「実家じまいを安心・安全に進める9つの要点|本気不動産の佐藤が語る!」 | 佐藤竜志 オフシャルブログ

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はじめまして
不動産業25年以上の経験から、不動産に関することはもちろん
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北海道・札幌を拠点に25年・1200件超の売買実績を持つ「本気不動産の佐藤」が、実家じまい(実家の整理・処分)をトラブルなく安全に進めるためのポイントを、親子での話し合いから名義・相続・解体・荷物整理・空き家管理まで9つの観点で解説します。動画リンク付きで、安心して一歩を踏み出せる内容です。


皆さん、こんにちは。
「本気不動産の佐藤」です。

今日は、少し重たいテーマかもしれませんが、だからこそゆっくり・きちんと対話しておきたい『実家じまい(実家の整理・処分)』について、私がこれまで北海道でも多くのご相談を受けてきた経験から、「安全に・トラブルなく」進めるための要点をまとめました。親御さん世代・ご自身世代どちらも、ぜひ一緒に目を通してみてください。


1.実家じまいとは・誰が/いつ進める?

まずは“実家じまい”って何?というところから整理しましょう。

  • 実家じまいとは「実家をしまう(片づけ・処分・活用を決める)」行為全般を指し、売却だけではなく、賃貸化・誰かが住む・空き家維持などの選択肢を含みます。
    多くの方が「とりあえず売る」「もったいないから貸す」のように周囲主導で考えがちですが、本人不在・意向不確認のまま進めるとトラブルの火種になります。

  • 親御さんがまだ健在な場合は、「今すぐ結論」を急ぐより、まずは現状把握と維持管理の方針決めを先行させるのが現実的です。

  • 親御さんが運転をやめた、体力が落ちた、物が片づけられなくなってきた――など、変化の自覚が薄いまま時が過ぎるのも課題です。

    高齢の親は「自分の変化」に気付きにくく、子の「そろそろ…」の声掛けを「余計なお世話」と受け取ることも。
    押し付けや説得の強さは逆効果。本人が気づく時間を尊重しつつ、対話のタイミングと頻度を調整しましょう。必要なら、私のような不動産専門家が第三者として同席・中立的に選択肢提示・リスク説明をすることで、親子の意地や対立を緩和できます。

  • 実家じまいは、“心”・“お金”・“手続き”が絡む難題です。円滑に進めるコツと落とし穴を把握することが、家族で揉めないための第一歩です。
    ▶私のYouTubeチャンネルでも詳しく解説しています。

  • 終の住処はどこを選ぶべき?今から備えておきたい老後の住宅知識を不動産のプロが徹底解説!

     

     

  • 【老後は賃貸?持ち家?】年金だけでは赤字!?老後破綻しないための知識を不動産歴25年のプロが本気で解説!

     

     

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    【終の住処】実は健康への被害も?老後に避けるべき危険な立地ランキングを不動産歴25年のプロが徹底解説!

     

     


2.実家の選択肢と費用のリアル:解体・荷物処分・落とし穴

実家をどうするか?その“時”が来たら考えなければならないのが選択肢と、それに伴う費用のリアル(実務)です。

建物種別と方針の大枠

  • マンションか一戸建てかで、取り得るスピード感が異なります。特に戸建ての場合、老朽化や維持コストが大きく、駆け足で動く必要が出ることも。

  • 活用の4類型:①売る/②貸す/③誰かが住む/④空き家維持。ですが優先すべきは「使える状態」で維持すること。そして、意思決定は後でもよいという視点を持つこと。

  • 空き家維持を選ぶ場合も、使える状態の確保が前提。管理を怠ると、売る・貸すという選択肢が消えてしまいやすいです。

代表的費用項目と現在の相場感

  • 解体費は建物規模、立地、分別、飛散防止の有無で変わります。特に「アスベスト対応」があると上振れリスクあり。

  • 目安:戸建て解体総額はおおよそ 200〜300万円。提案を受ける場合は「アスベストあり」まで見込んで 250〜300万円 を安全目安に。

  • 荷物処分:地域の分別ルール+量で変動。少なめ30〜50万円、多めになると100万円程度も想定しておいた方が安心。

  • 見積もり依頼の落とし穴:自力で業者探しをすると、相場不明・作業内容曖昧につけ込まれて価格・作業範囲が不利になりやすい。設備(給湯器・暖房機・照明など)を処分業者に勝手に外されてしまうと、再設置費用や値引き要因になることも。

  • 対策:中立の不動産業者経由で複数見積もりを取り、高額提示には理由の開示を求めましょう。相場感(解体300万円、処分100万円)を頭に入れて「なぜこの価格?」と疑問を持つことが大事。


3.名義・相続・意思決定の順序:揉めないための基礎知識

実家じまいで最も「こじれやすい」のが、名義・相続・合意の順序です。ここを抑えておかないと、後から相続人同士でもめる・手続きが長期化する…そんなケースが多いです。

名義確認と相続関係の整理

  • まず「名義人は誰か?」を確認します。例えば、土地は母、建物は父、というケースも。登記簿で確認し、すでに相続発生しているなら名義変更がされてるか/経緯を精査。

  • 戸籍上に想定外の相続人がいた事例も。手続きを怠ると権利関係が複雑になります。

  • 相続人が多いと、全員の同意・署名が必要になります。所在不明・代替わりという状況があると手続き難易度がぐっと上がるため、早期確認が肝要です。

遺産分割協議書と持分共有のリスク

  • 遺産分割協議書で「不動産はA、預金はB」など分け方を合意しておき、換価分割や代償分割などの方針を事前に明文化しておきましょう。

  • 安易な「持分共有」は要注意。持分共有状態だと、売却・賃貸などの意思決定が進まず、全員合意の取得が難航しやすいです。

  • 相続人が複数世代(例えば二世代目)に移ると、さらに複雑化・長期化します。

今このタイミングで検討する理由を特定

  • 親御さんが健在の場合は、「管理困難」「生活困難で住み替え」「認知症の進行」など、背景(=なぜ今なのか)を具体化しておくと、専門家も方針(売却急ぐか維持優先か)と必要手続きの順序を設計しやすくなります。

  • 既に被相続人が逝去している場合は、選択肢検討(売る・貸す等)へ早期移行してもよいですが、名義・相続整理が先行前提です。


4.住み替えと荷物整理の現実:移転先・費用・準備の具体

実家を手放す・活用を変えるとき、住み替え先と荷物整理の実務が伴います。ここで失敗すると、二重負担・モノだらけ・管理放置…といった事態にも。

移転先の選定と入居ハードル

  • 移転先は「賃貸」や「施設」など多様ですが、条件を限定しすぎると「そもそも入れない」事態になります。柔軟性が鍵。

  • 入居には初期費用・月額費が必要。資金計画を事前に確認しておかないと、タイミングのズレで実家と新居の二重負担が発生します。

  • 近親者が関与できる場合は、手続きもスムーズになりやすいので、初期段階から役割分担を明らかにしておきましょう。

荷物の圧縮基準と引っ越しのコツ

  • 住み替え時の荷物目安は「リビング一室(8〜10畳)に収まる量」をイメージ。3LDKでも残りの部屋は空にするくらいの感覚が理想。

  • 家電・家具・衣服も極力絞る。持ち込み過多は新居の生活効率や引っ越し費用(トラック台数など)を悪化させます。

  • 自力で全処分は難易度が高いので、業者・親族の協力前提で、スケジュールに余裕を持って段階的に仕分けを。


5.空き家管理の必須作業と「放置」の危険

実家を空き家として維持する道を選ぶ場合――“放置”は最も危険です。価値が劣化し、手放す・貸す選択肢を失うケースが多々あります。

  • 空き家管理とは「様子見」ではなく、草刈り・通水・換気・清掃などの定期作業が必須。未実施だと急速な劣化を招き、固定資産税・防犯・近隣関係のリスクも増大。

  • 親御さんが施設入居などを理由に「戻るまで残しておいて」と希望する場合でも、管理負担者と頻度を具体的に取り決めておきましょう。

  • 管理負担が偏ると、相続時に「なぜ私ばかり草刈り・通水してたの?」という不公平感・対立を生みます。事前に合意形成と負担配分の可視化が重要です。


6.負動産化を避けるために:維持・市場・制度の押さえどころ

“負動産”とは、存在していることがむしろ負担になっている不動産のこと。実家じまいでこれに陥らないためにも、維持・市場・制度面の押さえどころがあります。

  • 不動産を相続財産の中心に置くと、揉める確率が高まります。遺言書(公正証書)や遺産分割協議書で「分けやすさ」を整備しておくことが、紛争防止に直結。

  • 近居の相続人が空き家管理を担った場合、換価(売却・貸出)時の分配で不公平感が出がち。「心情面(貢献度)」も織り込んだ配慮を記載しておくことで、納得の枠組みができます。

  • 建物を使い切らないまま維持するのは避けたい。解体費(200〜300万円)・処分費(最大100万円)・売却経費を考えると、使える状態を維持して住宅として売る方が“損”を減らせるケースが多いです。
    地方でも「雨風しのげる住宅」なら取引可能性あり。欲張らず価格設定すれば成立率は高まります。

  • 「使い切り」(放置・劣化・雨漏り・屋根落下)は、価値ゼロ化・マイナス清算の引き金になります。維持管理の継続が命綱です。

  • 制度面も:例えば「既存不適格」「再建築不可」「国庫帰属」など、流通・処分のハードルが制度によって変わります。安易に選ばず、専門家と比較検討を。 areanet.estate+1


7.実務の意思決定と終盤のQ&A・人物エピソード

最後に、実務に即した“判断の分かれ目”と、私が出会ったリアルなエピソードを。

  • 「市場で売地相場が低い地域(売値500万円を下回る等)」は、解体・処分・手数料で手残りが赤字化するリスクあり。近隣相場450万円ラインが“黄色信号”という実務感覚もあります。費用累計(約450万円)で手残りが消える事例も。

  • 価格判断は坪単価ではなく「売出価格レンジ」を基準に。個別事情で判断が変わるため、最低600万円超の売値が見込める物件なら、負化リスクを緩和できます。

  • 相談・コミュニケーションの勘所:不動産会社は“売れ売れ”だけではなく、「維持・売却・時期」を冷静に助言できる第三者役として機能できることが大切。相談は“方針未定”でも全く問題なし。親御さんの同席で説明を聞くことが、対話の糸口になります。公式サイト・LINE問合せ窓口を活用し、事例・不明点を共有することで、次のアクションが具体化します。

  • 終盤トーク:整理・処分のスピード感は性格・愛着の度合いによって大きく差が出ます。しかし準備を早めに始めるほど成功率は高くなります。
    家族の性格を踏まえ、「急ぐよりも段取りを重ねる」こと。例えば私は、デスク周りも定期的に大胆整理して「必要最小限保持」に徹するスタイルを紹介しながら、実家整理にもその考え方を応用しています。


 

 

🔔まとめ&次のステップ

実家じまいというテーマは、親子・家族・世代をまたいだ“思い”と“お金・制度”のバランスが問われる場面です。
「話し合えないまま」「形だけ進めてしまった」ではなく、ゆっくり・確実に【時期】【目的】【負担役割】を整理しておくことが、あとで「なんでこうなった?」とならないための鍵です。
北海道のように雪・寒冷・広い土地という条件も絡む地域では特に、早めの現状把握・専門家相談が効果を発揮します。

もし「うちも実家じまいを検討してる…」「何から手を付けたらいいかわからない」という段階なら、ぜひお気軽にご相談ください。親御さんも、あなたも、安心できる道筋を一緒に作りましょう。

それでは、次回も“家と暮らし”に役立つリアルな話をお届けします。チャンネル登録・LINE公式登録も是非よろしくお願いします。
「本気不動産の佐藤」でした。