入社して2ヶ月ほど経ちました。
1日の時間が経つのが早く、自分でも驚くほどあっけなく毎日が終わってしまうのが怖くて、元気さえあれば寄り道して帰ります。仕事については、
まぁ、最初なんてこんなもんだろう。
と割り切って、今はただ何も疑問を持たずに与えられたことを、すぱすぱこなしていくといった次第でごじゃいます。

それはさておき…

大学最後の春休みはカフェラッシュで、
色んな地域のカフェに行きました。
このままにしておくと、お蔵入りされてしまいそうなので、
暇を見つけ、徐々に消化していきます!

まずは地球科女子2度目の旅となった日光のカフェです



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常夏のハワイから風邪をひいて帰ってきた私は、その2日後には雪の残る日光に来ていた。
高い建物がだんだん低くなり、田んぼや畑、山が見えてくうちに、寒気が増してきた。自宅から持参した箱ティッシュも見事に底を尽き、途方に暮れていた。

あっというまにきてしまった大学最後の春休みを、私はずっと複雑な思いで過ごしていた。
終わったようで終わってない卒論、自分の性格にあってないのではと思う就職先、新しい生活に対する不安。
言葉一つではまとめられないのだけど、あの時、1日として晴れ晴れとした気分の日は無かったように思う。

そんなこんなで、日光に向かう電車の中でもそんな思いを引き連れながら、ぼんやり流れ行く景色を眺めていた。

日光に着くと、冬特有のぴんと澄んで張り詰めた空気に出迎えられた。

初めての日光江戸村も、友達のほぐした蟹を横取りしたのも、夜の集いも
何もかもが楽しく、それまでの靄のかかったような気持ちのことを忘れられた。


ハードな2日はあっという間に過ぎ、金谷ホテルの高級カレー、久々の日光東照宮で満喫した私たちは帰りの電車を待っていた。
そのあいだ中、私がずっと悩んでいたのは、
日光珈琲に行くか行かないか
ということであった。
春に御用邸通にある日光珈琲に向かった時のことを思い出していた。
緑豊かで爽やかな季節。
新鮮な空気に包まれて、朝一番に日光珈琲に向かっていた。
川沿いを車で走り、橋の手前で気付いたのは車の長蛇の列であった。
この頃、東照宮は例大祭が催されており、観光客で賑わっていた。
その影響で東照宮前の道路は見事に封鎖されていたのだ。
東照宮には行かず、カフェに行くのに渋滞に並ぶ始末。
しびれを切らした私達は引き返して、
御用邸通の日光珈琲を諦めたというわけだ。

あの時の無念さを思い出してしまったからには、行かないわけにはいかない。
私は考えあぐねた結果、1人、日光に残留し、前回の雪辱を果たすべく日光珈琲に向かうことを決意したのだった。

帰りの電車。改札で皆んなを見送った。
ひとり改札に残ってしまった私は、思った以上の寂しさに襲われていた。
だいたい遠出のカフェにはいつも誰かしら一緒にいるので、そんな気持ちになったことなんて一度もなかった。
一人旅とは比べものにはならないけれど、
一人遠く離れた地にいると思うと、寂しさが増した。
そして、携帯の充電が切れていることに気づいた時は自分の準備不足に唖然としてしまった。

これじゃ、場所すら分からないや。どうすりゃいいのさ。

日も暮れ始め、寒さも身にしみてきた。

とりあえず、早く行かねば。
そんな使命感に突き動かされ、開けたのは民芸品屋のドアだった。

気づいてるのかそうでないのか、店主は下を向いて黙々と作業をしていた。

あの、御用邸通にある日光珈琲の場所を教えてくださいませんか。

思わぬ質問に一瞬ぽかんとしていた店主。

日光珈琲の場所はわからないけれど、御用邸通は東照宮の山を越えるところにあるの。歩いて行くと40分はかかるからバスで行ったほうが良いわね。
と親切に教えてくれた。

お礼を言い、ちょうどよく来たバスに飛び乗る。大通りを進み、東照宮の入り口を通過し、山をくぐり抜けた。

一人下車し、到着した私を待っていたのは、あまりにも侘しい光景であった。

締め切った観光会館。商店。
どの店も1日の終わりを迎えようとしていた。すれ違う人もおらず、せっかく来たのに行けないのでは。
そんな焦りを感じると、無気力になってしまった。呆然としていると、
どうされましたか。
振り向くと、見知らぬお兄さんが立っていた。
あ、日光珈琲に行きたいんです。この近くにあるはずなんです。

そう告げると、
その大通りを渡り、横道を入ると右手にありますよ。
とあっさり教えてくれた。
ラストオーダーまで、残り1時間。
ささっと歩き、店の前に辿り着いたとき、
安堵で涙が出そうになった。

日光珈琲 御用邸通
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店内には誰もいなかった。
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光沢のある広々としたテーブル。ストーブの焦げ臭いにおい。タイル張りのカウンターに、ステンドグラス調のカラフルでレトロな電灯。
歴史ある日光という土地に馴染んだカフェだ。


今のままでは、これから安心して前に進めないこと。その為には煩わしい事に向き合わずに、いっそのこと綺麗さっぱり捨ててしまおう。って思ったこと。
同じことを考えて、堂堂巡りになって、一人で考えすぎていた気もする。


からからに乾いた木々に、溶け残る雪。
しんとした夕方。
寂寥感におそわれ、思わずぶるっとしてしまう。
暖かな日差しを待つ枯れ木のように、この冷めて硬くなってしまった私の気持ちがいつか元に戻る日が来ることを願っていた。