「人食いバクテリア」、なぜ日本で感染拡大-予防は基本的な衛生管理
Samson Ellis、照喜納明美
2024年6月19日 16:33 JST 


感染後48時間以内に死亡するケース多い-東京女子医科大の菊池教授 


感染者の10人に3人が死亡-米疾病対策センター
日本国内で48時間以内に人を死に至らしめる「人食いバクテリア」とも呼ばれる劇症型溶血性レンサ球菌(溶連菌)感染症(STSS)が広がっている。

 


 国立感染症研究所は、今年のSTSS患者数が6月9日までに1000人を超え、昨年1年間で報告された過去最多の941人を上回ったことを明らかにした。


   日本での感染者数が今年中に2500人に達するのではないかと専門家は懸念している。 


 STSSとは何か
 
 


この病気の発生を1999年から追跡調査している国立感染症研究所によれば、STSSは極めてまれだが、すぐに生命を脅かす緊急事態に発展する可能性のある重い細菌感染症だ。


 STSSの原因は
  


A群溶血性レンサ球菌(GAS)が原因で、一般的には小児の喉の腫れや痛みを引き起こす。これが患者の深部組織や血流に広がると、症状は急速に悪化する。


 どの程度危険なのか
 
 


発病ペースの速さは、STSSで最も懸念されることの一つだ。東京女子医科大学の菊池賢教授(感染症学)によると、感染後48時間以内に死亡するケースが多く、医師がこの病気を特定して治療する時間はほとんどない。


米疾病対策センター(CDC)によれば、感染者の10人に3人が死亡する。

  ただ、日本での感染者数はインフルエンザや新型コロナウイルス感染者に比べればはるかに少なく、まだまれなケースであることに留意する必要がある。


厚生労働省はSTSS感染拡大を理由に訪日旅行を取りやめる必要はないと呼びかけている。 


 症状は
 
 


最初の兆候は、発熱や悪寒、筋肉の痛み、吐き気などで、インフルエンザに似ている。しかし、48時間以内に事態ははるかに深刻になり、患者は低血圧に苦しみ、心拍数や呼吸が通常より速くなる。臓器不全やショック状態に陥るなど、感染による重大な合併症もよく見られる。


 治療法は
 
 


自宅で安静にしていれば克服できる病気ではない。病院での治療が必要で、CDCはショックや臓器不全に対処するための点滴などの治療が行われると説明。さらに極端なケースでは、感染した組織を取り除く手術が必要になることもある。 


 なぜ日本で流行しつつあるのか
 
 


まだ分かっていない。インフルエンザやアデノウイルスを含むさまざまな感染症は、コロナ規制緩和に伴い増加したと菊池教授は言う。

  


これらの一般的な感染症はやがて沈静化したが、SISSの症例数は、それが通常どれほどまれなものであるかを踏まえると、比較的多いままだ。

  


英国とフランス、アイルランド、オランダ、スウェーデンでは2022年後半のコロナ規制緩和を受け、STSSを含む侵襲性GAS感染症の増加が報告された。

感染を防ぐには
 

 STSS感染者が他の人に感染させることはまれだが、それほど重症でない溶連菌感染症は感染力が強く、STSSに発展する可能性がある。

  


感染予防の多くは、基本的な衛生管理が中心だ。こまめに手を洗い、咳やくしゃみから逃れ、傷口を清潔に保ち、真菌感染症にかからないようにすることだ。


傷口が開いていたり、皮膚に感染症がある場合はプールや湖、川、海に入ったり、浴槽につかったりしないようCDCは勧告している。より深刻な感染症の場合、特に65歳以上の患者には抗生物質が有効だ。



溶連菌は誰もがのどや鼻の穴にもっている常在菌のひとつですが、A群、B群、C群、G群などと多くの種類があります。 このうち溶連菌感染症の原因の約9割を占めるのがA群です。 溶連菌感染症というのは一般名称で、詳しい病名は「A群β溶血性レンサ球菌咽頭炎」といいます。


常在菌が悪さをするんですね。


原因は↓