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Doodlin' Records

神戸元町のバー「Doodlin'」店主がチョイスするジャズレコード紹介。
勝手気ままに書かせていただきます。

ファットヘッドが亡くなったと聞いたのが2009年5月。でも本当はその年の1月に亡くなっていたらしい。

俺は誰にも知らされず、その数ヶ月を過ごしていたことになる。。まるで親戚が亡くなったのに誰も教えてくれなかったような心境だ。俺は寅さんか?といったところ。やはり親戚付き合いは大事にせんといかんわ、と思う。

俺のアイドル、デビッド ファットヘッド ニューマンはレイチャールズ楽団でならしたサックスマン。テナーもアルトも一聴してこの人とわかるくらいの個性的な超A級プレイヤーだ。

名作映画「レイ」では意外なほどファットヘッドの役は重要で、デビューする直前から晩年までレイ チャールズと行動を共にしている様が描かれていて嬉しかった。因みにレイにヘロインを教えるのもファットヘッドの役だったが、真相は知らない。

紹介するアルバムはファットヘッドがそのレイチャールズをピアノに迎えて録音された100%インストジャズアルバム。レイと関わりが深いアトランティックからのリリースらしく、正に万人に愛されそうなポップでファンキーな魅力に満ち溢れた素晴らしいジャズであります。これを聴くと二人がいかにジャンルを超越したところにいたかがよく解る。ジャズでもソウルでも何でもいいのだ。ファットヘッドの音楽、レイの音楽、それ以外はない。
そしてファットヘッドのテーマ曲といってよい「ハードタイムス」は多分これが初演でしょう。最初から出来上がっております。

亡くなったのは寂しいけれど、こんな個性がつい最近まで実在した事実が不思議に思える今日この頃。

生存してた頃は存在しててあたりまえやったのになー。不思議なりけり。


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Doodlin'は先日よりハッピーアワーを開始いたしました。

夜8時までバドワイザーとハートランドが400円。ホットコーヒーを300円でご提供させていただきます。


ところでこのHAPPY HOURなる言葉、てっきり日本人がつくった和製英語だと思ってましたが、ちゃんとした英語やったんですね。
去年ニューヨークに行けば宿泊先の近くのアムステルダム アヴェニューのパブのほとんどが2時くらいからハッピーアワーをやっていてビールが3ドルで提供していました。もちろん毎日のみまくり。アムステルダムのハッピーアワー男といわれそうでした。

まあ物価が違うので3ドルという訳にはいきませんが、夏のまだ明るいうちにジャズを聴きながらのビールは気持ちいいことこのうえなし。またDoodlin'の通りには小さくて美味しいお店がたくさんありますので、ぜひご利用ください。

みなさんのお越しをお待ちしております。
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先日このコーナーでマーキューリーのスリーサウンズのライブ盤を紹介したおり、ブルーノートにはスリーサウンズのライブ盤はない、と記したところ、

お店に例の同級生がレコード抱えてやってきて一言。

「あるで」

ガビョーン!ブルーノートにスリーサウンズのライブ盤は存在していたのだ。しかも西海岸のライトハウスでの録音。ブルーノートのライトハウスのライブ盤といえばリー モーガン、グラント グリーン、エルビン ジョーンズと、ことごとく素晴らしい内容を誇っているのだな。「ブルーノートブック」は50万回読み返していたのにこれは知らんかった。不覚なり。

それにしてもこの記事読んでくれてる皆さんも、このアホ知らないでやんの、なんて言い合っていたんでしょうね。教えてくれたらいいのに、根性悪いの。

さて同級生の持参したスリーサウンズのライブ盤ですが、こちらは1967年7月の演奏。ドラムがビル ドーディーからドナルド ベイリーに代わっているので、マーキュリー盤より後のものなのかな?(また間違えそうなので断言はしないのだ)内容は言うまでもなくファンキーでコテコテでノリノリで聴きやすくて、楽しくて、素晴らしい。「ブルーズマーチ」なんか演ってるぞ。つまりドラムは代わったが正直、両者にそれほどの差はない。

という事でこの時期のサリーサウンズに関しまして、ブルーノートとマーキュリーは同点といたします。

ところでこのレコード、くれるんやろか?


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1961年、絶好調のミンガスグループを捉えた1枚。

ここではミンガスはベースを弾かず、ピアノと歌で参戦しています。といってもローランド カーク、ブッカー アービン、ダニー リッジモンドというミンガスの音楽を表現するには最高最適最強メンバーを得て、あのデブ特有の暑苦しさも含めて全くサウンドの濃度には影響を与えてはいないところは流石。

しかもピアノを弾く事によって、歌の世界にも集中できたからでしょうか、「デヴィル ウーマン」や「イート ザット チキン」など、いつものインストアルバムよりももっともっとブルーズやニューオーリンズ音楽などのルーツミュージックに傾倒していく姿がまざまざとうかがえるのが実に楽しいところ。これらはジャズ以外のアメリカンルーツ音楽のファンが聴いても充分楽しんでいただけることでしょう。なにせメンバーの技量と個性が半端じゃないときたものですからな。

さて、もう一つ見逃されがちな点があります。それはピアノを弾くミンガスの代わりにベースを弾いているのが、あのダグ ワトキンスであるという事。以前3大ハードバップベーシストの一人として紹介した僕の大好きなプレイヤーです。
これは推測ですが、恐らくミンガスは自分のバンドのベースをまかせられる者として自分で選択したのがダグだったのではないでしょうか。事実ここで聴けるダグのプレイはかなり強いタッチで、しかも彼特有の粘りのある生々しいグルーブ感が思う存分発揮されているというもの。強烈無比を誇るミンガスとはまた違うこのグループの味を引き出しております。

さらに社会的メッセージを含む「神よ原始爆弾を降らせ給うな」や61年という地点にしてはあまりにも前衛的な「パッションズ オブ ア マン」などでもダグはベースを担当している様です。これらをダグがどう思いながら演奏したのかはわからないとはいえ、この後すぐ亡くなっていなければ、単なるハードバップベーシストで終わっていなかったダグの姿も充分想像できるというもの。

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※お店情報
BLUENOTE MONDAYハービー ハンコック特集。無事終了。一日ハービーを聴いて何やら少し賢くなった気がしています。
次回は6月4日ハンクモブレイだぞ。
問答無用の名盤「バードランドの夜」。ハードバップが産まれた瞬間を捉えた歴史的ライブの実況録音盤であります。

当時は第2集までの発売だったのですが、この第3集ていうのは永いことブルーノートの倉庫で眠っていた未発表の音源を集めて作られたもの。歴史的だけあってファンからすれば涙ちょちょぎれるくらいの貴重な記録な訳であります。

未発表といっても流石に歴史的名演。どれも他とひけをとらないハッとする内容。多分紙一重でオクラ入りとなったのでしょう。

その中で特に注目したいのが「ブルーズ」とだけつけられた、文字通りのスローブルーズ。テーマはなしの自然発生的インプロビゼーション。今はどうかはわからないが、当時はこのようなブルーズは毎夜当たり前の様に演奏されていたらしい。そんな中でもここに収録されたブルーズはメンバーがメンバーだけに目、いや耳をみはるものがある。なにせルーのブルーズの上手さは絶品だし、ホレスの生々しさは恐ろしくなるほど。クリフォードがこんなに黒いフィーリングを持っていたなんて驚き。やっぱり彼らもまずブルーズマンであり、はじめにブルーズありきであった事を思い知らされるというもの。でもこれだけは他と明らかに趣が違うので、収録されなかったのは頷ける。

ただこれほどの歴史的セッションの記録に残っていなかった所で、このようなジャズのルーツを感じさせられるブルーズを演奏していたという事実は、ブルーズ第一主義の僕にはことさら嬉しい限りなのであります。


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明日の5月7日の月曜日は「第2回BLUENOTE MONDAY ハービー ハンコック特集」です。

いつもの同級生の協力を得て、レアなブルーノートのハンコックが集結してます。そのうちの5点をご紹介。

CHANT/DONALD BYRD 1961年
多分ハービーの初ブルーノート録音は、Dバードにみとめられて、素晴らしいペッパー アダムスとの双頭グループでのもの。もの凄い爽快なファンキージャズだ。しかし名曲「チャント」では早くも美しさと黒さを同居させた演奏で感動を与えてくれる。さらにベースがダグ ワトキンスときた。

VERTIGO/JACKIE McLEAN 1963年
バードの盟友マクリーンとのコンビ作にも顔を出していた。バードがハービーを、マクリーンがトニー ウィリアムスを連れてきているのが面白い。この2人が後々ジャズの世界観を変えてしまうとは。

FREEDOM/KENNY BURRELL 1964年
ケニーにタレンタイン、さらにレイ バレットが華を添える。たしかにアーシーなアルバムだが、ハービーにとっては意外なメンツかも。しかしハービーの只ものではない感は完全にできあがっている。かなり濃い内容で聴き応えは満点。

THE PROCRASTINATOR/LEE MORGAN 1967年
この時代にもモーガンとショーターは共演していたのだ。他にボビーハッチャーソンにロン カーター、ビリー ヒギンズ。当時のブルーノート オールスターズ的なメンツだが、時代が時代だけにうかれた感はない。かなりシビアだが、カッコいい作品である。

OBLIQUE/BOBBY HUTCHERSON 1967年
凄まじい!「ハプニングス」とほぼ同じメンツだが、凄まじさでは比べ物にならない。一体何があったのかというほどの凄まじさ。これが未発表だったなんて。とりあえず10時半くらいの一番高まった時間にお送りします。それにしても凄まじい!

では月曜日、Doodlin'でお会いしましょう。

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マニアの多いブルーノートレコードも、コアなファンになるとレーベルの商品番号で整理するようになるみたい。レコード棚には番号の若い順にずらりと並べられていて、リューベンウィルソンなんかは当然下段の右端においやられておる訳です。ちなみに僕は面倒くさがりなので楽器別には分けてはいますが、大体は大ざっぱにつっこんでいます。

それでもジャケットを眺めながら聴いていると、ふとレコード番号に目がいく事もあります。

そこで発見したこのハービーのレコード番号、BNの4126番。4126といえば「♪イトウに行くならハ・ト・ヤ、電話はヨイフロ。4・1・2・6!4・1・2・6 やっぱり決めたハトヤに決めた♪」そうです、昔懐かしいハトヤの電話番号と同じだったのですねー。あのエスカレーター乗ってみたかった。

ところがそう思って冒頭の「ブラインドマン ブラインドマン」を聴いてみると、何か本当にあのCMソングに似ているような気がして実に不思議。ファンキーで大らかな曲調が実にいい湯加減。熱すぎないところがいい。でもこの心地よさにハービーという音楽家の偉大な片鱗を垣間見る事が出来るのも確か。

で、Doodlin'の「第2回BLUENOTE MONDAY ハービー ハンコック特集」は次の月曜日に開催。ハービーファンの方、お待ちしておりまする。遠方の方は参考までにお好きなブルーノートのハービーを教えて下さいな。


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歴代オルガンプレイヤーの中で、僕の知る限り最もファンキーでイカれた野郎がこのジミーマグリフだ。

この男、一見大学教授の様な風貌だが騙されてはいけない。これほどの強烈オルガンプレイヤーなどそういるもんじゃないのだ。マグリフのプレイそのものは、パイオニアにして孤高の人、ジミースミスの影響を大いに受けていると思うのだが、彼は更にそれを真っ黒にした、どブルーズ的な乗りをもってるといっていいだろう。ジミースミスのバカテクにブラザーージャックマクダフのファンクネスを取り入れたのがマグリフである。

といってもオルガンジャズなんて何の縁もない人には、スワヒリ語の説教くらい何のこっちゃ解らない話だろう。早い話、イチローがヒットを打つ確立でホームランを打つ様なものなのだ、多分。

このレコードはそんなマグリフがまだ若手であった時代の、有名なハーレムはアポロシアターでのライブ録音版。エラフィツジェラルドやダイナワシントン、アレサフランクリンなど主だった黒人エンターテイナーを数多く排出した名門劇場である。そんな背景があってか、マグリフの張りきりようは尋常ではなくて、サックス、ギター、ドラムと揃ったメンバーが一塊になった分の音で攻めて来ている。つまりマグリフ対他プレイヤーの図式だ。サックスがウネウネ、ギターがペンペンと、一生懸命ソロを取った後に、それをもみ消す音圧で入り込んでくる様は、見方を変えれば非常識とも言えなくもなし。

そんなとんでもないレコードであるにも関わらず、SUEなんて聞いた事もないレーベルから発売されたせいか、レコードはおろかCDも大昔に1回だけ輸入版が出たきり、とうに廃盤となってる始末。それだけに地下のリズムボックスで見つけた時は嬉しかったな。先日友達のオルガン大好きDJ、清水君と話しをしたら、このレコードの存在は知ってるけど、持ってはいないと言っていた。はやく見せびらかしてあげたいものだが、バレたせいか奴はちっとも店に現れない。

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大好きなスリーサウンズがブルーノートを出てから発表したライブ録音盤。

ただでも黒さが魅力のジーンハリスのピアノだが、こちらは64年というブラックネスが華やかになりかけた時期のライブとあって、それはもうコテコテもコテコテ。おまけに呆れるほどのりまくっております。

ブルーノートにはやたら数多くアルバムを残してはいるけどライブ録音はなし。という事は今回はこの時期のスリーサウンズの生の姿を捉えたという事で、スリーサウンズに関してはマーキュリーレコードに軍配をあげるとしよう。

しかし気になるのはライブ会場であるリビングルームなるお店。静かな演奏の時も客の話し声が治まらんではないか。スリーサウンズって黒さと同時に、聴きやすいカクテルピアノ的なところも魅力のひとつなのだけど、ここって名前からしても本当にラウンジみたいな所だったのでしょうか。実際にわざわざ聴きに出かけて、こんなに周りに喋られたら舌打ちのひとつも出るのでしょうが、何故かレコードで聴いてる分にはそれもまた心地よいシチュエーションと思ってしまうのが不思議。ラウンジ アバウト ミッドナイト、なんちゃって。

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今でもダンスジャズのバイブルとして君臨する「アフロキューバン」いよいよ登場。

何せ参加メンバーが凄い。個性の塊ドーハム以下、テクニックも音量も申し分ないJ.Jジョンソンのトロンボーン。最高のメロディーメーカーでありスタイリスト、ハンクモブレーのテナーサックス。根性バリトン、セシルペイン。エキゾチックスター、ホレスシルバーのピアノ。重鎮ベース、オスカーペティフォード。そして我らがヒーロー、アートブレイキー。
ほとんど全員が各パートのジャイアンツであり、バンドリーダー級の人達だ。さらにこのメンバーに、ヤクザパーカッション、サブーマルチネスのコンガが全編チャカポコチャカポコと暴れまくってくれるんだからもうたまらん。今から考えるとこのメンバーが揃ったのは奇跡だ。ブルーノート万歳!といいたい。

ただ本作はよく聴くとかなり緻密なアレンジが施されているのは確か。でも譜面重視だとノリが悪くなるなんて、そんな理屈はこの連中には通じない。アンサンブルに酔って、リズムで踊って、ソロでブッ飛ぶなんて演奏はそーあるもんじゃない。

ところでこのアルバム、録音されて50年の歳月がたってるんだけど、25年くらい前までは、それほど評価はされてなかった。そもそもブルーノートというレーベルは今では名門といわれてはいるけども、それまでは高評価なものと、そうじゃないものの差がかなり激しかったと聞く。当時まではあくまでも低予算の1マイナーレーベルだったのだ。本作も後者のそうじゃない方の部類にまともに入ってたみたい。しかも日本ではラテンリズムのジャズなんぞはコマーシャルなもので聴く価値なんぞないぞよ、という間違ったお教えが蔓延してたのでなおさらだったのだろう。

そんな風潮に嬉しい転機が訪れたのが、今から約25年くらい前。ロンドンで「ジャズで踊る」ブームが起こり、その教科書的な存在としてもてはやされたのが、この「アフロキューバン」だったのだ。

このブームは結局5年くらいの月日をかけて日本にも訪れたのだけど、何せついその前まではマハラジャのお立ち台でボデコン姐ちゃんが扇子持って踊ってたアホな時代である。それでも流行最先端を自負してた若者達はこぞって新たなイベントをおこし、このブームに乗っかろうとした。しかし、いかんせんジャズなんて今まで聴いた事ないし、どうしたものか判らん。そのままの状況で右往左往の期間が2~3年は続いたはずだ。ちょうどオリジナルラブやピチカートファイブ、オザケンなんかが出て来た頃。でもこのころは何でもありで面白かったな。

しかしこの右往左往は間違いなく、ゆっくりと日本の音楽シーンも変えてしまって、今のクラブDJなんかの基礎を作っていったのだと思う。これがなくてはボサノバなんて今頃誰も見向きもしなかっただろうし、ジャズなんて堅苦しい、国が援助して保存する文化に終わってたかも知れない。

そう考えたら、この「アフロキューバン」は遅れて音楽史を変えた数少ない例外としての傑作といえるのではないか。

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