厚労省がワクチン“死亡事例”の詳細を公表しなくなったナゼ
政府は10日、国内での新型コロナウイルスワクチン接種回数が、累計で2000万回を超えたと発表した。
9日までの総接種回数は2038万3612回で、内訳は医療従事者向けが約882万回、高齢者向けが約1156万回。
ワクチン別で見ると、これまでに米ファイザー社製が約2006万回、米モデルナ社製が約32万回使用された。
菅首相が掲げる「1日100万回」には届いていないものの、東京五輪を控え、接種のペースは確実に加速している。
一方、比例して増加しているのが接種後死亡の報告事例だ。
厚労省の「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」が9日に公表した死亡事例は
今年2月17日から6月4日までで計196件。5月30日までの事例を対象にした専門家の評価結果はいずれも
「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できない」とされた。
「因果関係が評価できない」という言葉は、過去の「子宮頸がんワクチン」で重篤な症状が発生した時でも見られた表現だ。
「情報不足等」により評価が難しいのであれば、死亡事例について、より多くの情報を収集、検討、評価するべきだが、なぜか、厚労省は前回(5月26日)まで公表していた死亡事例の詳細に関する資料を添付しなくなった。
それまでは接種日や発生日、死因などの一覧表に加え、その時の体温や死亡に至る経過や状況などが細かく記された資料が示されていた。資料を見れば、審議会の専門家でなくとも、副反応の可能性などについて考察できただろう。ところが9日公表の資料には、そうした詳細がなくなったのだ。一体なぜなのか。
「審議会の専門家から、『情報量が多すぎて整理してほしい』と以前から指摘されていたので(資料を省いた)。(部会は)何か異常なシグナルがないかということを見るため、全体の傾向を見る方が大事だということです」(厚労省健康課)
「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できない」としながら、「情報量が多すぎて整理してほしい」――とは矛盾するようにも思えるが、いずれにしても後年にきちんと第三者が審議について検証できるようにするのは言うまでもない。