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Doodlin' Records

神戸元町のバー「Doodlin'」店主がチョイスするジャズレコード紹介。
勝手気ままに書かせていただきます。

ジェームズ スチュアート、ジューン アリソン主演の映画「グレン ミラー物語」は名作とうたわれておりますが、実はあまり好きな映画ではない。この映画、ミラーが苦労しながらも成功をおさめていく過程を追っていく前半などは、さすがに音楽物をお家芸とするアメリカ映画らしくて面白いのだけど、後半はひたすら夫婦愛をだらだらと描いているだけで、まことに「ぬるい感」がぬぐえないのだ。しかも近年、ミラーの死について、かなりショッキングな事実が公表されているのだから、それはもう致命的といえるでしょう。

さて、その「グレン ミラー物語」の二番煎じと言われ続けているのが「ベニー グッドマン物語」である。何でも手を出した女の旦那に撃ち殺されたミラーと違って、製作された当時もバリバリの現役だった本人が「ミラー物語」を観て、同じ会社に製作を依頼したというのだから、結果としてそう捉えられても仕方がないかも。

ところが僕はこちらの方が断トツ好きな映画であるのだ。

理由はまずベニー グッドマンが好きというのが根本的にあるとしても、こちらの映画はシカゴのスラムで育ったユダヤ人の本人が成功をおさめて行く過程を、ジャズの歴史をなぞる様に描かれているのが興味深いからだ。もちろん50年代の映画ゆえ、ずいぶん都合の良い歴史にデフォルメはされているものの、ジャズの歴史に少しでも関心がある者にとっては大変楽しめるシーンが多いのはこちらの方だ。キッド オリー、ベン ポラック、フレッチャー ヘンダーソンがストーリーに合わせて本人役で登場するのが面白いし、シカゴのギャングや多少なりとも人種問題にも話がおよんでいるのも良い。

特にダンスミュージックばかりに嫌気がさしていた楽団が、クビ覚悟で「ワン オクロック ジャンプ」を演奏すると、踊っていた客が一人また一人とステップを止め、ステージに体を向けていく様をワンカットで背後から描いたシーンは、端的に観賞用ジャズの誕生を表していて上手いと思う。ちなみにこの曲では若き日のスタン ゲッツが映画の中でもカッコいいソロを吹く。

しかしこの映画が好きな決定的な理由は、やはり本人が映画のために録音したサントラが存在するからに他ならない。しかも映画にももちろん本人で出演したハリー ジェームズ、ライオネル ハンプトン、テディ ウィルソン、ジーン クルーパといったグッドマン楽団の大スター達が顔をそろえているのだ。

グッドマン楽団が人気最高潮だったのは1930年代中~末。この頃のエアチェック版を聴いたら、これこそが当時世界一の最先端でイカしたバンドであったのは疑いを持たない。本作はそれから20年近くたってからのもの。しかし仮に最盛期が30歳前後だったとしたら、この録音時は50歳前後という事になる。50歳なんていよいよアブラがのってくる頃ではないのか?事実このレコードでは全員が最盛期と何ら変わりがない輝きを放っているのが手に取る様にわかる。「シング シング シング」の興奮は実際のカーネギーホールの実況版のそれと比べて、何もおとっていないのは聴いていただければ解っていただけるだろう。

今となってはあまり表には出ないアルバムだが、このまま消え去るにはあまりに惜しい名演の数々。もしレコード棚に眠っていれば、一度風通しのつもりで聴いてみる事をお勧めします。


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昨日は仕事ほとんどさぼって、Doodlin'から歩いて2分のところにある「萬屋宗兵衛」さんにて田井中福司さんのライブに一人で行ってきました。

田井中さんに関しては以前も紹介したので今回はパスしますが、第1部だけ観た前回と比べて、通して観させていただいた今回は更に鳥肌ものでありました。

もう酔いも廻って一人でのりまくりで、恐らく変なおっさん化していたことでしょう。早く行ってドラム前を陣取って良かった。あんまり没頭して写真を撮れんかったではないか、まったく気がきかんですんません。

しかし、こんなに素晴らしいジャズライブが行われているのに、僕以外はたくさんお見えであったとはいえ皆が奏者の身内とはこれいかに。残念ながら神戸に正当な形でライブというものは存在出来ないのだなと実感。北野あたりのクラブの悪影響かも知れません。

田井中さんはまた来日して同地で演奏してくれるそうだ。次回はツアーを組んで行こう。その時はぜひみんなで本物のビートを共有いたしましょう。
8月のBLUENOTE MONDAY グラント グリーンが先日参加者3名で大盛況のうち終了いたしました。

このプログラムを決めたのが冬だったもので、まさかこんな熱い企画を、こんな暑い夜に開催するとは夢にも思いませんでした。

そんな日に丸1日グラント グリーンを聴き通してみて、改めてこのギタリストの素晴らしさを実感できました。

特に終了間近になって我々が驚いた事は、グラント グリーンはとにかく飽きないという事です。

グラント グリーンの参加アルバムは、ギタリストゆえの特徴か同じ様な編成が多いのは確か。オルガントリオ+1というものだけでも何枚存在したものか。それなのに全てが何かしら違う特徴を持っていて、しかも音や演奏も少しづつ変化をこらしているのに今回気がついたのであります。

これはブルーノートのたぐい稀なる企画力も大きくものを言っているのですが、こうしてむりやりにも1日聴き続ける事によって気付くという点で改めて実感できる事実でしょう。

本当に呆れた企画ですが、BLUENOTEをこよなく愛する身としては、毎回有意義な1日をおくれるのがBLUENOTE MONDAYなのです。

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ザ ピアニスト、オスカー ピーターソンによるブルーズ集。といっても本人がカナダ出身のせいかどうかは知らないけれど、ブルーズにしては非常にあっさりと料理されていて、アメリカ南部のブルーズを思わせるようなコテコテ感はない。しかしそれが逆にピーターソンらしいところで、僕にとってはブルーズ集だからではなく彼の演奏だから好きといえる1枚。

しかし通常このレコードについて真っ先に語られるのは、やはりラストを飾る、あの感動的な「ヒム トゥ フリーダム」であろう。当時の社会的な背景からして、実に何をか言わんや的なタイトルだが、これがまたピアノ1台で大地を揺るがしているような、壮大極まりない楽曲に仕上げられている。これをピーターソン以外になし得る者がはたして存在しただろうか。心の奥底にまで響く涙物の名曲・名演である。

で、実際に泣いた奴がいる。

ブルーノート大阪にピーターソンが出演したのを、彼のファンである女友達と一緒に観に行った時のこと。レイ ブラウン、ハーブ エリスを従えての演奏は本当に素晴らしく、至福のひとときをすごしていたのだけど、そのセットのラストに演奏してくれたのが、この「フリーダム」だった。僕は当然鳥肌がたつ思いで聴きほれていたのだけど、彼女をみるとオイオイと泣いているではないか。聞くと、私の為に演ってくれたんやと思ったら泣けてきたらしい。

おいて帰ったろかと思った。

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明日のグラント グリーン特集のために、同級生の協力のもと続々とレアアイテムが集合してます。
一部を紹介

「ボーン トゥ ビ ブルー」1962年
アイク ケベック、ソニー クラーク、サム ジョーンズ、ルイ ヘイズ。このリズムセクションは興味深い。タイトル通りやたらシブい内容だが、これがケベック以外は全員まだ30歳になるかならないかだったとは、とうてい信じられない。銅メダル。

「ナイジェリア」1962年
ドラムにアート ブレイキーを迎えたカルテット。凄まじい迫力。たまらなく深いブルーズフィーリング。清々しいスイング感。とんでもない所に連れていかされそうで恐くなるほど。しかもソニー クラークとサム ジョーンズ。金メダル。

「マタドール」1964年
マッコイ タイナー、エルビン ジョーンズ、ボブ クランショー。これは凄まじい!これまでのグリーン感がひっくり返る激演。グリーンの事、ジャズとブルーズのちょうど間の一ギタリストなどとしか認識してない評論家は間違いなくこれを聴いてないな。とどめは「マイ フェイバリット シングス」連続金メダル。

「ソリッド」1964年
上記メンバーにジョー ヘンダーソンとジェームズ スポールディングが加わる。もう堪忍してくれとタオルを投げ込みたくもなる。特にジョーヘン、はりきりすぎ!銀メダル。

他にもラリー ヤングとエルビン ジョーンズとの3部作など、とにかくこの天才ギタリストの全貌を知るアルバムがいっぱい。

BLUENOTE MONDAY グラント グリーン 明日キックオフ!

これない方は参考までに好きなグラント グリーンを教えてください。


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Doodlin'には毎晩呆れるくらいの(失礼)音楽通の人達に来ていただいておりますが、その中でも「知らない事はない」「この人が知らない事は誰も知らない」と恐れられているのがY田さんだ。先日もT ボーン ウォーカーはJ.A.T.Pのメンバーで、パーカーやピーターソン、レスターヤングらと各地を廻っていたという驚愕の事実を発表して喝采をうけておりました。

さて、Doodlin'は4枚に1枚はオルガンジャズかグラント グリーンがかかるという変態的な飲み屋でありますが、Y田さんがそのグラント グリーンを聴くと必ず仰る一言「グラント グリーンはですねえ、何時何処という訳ではないのですけどもねえ、全世界のですねえ、しかも全ジャンルの中でですねえ、ギタリストとして一度はその頂点に立った男なんですよ」

これはグラント グリーン好きの僕に合わせて仰ったのではない。Y田さんがずっとそう確信を持ち続けていた考えである。そして僕はその考えに全身全霊を持って賛同する訳なのであります。

その証拠として僕が提唱するのが1970年に録音された本作。超ファンキーにこれでもかとばかりたたみかけるJBの「AIN'T IT FUNKY NOW」しっとりとした「I'LL NEVER FOLL IN LOVE AGAIN」など全く違う表現で、しかもどこを切ってもグラント グリーンそのものの味が楽しめる。オリジナル2曲もファンキーで心地よい。

そんな中で特筆すべき、というより冗談ではすまない1曲がビートルズの「A DAY IN THE LIFE」。原曲の持つ特別な意味を伝承したうえ、あくまでもグリーン独自のテイストを貫いているというこの楽曲こそグリーンの全てがある極みまで上りつめた、そんな一瞬を捉えている。この磨きあげられたセンスとフィーリング!いつ聴いても入り込みすぎて仕事が手につかないではないか。これまではファンクに流れたグリーンの作品の1枚としか受け入れられていなかった本作であるが、バカ言ってはいけない。ファンクであろうがジャズであろうが、これこそがグリーンのたどりついた最高の芸術と豪語いたしましょう。

グリーンはこの2年後に、同じブルーノートから西海岸のライトハウスでのライブ版を発表する。ここではライブ演奏うんぬんを超越した、恐ろしいほどのハイテンションで終わりなき高揚ぶりを示している。誰もここまでたどりついた者はいないのではないか。

という事でレコーディング上で推定して、全てのギタリストの頂点に立ったのはこの時期ではなかろうかと思うのですが。どうですか?吉DAさん。

そんなグラント グリーンを特集するBLUENOTE MONDAYはいよいよあさっての8月6日に開催。丸一日グリーン漬けという無謀なる企画ですが、レアアイテムも続々集結いたしております。お楽しみに!

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ソニーロリンズはその長く偉大なキャリアにおいて何度かの雲がくれを演じている。
飛ぶ鳥を落とす勢いであった真っ最中の54年には、何故かシカゴにおいて掃除や荷物運びに従事していたという。

それを聞きつけたマイルスは、自分の新しいグループには絶対にロリンズが必要と考え、彼にジャズ界復帰を勧める。

しかしロリンズの答えはNO。マイルスは渋々諦めて帰ってしまう。

ところが次に訪れたローチ&ブラウンの誘いには簡単に話しに飛びついてしまった。マイルスとブラウン=ローチ。彼の中でこの違いは何だったのか?一説によればまだ麻薬の臭いが取れないマイルスよりクリーンなブラウンと行動したかったからともいう。

紹介するレコードはロリンズがリーダーとなってブラウン=ローチを従えた唯一のもの。曲作りも上手いロリンズとあって、いつもより少し違うこのグループが楽しめます。例えば3/4拍子の「ヴァルズホット」は新郎新婦の入場曲にぴったり。こんなのは通常のこのグループにはなかったものだ。

しかしブラウンはその翌年にはあの痛ましい事故により短い生涯を終え、ローチとのコンビも終了してしまった。一方マイルスはその後、代わりとして雇ったジョン コルトレーンと共に次々とジャズの歴史を塗り替えていく。皮肉な話といえばそれまでだ。

でも辛いけれどそれも運命。ここはひとつそんな悲しみを忘れて、この地点のクインテットの若さと自信に満ちあふれた快演を心ゆくまで楽しむにつきるでしょう。特にリーダー、正々堂々としております。

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我らがフレディー、21歳の初リーダーアルバム。とにかく果てしなくフレッシュで初々しい演奏このうえなし。しかしハブの場合、結局はこのノリが生涯の普遍的な要素になったのであって、亡くなってから改めて凄い才能をもったプレイヤーだったのだなと痛感する次第。

特に聴いてもらいたいのがB面一曲目の「オール オア ナッシング アット オール」元はスタンダードらしいが、超スピードで何の迷いもなく高らかに歌いきるその様のかっこいい事。

で、ここで疑問。「かっこいい」という日本語は本来見てくれを表す視覚的な形容詞だったと思う。しかしここでのハブの颯爽極まりないプレイ、バシッときまるリズムセクションを聴いて、はたして「かっこいい」以外の形容があるだろうか?僕らがジャズにおいて「かっこいい」と感じる要素。その全てがここにはあって、例え間違った日本語だとしてもそれしか形容出来ないのだから仕方がない。

ではどうゆう心理状況をもって我々は耳で聴いたものを「かっこいい」ととらえるのか?この件とあと地下鉄はどうやって地下に入れたのか?それを考えると夜も寝らんなくなっちゃうの。

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※お店情報 8月の日曜日は毎週開店する予定です。またお盆も通常営業です。帰省された方、ぜひ神戸の新たなオタクスポットDoodlin'にお立ち寄り下さい。
確かにリバーサイド時代から通してキャノンボール アダレイのグループはライブ版が多い。
これはキャピタルと契約を結んでからも変わらず、大ヒットしたアルバム「マーシー マーシー マーシー」ももちろんライブ版。今でも様々なプレイヤーによって演奏され続けてるタイトル曲は、その異様なる熱気も含め永遠のものであろう。

そしてキャノンボールのグループはその後もライブ版を制作し続けている。しかし残念ながら、ここ日本での当時の評判は概ね芳しくはなかった。理由は明確で、すべてが「マーシー~」と同じ作りゆえ、それがいかにも2匹目のドジョウを狙ったものであるから、と捉えられたからである。

さて、もうこのブログを読んで下さっている方々には僕が何を言いたいか、大体は察知していただいているであろう。そうです、残念ながら先の評価は全く当時の社会背景やアフロアメリカンの立たされている事情を考慮していないものである。
といっても僕がその時代と公民権運動などに特別に知識を持っているかとなると、はなはだ自信はない。ただ少なくとも当時のキャノンボール グループのライブが何かしらの黒人解放運動の意味合いを持っている位はわかる。中にはまともに活動家らしき人物をお招きしている(グループの方がされたのかも知らないが)ものもあって、その熱狂ぶりは間違いなくただ単なるライブのそれを超越しているのだ。

今回紹介するアルバムも正にそれを象徴する1枚。タイトル曲が「マーシー~」にあたる。曲調といいテンポといい確かに同じだ。しかしジョーン バエズやボブ ディランのメッセージソングが2匹目のドジョウなどと評価が下らない様に、これらも歌詞はなくともメッセージソングなのだ。したがってそんな所の価値を論じても、それはまったくの的はずれだ。

このメッセージに人々は声をあげ、熱狂し、それをまともにうけたグループが更にこれでもかとばかり会場を熱くしていく。その様は到底現代のジャズには表現できない世界だ。時代は変わったといえばそれまでだが、これ以上熱いドキュメントが他に存在するだろうか?

大切に受け継がれなくてはいけないジャズの遺産のひとつだと思う。

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tcbなるレーベルから発売された我らがハンさんの謎に満ちたアルバム。なにせそのレーベル自体も謎なら、ジャケット裏にはタイトルと曲名しか記載されておらず、メンバーはおろか、ライナーノートも会社のアドレスもないという代物。しかも「ソウルパワー」なんて名付けられた曲、どう聴いても「アイム オールドカウハント」やないか!
全くもって怪しいうえに表ジャケットもこれ何の絵?ただよくみるとこの絵を書いた人だけ小さく記されていた。デザイン、ジャック ロンシェイン…あなたのお知り合い?

ただ中身の方は結構オーソドックスながら、ファンキーでハンさんのいい所がいっぱい詰まったなかなかの出来。のりの良さの中にハッとする斬新さを見つけられるのは流石。
バリトンサックスが入っていて、それが誰がどう聴いてもペッパーアダムスである点からして、間違いなくトランペットはドンバードであろう。という事は以前に録音されたものの再発売であるのは間違いない。そういえばこのクインテットで、ブルーノート以外のものがあったな。要はハービー人気でリーダーをすげ替えての発売とみた。

ただまあ、そのメンツだとして当然悪かろう訳はなく、もうちょっとましなレーベルからというか、もうちょっと身元がわかれば素直に楽しく鑑賞できたろうに。

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