「接種後に死亡」と「接種を原因とする死亡」は違う…厚生労働省の呼び掛け 新型コロナウイルスワクチン
2021年8月29日 午後8時00分
新型コロナウイルスの感染流行の波が繰り返される中、国内ではファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社のワクチン接種が進められている。厚生労働省は、接種後の死亡例に関して8月8日までの状況を公表しており「現時点では、ワクチンとの因果関係があると結論づけられた事例はない」としている。
厚生労働省は、接種者の副反応疑いや死亡例に関して医療機関に報告を求めており、同省の審議会に報告し専門家による評価を行っている。
8月25日に開催された審議会での報告によると、ワクチン接種が始まった2021年2月17日~8月8日に報告された接種後の死亡例は、ファイザー社で991例、武田・モデルナ社で11例だった。
「接種後の死亡」事例には、ワクチンとは無関係に発生するものが含まれているとし、厚労省はホームページ上に「現時点では、ワクチンとの因果関係があると結論づけられた事例はなく、接種と疾患による死亡との因果関係が、今回までに統計的に認められた疾患もありませんでした」と記載。国内外の調査を踏まえ「ワクチン接種が原因で何らかの病気による死亡者が増えるという知見は得られていない」としている。海外の調査では、接種者の流産も増えていないという。
副反応疑いの事例では、ワクチン接種と関係があるものか、偶発的な発生や他の原因によるものかが分からない事例も数多く報告されているとし「医師から副反応を疑って報告された事例を、透明性をもって全て公表している」。SNS(会員制交流サイト)やビラなどでは「接種後の死亡」を「接種を原因とする死亡」として記載されている例があるとし、注意を呼び掛けている。
【8月25日公表の評価は以下の通り】対象期間:2021年2月17日~8月8日
▽ファイザー社
副反応疑い:0.02%
アナフィラキシー:405件(100万回接種あたり4件)
心筋炎・心膜炎:59件(100万回接種あたり0.7件)
▽武田・モデルナ社
副反応疑い:0.01%
アナフィラキシー:9件(100万回接種あたり0.7件)
心筋炎・心膜炎:13件(100万回接種あたり1.1件)
※両ワクチンの接種対象の年齢などが異なるため「単純な比較は困難」としている
※アナフィラキシーは、専門家が(ブライトン分類1~3)と評価した件数
※報告によって、いずれのワクチンも安全性において重大な懸念は認められないと評価