紹介するのは、そんなイギリスで行われたデュークエリントン最晩年のコンサート録音。
1973年の音楽事情からして、もうこの楽団には何も新しいものは期待されていなかっただろうし、お馴染みのエリントニアンもハリー カーネイとラッセル プロコープくらいしか在籍していない。それに往年の定番曲は「クレオール ラブコール」の1曲のみ。「A列車で行こう」は収録されていないのだ。そういう意味で、最盛期のエリントン楽団をもって「こうでないといけない」と仰る方にはほとんど興味を持てない作品ではあるでしょう。
しかしそんな概念は頭からとっぱらって、ぜひその音楽だけを聴いてみていただきたい。そうすればエリントンという人は最後まで高い音楽性と統率力、強烈で個性的な演奏能力などが全く衰える事なく維持されていた事実を確認する事が出来るでしょう。昔とったキネズカ的な要素は微塵もなく、全くもってモダンで刺激的なバンドサウンドが堪能できるというもの。ここには創世紀から73年までのジャズの歩みの全てが刻み込まれている。
それらの一例として、リクエストされたというアメリカ南部音楽を再現するといって演じられた「タイガーラグ」を聴いてみていただきたい。この手垢にまみれた100年前の古典を、エリントンと楽団は猛烈なエモーションを持って、超がつくほどのハイテンションで過激なジャンル無関係なナンバーに変身させてしまっている。これをフリージャズやハードロックのそれと比べてどう違うというのか?少なくともノスタルジーな要素のカケラもない。
恐らくジャズの名盤ガイドのみの知識でエリントンを聴いていても間違いなく聴かずに終わってしまうであろう本作。僕だって偶然にも父親が持っていたからこそ聴く機会に恵まれたというもので、決して偉そうに最初からわかってました、とは言えない。でもそれだからこそ、この73年のエリントン楽団の素晴らしさをぜひみなさんと共有したいと願っているのです。
エリントンは最後まで偉大であったと確信する次第であります。

※次回の日曜日Doodlin'は元気に営業いたしまーす。








