したがってマックス ローチやジャズ メッセンジャーズなどの名グループで活動したというキャリアの持ち主であるにもかかわらず、70年代のメインストリームジャズ不遇時代にはかなり音楽家として生きるのに苦労されたのではないかと想像する。じっと我慢の子であった。
そんな時代を生きたからだろうか、この1979年にビーハイブというイリノイのマイナーレーベルから発表されたリーダー作でのはりきり様は尋常ではない。ロニーのリーダー作は何もこれが最初ではないが、本作ではどの参加アルバムのものよりも演奏する喜びがまるで光が放たれる様に我々に伝わってくるのだ。一球入魂とはこのことを言うのではなかろうか。
ビル ハードマン、ジミー コブ、ウォルター ブッカーという同世代で、しかも同じ様に時代の煮え湯を飲まされていた仲間や、後輩のリッキー フォードを迎えているのも良い。皆がみな高らかに歌い上げている様子が手に取る様にわかる。
しかし、だからといって本作はただ少ないチャンスを皆で喜び合っているなんて代物では全くない。音楽的に聴いてもどの作品より郡を抜いて突出しているのだ。そしてそれはリーダー、ロニーの演奏家としての力量と余裕から生じているのは明らか。情熱的で大胆で華麗でエレガンス、ピアニストなら絶対に必要であろう要素の全てがこれでもかとばかり溢れ出ている。考え抜かれた構成、その巧みなもっていき方も含め、本当に全てのトラックが傾聴に値するどころか、何もかもひっくるめて恐ろしく感じてしまうほどだ。
あまり話題にならないロニーと本作であるが、僕は本作こそジャズ不遇時代とその後のジャズを繋ぐ一代傑作と信じて疑わない。ジャズを愛している者なら歴史を知るうえでも絶対に聴いていただきたい作品だ。ロニーの素晴らしさに驚いてしまうこと必至。
80年代以降のロニーは2008年に亡くなるまで、まるで何人いるのかと聞きたくなるほど、ニューヨークで一番忙しいピアニストとして活躍する。ロニーがピアノを弾くと全てのプレイヤーが一緒に火を吹いている。ジョニー グリフィンしかり、クリフ ジョーダンしかり。参加アルバムも全てがジャズの本質を感じさせるものばかりだ。それも本作を聴けば当然の事だと理解できるだろう。









