっと一息ついてください。
去年のイチローはとうとう200本安打達成には至らなかった様だ。

その件に関して早くもイチロー限界説なんかが出ているらしい。バカな話である。そんな記録だけでイチローを語れる訳はなく、現に去年の成績でもじゅうぶん打ちすぎているくらいの安打を放っているのだ。この先、一度も200本安打に届かなかったとしてもイチローの偉大さは変わる訳などない。

僕に言わせればあれほどの天才をアメリカの地で囲み続けるマリナーズはどうよ?任天堂…といいたい!

それはいいとして。

同じ様な事を言われたジャズアーティストがいる。ジャズピアノの巨人、バド パウエルがその人。

パウエルの40年代のプレイは正に神懸かり的であったと言われている。どのくらい後のジャズピアノ界に影響を与えたか計り知れない。

しかし1958年に録音された本アルバムなんかは、通に言わせればもう既に病後の演奏で、かつての凄みなどがみられず、はきの無い平凡な内容であるらしい。

しかし、そんな声を無視して普通の感覚で本作の感想を述べると、ここでのパウエルのプレイは全く神懸かりで凄まじい気迫が感じられる。同時代の、いやその後のピアニストの誰一人としてこんな迫力は出せてないのではないか。人気曲「クレオパトラの夢」だって哀愁のあるマイナー調のメロディーがうけたというが、それでもこの猛烈な気迫で演奏しているからこそのものだと信じる。

パウエル通はいったいこれの何が不満やねん?逆に聞きたい。

あまり通りいっぺんの評論は無視して素直に聴いて感想を述べたいものである。


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ビリー ハーパー、ソニー フォーチュン、ケニー バロン、スタッフォード ジェームズ、ジミー コブ!80年代に最もあぶらがのっていたであろう、こんな強者共がたった2回の大阪公演だけに来日していた事実を僕は知らなかった。さらにその時の岸和田でのコンサートが自主制作の形でレコード化されていたとは!

この度入手したこのレコードには岸和田在住のある個人の方が作った曲が演奏されている。題して「ダンジリ プレリュード」。そして裏のライナーノートには、その方のだんじりに対する思い、音楽に対する思いが書き込まれていて、それは自主制作ならではのとても熱い気持ちが伝わってくる最良の文章だ。

そしてそれに応えるミュージシャン達の超熱演!こんなに気合いの入ったジャズは、恐らくもう何年も日本ではお目にかかれていないのではないか。岸和田アッパレである。

そして、このレコードにはどこにもその名前がクレジットされてはいないが、このコンサートの実現に力を添えたのは西山満氏である事は、関西のジャズファンなら大方感じとっているのではなかろうか。
西山氏は関西で活躍したベーシストで、ニューヨークなどの東部を中心としたミュージシャンと関わりが深く、たくさんのプレイヤーを関西に招いてくれたプロモーターでもある人。
とても熱い方で、いや熱すぎるくらいの方で、僕は昔ジャズのフリーペーパー「月刊プリーチャー」の編集をしていた時代に、一度だけ取材でお話させていただいた。最初はとても怖いイメージがあったのだが、こちらのジャズに対する真剣さを感じとってくれるや、とても優しく、反対に大歓迎していただいたのが忘れられない。

残念ながら西山氏は去年惜しまれながら逝去された。熱い熱い西山氏。このレコードの熱さはまさに西山氏のメッセージそのものの様である。大事にしなければ。



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黒人ギタリスト、グラント グリーンによる黒人霊歌集。

そのタイトルも「魂を感じる」。ブルーノートにしては珍しい企画物かもしれないが、ここに集まったグリーン、ハービー ハンコック、ビリー ヒギンズ達の魂(スピリット)たるや、そんじょそこらの生半可なものとは大違いらしく、それはもう得体の知れない感動を味わえること絶対と保証いたします。

一体この感動は何なのか?色々と理屈づけしようと試みてみるのですが、我々日本人は特別虐げられた経験などないし、やっぱり「とても深いものがある」程度の事しか言えんのが本音。

冷静に考えればそれはただただメンバー各人の演奏能力の賜物かも知れない。特にハービーの相変わらず熱さとクールさが同居したプレイは圧巻。

ひとついえるのは、この素材にこのメンツを起用して、そしてそれが何十年たっても充分感動を与えられる最良のアルバムに仕上げる。その企画力の勝利といえるかもしれん。その点においても、ブルーノートって凄いなーと感じる訳である。


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※お店情報
「DANJIRI」入荷
モンクとならんで好きなコンポーザーがベニー ゴルソンだ。

昨日、仕事の帰りに一杯飲んで、いい気持ちで自転車をこいでいたら、何故か頭に浮かんだメロディー。鼻歌で歌うとやたら気持ちいい。だけど誰の何という曲だったか思い出せん。結局布団に入った時に、それはゴルソンの「アウトオブ ザ パースト」であったと思い出した。

考えたらゴルソンの他の楽曲「ウィスパーノット」や「アーユーリアル」「ステイブルメイツ」とかもみんな大好きなんやけど、ほとんど鼻歌で気持ちよく唄えるよな。ジャズに限らず名曲度=鼻歌度ってあると思いませんか。少なくとも僕にはあるのだけど、今度勉強して鼻歌心理学でも発表しよかしら。

紹介するレコードはゴルソンのリーダーとしては2枚目にあたるもので、その「アウトオブ~」が収録されている。メロディーを吹くケニー ドーハムがこれまた鼻歌的プレイで正にうってつけ。ちょっと癖になりそう。

ところでゴルソンといえばメッセンジャーズで名を上げてからキャリアがスタートした感があるが、よくみたらこれって「モーニン」より前の録音であった。その頃から知将としてそこそこ評価されてたんやろか。ソファーに横たわって黒縁眼鏡に手をかける、いかにもな「知将ポーズ」が妙に腹立たしい、ちくしょう。
ほんまにあんたの家か?



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昨日はお店のオープンを遅らせて、すぐ近くの萬屋宗兵衛に田井中福司さんのライブを見に行ってきました。
田井中さんはルードナルドソンのグループで活躍されてるドラマーで、ニューヨーク生活は30年になるらしい。

僕は20年ほど前にルーさんが神戸のチキンジョージに出演した時にその名前を知った。そしてそれ以来、機会がある限り来日したステージを拝見しているのだ。

田井中さんはドラマーとして特別なスタイルを築いている訳ではないが、ひとつひとつのテクニックなどすべてがハートで刻んでいるドラマーだ。ハーレムやニュージャージーの生活感がにじみ出ている音といっていい。
このようなサウンドを目の前で聴ける幸せは言葉には表せられない。本当に素晴らしい!

仕事で1ステージで出なくてはいけないのが実に残念であった。
言わずと知れたジャズ史にのこる金字塔。いくらへそまがりの僕でも愛して愛してやまないアルバムだ。そしてそれはジャズ好きとして当然だと思っている。

ブルーノートにはどういう訳か、唯一録られたリーダーアルバムが傑作として残る場合が多いが、これはそんな中でも、単なるいい、悪いなんてレベルをはるかに超越した所までいってしまった作品といえるでしょう。

僕はつねづね日常に密着したジャズ、つまりスタジオより狭いジャズクラブで聴きたくなる様なものが好みと公言しているが、これだけは例外。クラブなんかより家で邪魔されず聴きたい。ハードバップの範囲でそんな気がするのは本当にこれだけだ。

何にせよここでのコルトレーンは演奏する喜びを余すとこなくさらけ出していると思う。何かとんでもない物を掴んでしまった瞬間というか、僕には何かある、僕なら出来ると感じた瞬間が記録されたのではないか。数ある傑作アルバムの中でこのブルートレーンほど前向きな姿勢で演奏を謳歌している記録は他にはない。またそれを残すのがブルーノートらしいところ。

今日もパワーをもらおう。


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