レジェンドなるレーベルから発表されたディジー ガレスピー バンドの歌もの集。とはいえジャケットにはディジーが真っ先に名前があがってはいるものの、ミルト ジャクソン、ジョー キャロルと同列に並んでいて、ディジー名義ではないみたい。しかしまあ実質ディジーのバンドでありましょうから、ディジーのアルバムと扱ってよいと思われます。
さて、ディジーといえば泣く子も黙るジャズジャイアント。チャーリー パーカーと共にビバップを広めた歴史的人物としてその名はさんぜんと輝いております。
それなのに本作は今のところ、ほとんどディズのアルバムとして紹介されてはいません。特にここ日本では無視状態にあるのではなかろうか。
その理由は恐らく歌物である本作の内容が所謂ジャズボーカルではなく、当時の黒人一般大衆が喜んで聴いていたリズム&ブルーズそのままであるからでしょう。
これまでの日本ではたくさんのジャズスターがR&Bのバンドを経てシーンに踊り出ているのにもかかわらず、何故かR&Bは程度の低いものと扱われています。
よって本作の評価は以下の3つに分類されます。
1.ディズといえばジャズの巨匠ですやん。せやのにこれジャズボーカルちゃいますやん。皆が言うてるんとちゃいまんがな。商売なりまへん。
2.R&Bゆうたらポップスぞなもし。ディジーがポップスやるっちゅうのはいかがなもんですかのー。バッタやのうてイナゴぞなもし。
3.本に乗っておらんけん。知らんとですばい。ええかげんな奴じゃけん。
4.てーげえさーよーえ。
大体こんな所でしょう。何にせよこれまではそんなジャンルの壁がやたら厚かったのが実情。
しかしここは騙されたと思って本作を聴いていただきたい。こんな楽しくて生命力に溢れた音楽なんてそう聴けたものではないとわかっていただけるでしょう。中には明らかにサッチモやビリーエクスタインの物真似で歌っているのがあって、それらがみなディジーを中心にスタジオで大笑いで演じているのが手にとる様に伝わってくる。無邪気そのものだ。
そして忘れてはいけないのが、そんな中にあのディジーの鋭い、そして世界中を明るくするトランペットプレイが高らかに鳴りひびくという事。全部が全部絶好調のディジーを捉えているではないか。ブラックミュージック好きにとってこんな贅沢考えられる?これこそハーレムの空気が漂った、都会的で洗練された最高級の音楽であります。黒人の子供をフェンス越しでとらえたタイトルを彷彿させるジャケットも良い。
これまで日本では故中村とうよう氏くらいしか推進していなかったこの音楽。神戸のジャズも今年から変わるし。壁は崩していきましょう。
