高市は双方の企業のマッチングの場を設定した積りだろうけど、中央アジア5カ国が高市政権のカントリー・リスクをどう見ているのかも注意点。大手総合商社など資源絡みではとっくに現地進出済みだけど、現地と日本とのルート設定をどこにするか、BRICS との関係も無視できなくなった。
— アジア記者クラブ(APC) (@2018_apc) 2025年12月21日

日本と中央アジア5か国が首脳会合 高市首相“協力関係を強化”
日本と中央アジア5か国の初めての首脳会合が開かれ、経済関係を強化し、5年間で総額3兆円規模のビジネスプロジェクトの目標を設定することや、重要鉱物のサプライチェーンの強化などを盛り込んだ「東京宣言」を取りまとめました。
日本と、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの中央アジア5か国との初めての首脳会合は、19日から都内で開催され、20日は午前中、全体会合が行われました。
冒頭、高市総理大臣は、20年以上にわたって日本と5か国による外務大臣レベルの会合などが行われてきたことに触れた上で「初の首脳会合が開催でき、光栄だ。中央アジア各国の人口は増え続け、急速な経済発展を遂げるとともに、グローバルな課題への取り組みの主導など、プレゼンスを高めている。アジアとヨーロッパをつなぐ貿易ルートとしての重要性も増している」と述べました。
その上で「中央アジアを取り巻く環境が急激に変化している今こそ、地域協力や世界との連携がますます重要となっている。こうした現実を踏まえ、今後の協力のあり方を議論したい」と述べました。
そして、会合の成果として「東京宣言」を取りまとめました。
この中では、日本と5か国の経済関係を強化し実利的な協力を発展させるとした上で
◇中央アジアで5年間、総額3兆円規模のビジネスプロジェクトの目標を設定することや
◇豊富な天然資源を踏まえ、重要鉱物のサプライチェーンを強化すること
◇AI分野での協力パートナーシップの創設
などを盛り込んでいます。
また
◇中央アジアとヨーロッパをつなぐ輸送ルート、「カスピ海ルート」に関する協力を促進し、拡大すること
◇法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて相互に協力する
などとしています。
20日の会合では、次回の首脳会合をカザフスタンで開催することも確認しました。
高市首相“日本に対する信頼と期待感じた”
高市総理大臣は首脳会合のあと総理大臣官邸で記者団に対し「中央アジアはエネルギーや鉱物資源を有する地域でもあり、特に重要鉱物関連では供給源の多角化を通じグローバルなサプライチェーンの強じん化に向けた連携を強化していく。首脳との対話では、シルクロードを通じた交流の歴史に基づくきずなに加え、日本に対する強い信頼と大きな期待を感じた。今回の首脳会合と各国との会談を機に、中央アジアとの関係をさらに強化していく」と述べました。
中央アジア外交の狙いは
中央アジア5か国は、アジアとヨーロッパの間に位置し国際情勢が大きく変化する中、外交・地政学上の重要性が増しています。
旧ソビエト圏の各国は、歴史的・地理的にロシアや中国との結び付きが強い一方、両国への経済的な依存を低くするための取り組みも進めています。
こうした中、ロシアや中国だけでなく、アメリカやインド、それにヨーロッパ各国も中央アジアとの首脳会合を実施するなど、各国が関係強化を図っている状況です。
日本は、20年以上前から中央アジアとの外務大臣による会合を重ねており、去年、当時の岸田総理大臣が初めての首脳会合をカザフスタンで開催する予定でしたが、直前に「南海トラフ地震臨時情報」が出されたことなどを受けて延期されていました。
中央アジアには、石油や天然ガスに加え、ウランやレアメタルなど重要な天然資源が豊富にあり、日本としては、中国など特定の国への過度な依存を避けるため、中央アジアとの関係強化を通じてサプライチェーンの強じん化につなげたい考えです。
一方、中央アジアにも、日本に対し
◇天然資源の開発に向けた技術協力のほか
◇脱炭素化や保健・医療分野での支援
◇「一村一品運動」としての現地の特産品の販路拡大
などへの期待があります。
政府関係者は「中央アジアの重要性は年々高まっている。ロシアや中国の動向も念頭に、ウィンウィンの関係を築きたい」と話しています。
日本としては、首脳会合に「CA+JAD」(カジャッド)という略称を付けるなど、定着させたい考えで、今後も定期的に開催し、関係の深化を図ることにしています。
“150余のプロジェクトで協力文書”ビジネスフォーラムで発表
中央アジア5か国の首脳の来日に合わせて20日、日本と中央アジア5か国の経済関係の強化を目指すビジネスフォーラムが開かれ、政府や企業の関係者などおよそ700人が参加しました。
この中で今回、日本と5か国の間でビジネスに関する150余りのプロジェクトについて協力文書を交わしたことが発表されました。
5年間で総額3兆円規模を目指すとしていて、重要鉱物の確保に向けた案件が多く含まれています。
具体的には
▽半導体の材料になる希少金属のガリウムをカザフスタンから初めて日本が輸入するほか
▽原子力発電でも使われるウランの輸入拡大
▽日本の政府系機関がカザフスタンで重要鉱物を探査すること
などが盛り込まれています。
ガリウムをめぐっては世界の生産量のほとんどを占める中国がおととし8月から輸出規制を続けています。
今回の協力案件などを通じて日本としては重要鉱物の調達先の多角化をさらに進めていく考えです。
高市首相 “重要鉱物の安定供給で連携強化”
高市総理大臣は、20日午前、ビジネスフォーラムであいさつし「日本の技術でGX=グリーントランスフォーメーションや産業の高度化に貢献する。重要鉱物の安定的な供給は、世界経済の発展に不可欠でありサプライチェーンの強じん化に向けて、中央アジアとの連携をいっそう強化していく」と述べました。
そして「中央アジアと日本は30年以上にわたり持続可能な成長の実現に向けた協力を着実に積み重ねてきた。長年の信頼関係こそが協力を支える強固な基盤だ。古来より『衆心城を成す』と言われるように、人々の心が一つになれば、城を築くほどの力となる。ともに課題を乗り越え、次の世代に誇れる持続可能な成長を実現しよう」と呼びかけました。
日本と5か国の企業関係者も交流
ビジネスフォーラムでは、日本と5か国の企業関係者が、今後の連携を見据えて情報交換や交流を深める場も設けられました。
その会場には、中央アジア向けの商品やサービスを紹介する日本企業によるブースも設けられ、鉱物の発掘に使用される重機の説明などに、中央アジア側の参加者が熱心に耳を傾けていました。
会場を訪れたトルクメニスタンの建設会社の幹部は今回の日本との首脳会合やビジネスフォーラムについて「非常に効果的だった。さまざまな日本企業と面会し、相互理解を深める機会を得られた」と話したうえで、「日本には非常に高度な技術があり、それをトルクメニスタンに導入したい」として今後、日本企業との連携が進むことに期待を寄せていました。
また、キルギスの風力発電システムメーカーの経営者は、中央アジアの国とつながりが深いロシアについては「ロシアは制裁を科され経済は低迷している。経済がよくないので将来性を見出せない」とした上で、「中央アジア諸国は日本との新たな機会を求めている」と話していました。
