中国国策会社の紫光集団が実質デフォルト=半導体国産化に暗雲

【上海時事】中国ニュースサイト、経済観察網などが17日までに伝えたところによると、中国半導体大手、紫光集団(北京市)が発行した13億元の社債が実質的なデフォルトに陥った。同社は中国が国を挙げて取り組む半導体国産化をけん引する国策企業として注目されており、その動向は海外からも関心を集めそうだ。

 これを受け、中国の格付け会社は相次いで紫光集団の信用格付けを引き下げた。同社の財務状況は一段と悪化する恐れがある。今後1年以内に償還期限を迎える社債は60億元超に上り、12月に償還期限を迎えるドル建て債にも「クロスデフォルト」が波及する恐れもある。

 同社は先月、2015年に発行した償還期間の定めのない永久債(元本10億元、利回り6.5%)について、設備投資の増加でキャッシュフローが圧迫されていることを理由に、同月末に予定されていた初回の繰り上げ償還を見送ることを発表。かねて資金繰りの悪化が懸念されていたことから信用不安が一気に高まった。

 先週の上海証券取引所では、同社債の価格が急落。高利回り・高リスクのジャンク債(投資不適格の社債)同然の扱いとなった。

 紫光集団は中国の名門、清華大学傘下の投資会社「清華大学科技開発総公司」をベースに1993年4月に設立された。2013年に半導体事業に参入。傘下にはNAND型フラッシュメモリーを手掛ける長江存儲科技(YMTC)や、IC設計の紫光国芯微電子などを抱える。

 ただ、半導体産業の加速度的な進化が続く中、巨額の開発費と設備投資が経営を圧迫。資産効率の悪化や負債比率の高止まりといった問題が顕在化している。既に、北京市政府と紫光集団の支配株主、清華控股の合同チームが紫光集団に派遣され、調査に着手したとの情報もある。

 中国市場では今月10日、国有石炭大手、永城煤電集団(河南省永城市)が、期限を迎えた10億元のコマーシャルペーパー(CP)を償還できなくなり、格付けが最高ランクから、一気に10段階も引き下げられた。

 13日にはドイツのBMWと合弁事業を展開する国有自動車大手、華晨汽車集団(遼寧省瀋陽市)が債権者から破産重整(日本の民事再生に相当)の申請を受けたことを発表。有力企業の相次ぐ信用不安に、金融市場では動揺が広がっている。(了)


中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)がデフォルト(債務不履行)の可能性について中国当局に警告した。同社が求める深圳上場を当局が認めなければ、中国の50兆ドル(約5274兆円)規模の金融システムが動揺する恐れがあるとしている。

  中国恒大は広東省政府に宛てた8月24日付書簡で、資金不足を回避し、上場を確実にするために必要な再編案への支持を求めた。ブルームバーグがこの書簡を確認した。


広東省に本社を置く中国恒大が深圳証券取引所に上場する認可を来年1月31日までに得られない場合、同社の大株主となっている戦略的投資家の一部は投資資金の返還を求める権利がある。投資家側が期限延長を拒めば、中国恒大は同社が持つ現金および現金等価物の92%に相当する最大1300億元(約2兆円)を支払う必要が生じる。

書簡では、こうした事態になれば、銀行や信託、ファンド、債券市場からの借り入れで「クロスデフォルト」を招く可能性があり、最終的には金融システムのシステミックリスクにつながり得ると中国恒大は警告している。

中国恒大集団の社債急落、株価も4カ月ぶり安値-流動性危機の懸念

  広東省政府の報道室に24日に電話したが返答はなかった。中国恒大は資料で、同社の資産再編計画を巡るソーシャルメディア上の投稿は「でっち上げ」だと主張したが、詳細には言及しなかった。当局に支援を求めたかどうかについては触れずに、1-8月に事業売り上げが4000億元のキャッシュフローを生み出し、健全な運営を維持していると説明した。

  中国恒大はすでに上場している香港で24日に株価が急落。同日の取引を5.6%安で終え、25日も下げて始まり、一時は4.6%安となったが、7%高となる場面もあるなど、値動きの荒い展開となっている。


中国はモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスを雇い、パイプライン資産譲渡について北京が有利なようにアドバイスを受けている