熱を下げてはいけない : 感染症の治癒メカニズムが人体で発動するのは「体温が《38.5℃以上》に上がったときのみ」であることが中国科学院の研究で判明

投稿日:2019年1月19日 更新日:2020年9月2日

2019年1月15日のアメリカ医学メディアの記事


「体温が 38.5℃以上になったら、この解熱剤を飲ませて下さい」

というものなのでした。

私自身は、当時から、小さな子どもに解熱剤を飲ませることのほうが不安で、飲ませたことはありませんでしたが、他の方法(冷やすなど)で一生懸命、熱を下げようとはしてはいました。

しかし、このブログを書きはじめて以来、

「熱の効用」

ということを、たとえば、日本最初の整体師であった野口晴哉さんや、ルドルフ・シュタイナーなどの言葉から知るようになり、「熱をむりやり下げることは良くないことなのでは」と思うようになっていきました。

しかし、「その理論的な支柱がわからない」という部分があったのです。

理論的なことなどわからなくてもいいという話もあるかもしれないですが、私自身は、どうも「理論が存在しないと確信しきれない」という部分が大きい人で、発熱と感染症の治癒の関係を知りたいと思っていました。

 

そんな中、つい先日、中国の自然科学の最高研究機関である中国科学院の「上海生化学細胞生物学研究所」という機関が「発熱と感染症の治癒に関してのメカニズムを判明させた」のでした。

この研究からは、先ほど書きましたような、現在、多くの医療現場で言われている「 38.5℃以上になったら熱を下げる」というのは、「論外」であることがわかります。

なぜかといいますと、

「感染症を治癒するための体内のメカニズムは体温が 38.5 ℃以上でないと発動しない」

からです。

まずは、その論文について記事にしていたアメリカの医学メディアの記事をご紹介いたします。いろいろと専門用語が出ていますが、それらは、翻訳記事の後で注釈させていただたきます。

ここからです。

そうなりますと、白血球を炎症部位に誘導する役割を持つ Hsp90 という熱ショックタンパク質の機能が働かない。

結果として、白血球などによる体内の自己治癒システムが機能しないまま、風邪の状態が経過してしまうため、治りきらないで長引いてしまう……ということはあるのではないかなと思います。

 

結局、今回の研究ではっきりしたのは、

「熱は人を苦しめているのではなく、助けている」

ということです。

 

ルドルフ・シュタイナーは、1908年にドイツでおこなわれた講演で以下のように述べており、「熱を下げてはいけない」と強く主張しています。

1908年のシュタイナーの講演より

生体はその損傷に反抗し、防御力を用います。この反抗が通常、熱なのです。

熱は、人間のなかの治癒力の呼び声なのです。熱は病気ではありません。

損傷を直すために、人間が自分の生体全体から力を呼び集めているのです。

病気において、熱は最も慈善的で、最も治療的です。

損傷を受けた個々の部分は、みずから治癒できず、他の側から力を得なくてはなりません。それが熱として表現されるのです。

この講演のすべての内容は、シュタイナーの「人間の四つの気質」に掲載されています。

このシュタイナーの言っている

> 損傷を直すために、人間が自分の生体全体から力を呼び集めている

というところは、今回の研究で導かれた結果をとてもよくあらわしている表現だと思います。白血球を炎症部位に多く導くために、全身の熱ショックタンパク質とインテグリンというものが働いている。

 

あるいは、紀元前 400年頃の古代ギリシャの医師であるヒポクラテスも同じようなことを述べていました。ヒポクラテスは、いくつもの格言を残していますが、その中に、

の中で、

 

「病気が治るのも自然良能であり、病気になるのも自然良能です。」

 

と述べられていまして、病気になって熱や症状が出ることは、「体に良いことが起きている」としていました。

 

ところが西洋医学は、熱に対して、それを力尽くで押さえ込むという介入をしてしまった。

薬で熱をむりやり押さえ込むという行動は、今回の研究でわかる通り、「速やかな感染症からの回復を妨げるもの」です。

さきほどのナイチンゲールの『看護覚え書』には、看護とは、

> 回復過程を邪魔している要素を取り除くこと

だとありますが、現代社会で「 回復過程を邪魔している要素」は、かぜ薬そのものであるということなのかもしれません。

もっとも、病気の際の発熱への対応は、人それぞれの状態や状況に応じての適切な方法が必要だとは思います。緊急に熱を下げなければいけない状態もあるはずです。

しかし、少なくとも、体内の治癒メカニズムが発動するには 38.5℃以上の熱が必要だということが今回わかったということで、38℃から 39℃くらいの熱ならば、穏やかな感染症からの回復のためには、熱は無理に下げないほうがいいと結論付けられると思われます。

 https://indeep.jp/fever-is-great-healer-for-infections-cure/