前回からの続き
(今回は(4)と(5)を続けてアップしています)
ここでもうひとつ別の似たような研究資料を。東京学芸大の論文で当時関東一部の大学サッカー部におけるAチーム、B1チーム、B2チームを体力テストによって比較したもの。
https://core.ac.uk/download/pdf/15918336.pdf
このテストにおいてもやはり筑波大の論文とほぼ同じような結果が出ているのだが、この中の図4が非常に分かり易い。体格を除きAとBにハッキリした差があるフィジカル要素は「30m走」「50m走」「立ち幅跳び」「垂直飛び」の4つである。
しかし30mと50mは実質同じ、立ち幅跳びと垂直飛びはジャンプ力で括ることができる。つまり結局「スピード」と「ジャンプ力」この2種なんだね。筑波大の論文でもやはりジャンプ力は昇格と非昇格でかなり差がある。特にプロのベンチ入りメンバーの垂直飛びはかなり高い。
垂直飛び 54、5cm(昇格) 55、0cm(非昇格)(ジュニアユース → ユース)
垂直飛び 62、8cm(昇格) 59、0cm(非昇格)(ユース → プロ)
垂直飛び 68、9cm(入り) 63、7cm(外)(ベンチ外 ベンチ入り)
そしてこの「スピード」と「ジャンプ力」の数値を見た後にシャトルランの数値を見ると、非常に面白いのだ。
では最後にシャトルランのデータを見てみよう。いわゆる持久力のテスト数値である。
シャトルラン 118、9回(昇格) 115、4回(非昇格)(ジュニアユース → ユース)
シャトルラン 132、8回(昇格) 130、8回(非昇格)(ユース → プロ)
シャトルラン 115、8回(入り) 121、1回(外)(ベンチ外 ベンチ入り)
非常に興味深い事にプロ選手の平均値はユース非昇格組の平均値さえ大幅に下回っているのだ。そしてなんとベンチ入りメンバーはベンチ外メンバーよりも更にシャトルランの数値が低い。
これは一体何を示しているのだろうか?
他のフィジカル要素は「非昇格<ベンチ外プロ<ベンチ入りプロ」の傾向をかなり明確に示している。速く走れて高く飛べる方が間違いなく評価される。しかし持久力に関しては逆にプロのベンチ入りメンバーの数値が最も低いのである。
論文の中に「以前にもユース世代の方が持久力に優れていたという報告がある」とある。ところがこの論文にはそれについての詳しい考察が書かれていない。そしてそれに対するパパ独自の見解がまさに今回のテーマの中心となる。
その理由こそが海外の真の強豪国と日本の差だとパパは考えている。骨格などという持って生まれた素質の話ではない。トレーニングの基本が違うからその差が生まれてしまうのだ。次回はパパの考察を詳しく解説してみたい。体重、瞬発力、持久力の関係、日本と海外のトレーニングの違いが見えてくるとやるべきことがハッキリしてくるのだ。
ちなみにフィジカルの話になると日本人と西洋人の根本的な骨格の違い、農耕民族と狩猟民族の違いなどということを言うトレーナーも多いよね?でもパパはそういうトレーナーさんに聞きたいんだよ。じゃあヨーロッパで農耕が始まったのっていったいいつよ?
パパは歴史に「超」がつくくらい疎い。でもだからこそ素直に「変だなあ」って思うんだよ。ヨーロッパの方が先に栄えているのにそういう人々が狩猟で暮らしてた?そんなことってあり得る?調べてみるとやはりさ。ヨーロッパに農耕が広まり始めたのは6千年前、弥生より遥かに昔。縄文人が野山を一生懸命駆け回っていた頃、メソポタミアには既に街にパン屋があったとさ。
メソポタミアはヨーロッパではないけれど地続きだし、ゲルマン民族だって大移動したのは農耕が何世紀にも渡って発達しすぎて農地がなくなった為と書かれていたぜ?ヨーロッパは狩猟、日本は農耕?いつ誰がそんなことを言いだしたんか知らねえけど海外でそんな話したら鼻で笑われるんじゃね?実際アメリカでそんな話して怪訝な顔で「え?ヨーロッパでも太古の昔から畑を耕しているけど、、、???」と言われてハッとしたという話も見つけたよ。
ね?DNAの差なんかじゃないんだよ。やることやれば日本人でもやれる。
だったらやってやろうぜ?そういう話なのだ。
というわけで次回はいよいよ体重の話。