それはいいとして、1969年に発表された本作。針を置いたとたんに飛び出すのはワカチコワカチコといったファンクリズム。それにありとあらゆるけったいな(?)音が重なりあう。恐らく当時のデトロイトのストリートミュージックをベースとしているのだろう。だけどもマイルス デイヴィスのそれともまた違う。彼独特の世界観がストリートに向かったといったところか。生半可な道は歩まない男、ユセフ。流石である。
という訳で、購入してすぐにオタク仲間の同級生に大いに自慢しようと、1曲目のワカチコを聴かせた途端の1言。
「これミツバチハッチの出だしと一緒やん」
そうなのだ、この同級生、ジャズ以外にもその道の研究家の第一人者でもあったのだ。それにしても「ミツバチ ハッチ」には気づかなかった。大体僕はタツノコプロの漫画は好きではなかったのだ。
そして話題はそのあと、怒濤の60年代~70年代にかけてのテレビ漫画の歌論に移って行った。
彼が言うにはこの頃の漫画の歌は歌詞が子供向けであるだけで、全てがとんでもない特徴を持っていて、さらにありとあらゆるサウンドが聴いてとれるらしい。
例えば「アパッチ野球軍」はやたらガラの悪いテナーが炸裂するジャズファンク、「おばけのQ太郎」はノリノリのブーガルー、反対に「秘密のメルモちゃん」のエンディングはディープスローなオルガンに色っぽいボーカルが重なるといった具合。さらに「妖怪人間ベム」はビッグバンド、「ワンサくん」はディキシーランドジャズ、「魔法使いサリー」はジャングルドラムと、きりがない。僕は知らんかったが「おそ松くん」には中間に流暢なピアノソロが挿入されているとか。
そして彼はこうしめくくった。これらを子供の漫画の歌だけの世界に置いておくのは非常にもったいない、日本の音楽の底力を知る材料としてもっと評価されるべきである、と。
まさかユセフ ラティーフから漫画の歌の凄さを思い知るとは夢にも思わんかった。
