オラクル、TikTokとの提携発表 ウォルマートと2割出資

【シリコンバレー=白石武志】米オラクルと中国発の動画アプリ「TikTok(ティックトック)」は19日、提携策で基本合意したと発表した。ティックトックの国際事業を分離して設立する新会社にオラクルと米ウォルマートが合わせて20%を出資する。

米トランプ政権は米国企業が新会社の株式の過半を持つよう求めてきたが、その他の株主構成については明らかにしていない。

ティックトックの国際事業を分離して設立する新会社「ティックトックグローバル」が新規株式公開(IPO)を目指すことや、オラクルとウォルマートがIPO前の資金調達に参加して両社合わせて20%を出資することなどで合意した。

新会社に対する出資比率はオラクルが12.5%、ウォルマートは7.5%となる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、ティックトックの親会社である中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が新会社の80%の株式を保有する。

バイトダンスには米国の投資家が約40%を出資しているため、新会社の株式の過半を直接または間接的に米国企業が持つ計算になり、米政府が求める米国企業による過半出資の条件を満たせるという。新会社はIPOによって米国の投資家の出資比率を高める可能性もある。

米国政府が示す国家安全保障上の懸念に対処するため、新会社にはオラクルがクラウドコンピューティングの基盤を提供する。ティックトックは現在、ウォルマートと小売り分野での提携交渉を進めているという。

トランプ米大統領はティックトックの米国事業について「安全性を完璧に保つ必要がある」としている。この点について、オラクルのサフラ・カッツ最高経営責任者(CEO)は声明で「ティックトックの世界中の利用者のプライバシーを保証する能力に100%の自信を持っている」と述べた。

ティックトックなどの発表に先立ちトランプ氏は19日、ティックトックとオラクルなどが提携する案について原則的に承認したと明らかにしていた。米商務省は20日に予定していたティックトックのアプリ配信禁止措置を27日に延期した。米政府としての最終承認には対米外国投資委員会(CFIUS)による最終審査などが必要となるという。


トランプ米大統領は19日、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」米事業を巡るオラクルの提携案を「概念の面で」承認したと述べた。同アプリが国家安全保障上の脅威だとして、事業の売却を求めていた。

  トランプ氏はノースカロライナ州での選挙集会に向かうためホワイトハウスを離れる際、「私はこのディールを承認した。最後まで成し遂げられれば素晴らしいし、そうでなくても問題ない」と記者団に対して発言。「概念の面で承認した」と話した。

loomberg
Share on Facebook
Share on Twitter
トランプ大統領、TikTok米事業でオラクル提携案を承認
Saleha Mohsin、Josh Wingrove
2020年9月20日 7:20 JST
更新日時 2020年9月20日 11:50 JST
新会社はテキサス州、2万5000人以上採用する見通し-トランプ氏
オラクルは新会社に12.5%出資、クラウドプロバイダーに
トランプ米大統領は19日、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」米事業を巡るオラクルの提携案を「概念の面で」承認したと述べた。同アプリが国家安全保障上の脅威だとして、事業の売却を求めていた。

  トランプ氏はノースカロライナ州での選挙集会に向かうためホワイトハウスを離れる際、「私はこのディールを承認した。最後まで成し遂げられれば素晴らしいし、そうでなくても問題ない」と記者団に対して発言。「概念の面で承認した」と話した。

President Trump Departs White House For North Carolina
ホワイトハウスを出るトランプ大統領(9月19日)
  「ティックトック・グローバル」と呼ぶ方向の新会社は教育基金に50億ドル(約5230億円)を寄付することで合意。トランプ大統領はこれで今回の取引に関して米政府への支払いを求めていた自身の要求を満たすとの見方を示した。また、ティックトック・グローバル本社がテキサス州に置かれるとし、「少なくとも」2万5000人が採用される見通しだと述べた。

一方、ティックトックはオラクルが同社の全ての米国データを管理し、コンピューターシステムを確保することを確認。ウォルマートとは商業パートナーシップで協力すると説明した。

  今回の計画を進めるには中国政府の承認も必要になるが、ティックトックの親会社である北京字節跳動科技(バイトダンス)は中国当局の承認が得られるとの自信を深めていると事情に詳しい複数の関係者は話した。


トランプ大統領は「中国とは無関係になり、全く安全になるだろう。それが今回の取引の一部になる」と主張。「全ての支配権を握るのは偉大な米企業2社であるウォルマートとオラクルだ」と述べた。

  オラクルはティックトック・グローバルに12.5%出資し、新会社のクラウドコンピューティングプロバイダーになる計画だと説明した。

ティックトックはオラクルとウォルマートが合計で新会社の最大20%の株式を保有し、新規株式公開(IPO)前の資金調達ラウンドで取得する可能性があると発表した。事情に詳しい関係者によれば、バイトダンスの株主でもあるセコイア・キャピタルとジェネラル・アトランティックも同ラウンドでの出資を目指す公算が大きい。


新経済連盟は4月7~8日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニで「新経済サミット2015」を開催。開催2日目の基調講演に、米Oracleの取締役会経営執行役会長兼最高技術責任者(CTO)であるLarry Ellison氏が登壇した。

 新経済連盟の代表理事であり、楽天の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏が聞き手となり、Ellison氏が持つ京都・南禅寺の何有荘や日本の文化、IT業界の動向やOracleの事業などが語られた。

Jobs氏との思い出
 冒頭、Ellison氏は三木谷氏の質問に答え、京都に持つ日本庭園の話から切り出した。

「私は20代にAmdahlに勤務しており、日本で富士通との提携の仕事に携わっていた。その頃、初めて京都を訪れ、日本庭園に感動した。日本庭園は人間が進化した環境を再構築している。水の流れる音や風の音、眺め、香りが安心感を与え、生命感を感じ取ることができる。京都出身の技師を使って庭を作り、移転するまで14年間かかった」などとした。

 また「日本に来ると『ものの哀れ』というものに触れることができる。素晴らしいものも一瞬にしてなくなってしまうということを理解できる。一日一日を宝のように大事にし、何か達成しなくてはならないという気持ちになる」と述べた。

 その後、東京で生活していたときには、日立製作所に電車で通勤。日立の野球チームに所属したり、パンポンと呼ぶ茨城県日立市特有のスポーツに講じた思い出話にも触れた。スポーツに関連して、2013年に国際ヨットレースのアメリカズカップで8対1から逆転して優勝したことにも触れ、「あきらめなければ達成できる事例のひとつ」と位置付けた。

 Ellison氏はSteve Jobs氏との思い出についても言及した。「共通しているのはお互いに完璧であることに執着する性格。だが、日本にくるとすべての人がそうであることがわかった。これが日本の文化を作っている。継続的に改善し、完璧を追求する企業が日本で成功している」

Ellison流企業買収の方法論
 Ellison氏は現在のOracleの事業について触れながら、次のように切り出した。

 「IT業界はまだ成長するが、根本的なITアーキテクチャはようやく成熟したといえる段階に入ってきた。発電し、それがわれわれに届くまでの仕組みは非常に複雑である。飲料水も同様であり、それでも利用者は水道の蛇口をひねれば水が出てくるという簡単な操作で利用できる。インターネットが登場してから、デバイスから複雑なものを排除でき、シンプルな端末を利用できるようになった。データのバックアップもサーバに委ねることができ、コンピューティングは必要なものをクラウドから購入できるようになった。ようやくITが水や電力の供給と同じようになった。複雑さが利用者から見えなくなった」

 そして、「OracleとMicrosoftの2社だけが、クラウドにおける3つのレイヤでビジネスを展開している。だが、Oracleは、PaaSでは最も評価が高いOracle Database、最も人気が高いプログラミング言語であるJavaをクラウドで提供している。開発したアプリは、ワンタッチでクラウドとオンプレミスを行ったり来たりできるといった特徴がある。モダン化されたユーザーインターフェースを持ち、グループで情報を共有し、すべてがモバイル端末で利用できる」とした。

 経営の考え方にも触れ、「常に学習し、改善することがOracleを動かしている。常に他社が何をしているのかということに注目しなくてはならない。他社がもっと優れたことをしているのではあれば、それに追いつかなくてはならない。あるいは、ほかの人のイノベーションを活用するという方法もある。こういうことをやっていかなければ負けてしまう。負けるよりは、勝つ方がいい」と語り、こう続けた。

 「15年以上前にSun Microsystems創業者であるScott McNealy氏と会話した。McNealy氏に、一番の過ちは何かと聞いた。すると彼は、戦略的に会社を買収する際に価値について、あまりにも細かく見てしまった点だと回答した。時価総額が大きかった時には、どんどん買収すればよかったと語っていた。Oracleも一時期は買収をしなかった時期があった。他社の動きをみて、こんなものは自分で作れると思っていたが、それは大きな過ちであった。2個は作れるが、10個は作れない。その結果、機会損失が生まれてしまう。顧客を獲得するためには時間がかかる。お金を出して買った方がいいというとことがある」

 ここでは具体的な買収例も挙げた。

 「Amazon.comのスピンアウトの会社も買収したが、決して業績はよくなかった。だが、技術が欲しいと考え、20人の優秀なエンジニアと1年間ほどの時間を買い取ることができた。Sun Microsystemsは55億ドル相当の現金を払って手に入れた。これは盗んだのとも同じ、逮捕されても仕方がないほど安価にハードウェアと優秀なエンジニアを手に入れた。このとき、MySQLも手に入れたが、これはSun Microsystemsが10億ドルで買収したものをわれわれが手に入れたものである。MySQLとともに、Java、SPARCも同時に手に入れることができた」

 Ellison氏は、世界最速のマイクロプロセッサがSPARCであること、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)時代ではJavaが重要な役割を果たすことを示し、「Javaは、HadoopやSQLとの連携でIoT分野でも優位な技術になる」と述べた。

 新たな企業の創出については、「そんなに多くGoogleやAppleが生まれるわけではない。かつては500社がPCを作っていた。これから10年かかると、どれぐらいのPCメーカーが生き残っているのか。起業家やベンチャーキャピタルは、ラスベガスでギャンブルをしているようなものであり、その多くは失敗する」などと語った。

 日本の経済界への助言として「日本は、もっと起業家を支援することが大切。日本の起業家には、数多くの才能を見ることができる。日本発の優れたコンピュータゲームがあることでも、それが証明される。しかし、日本の優秀な人材はベンチャー企業に行かないという傾向がある。日本の経済は、大企業のイノベーションだけでなく、イノベーションを生む起業家との組み合わせで成長することになる。そうした意味でも、新経済サミットのような会議を行うことが必要」である。

変わりつつある日本の企業文化
 会場からは、Ellison氏の京都での過ごし方に関する質問が飛び、これに対して、Ellison氏は「京都が大好き。年に数回、京都に訪れている。ここでは庭園の美しさよりも、私がそれをどう感じることができるかが大切。水の音、早朝の鳥のさえずり、肌に湿度を感じることで安心感につながる。私は普段、世界に出て競争しており、安全ではない生活を送っている。リスクを背負っている。安心感を求めて落ち着きを感じたいとき、謙虚な気持ちになりたいときに京都に行っている」と述べた。

 日本人の謙虚さはどんな影響を与えるのかという点については、「日本人はノーといわないと言われるが、それは文化的に理解できる。会議で唯一発言できるのは年上だったが、これも変わってきている。文化はゆっくりと変化する。北米では売り込むことは当たり前だが、日本では売り込みすぎると、丁寧ではない、謙虚ではないと見られる。いまの日本を見た限り、物事は変化している。新たな世代の起業家は変化している。日本は適合を繰り返してきた。挑戦してほしい」とした。

 「Oracleはベンチャーキャピタルを使ったことがない。かつては、ハードウェア会社に投資したが、ソフトウェア会社に投資しないためだった。だが、いまは起業家の会社の玄関口で投資をしたいというベンチャーキャピタルが列を作っている。アントレプレナーよりもベンチャーキャピタルの数の方が多い」などと語った。