ディストピアを現実化 安倍政権の正体を忘れてはいけない

安倍政権がまた公文書を改ざんした。もはや反国家的な犯罪組織と言っていい。菅義偉は事実を認め(1月14日)、内閣府が昨年11月に国会に「桜を見る会」の推薦者名簿を提出した際に、推薦した部局名を隠す加工をしていたと明らかにした。「極めて不適切な対応で、今後、このような行為を厳に慎むよう内閣府に徹底した」とのこと。菅はつい先日(1月9日)にも、招待者名簿の廃棄記録を内閣府が残していなかった件について「文書管理の徹底を指示した」などと言っていたが、アホにも限度がある。腐敗した組織の幹部が指示しても意味がない。第三者が徹底的に検証すべきだ。


 近代の悪はどのような形で現れるか。ジョージ・オーウェルの近未来小説「一九八四年」の主人公の仕事は公文書の改ざんである。「党」にとって都合が悪い過去の事実を抹消し、新たに歴史を捏造する。そこでは、言葉の破壊活動が継続的に行われる。たとえば強制収容所を「歓喜キャンプ」と言い換える。「党」の目的は国民の思考を止めることだ。

これは全体主義国家のパロディーだが、こうしたディストピアをそのまま現実化したのが安倍政権だった。安保法制騒動では憲法の解釈をひっくり返し、最後には首相補佐官が「法的安定性は関係ない」と言い放った。一連の安倍晋三事件では、省庁をまたがる形で公文書改ざん、日報隠蔽、データ捏造などが行われ、嘘とデマ、プロパガンダが連日のように社会に垂れ流された。連中が説明を拒絶し、証拠隠滅を図ろうとするのには理由がある。これまでも時間稼ぎをして新しいトピックを打ち出すことで逃げ切ってきたからだ。

だからわれわれは何度も思い出さなければならない。「桜を見る会」には、統一教会の関係者、悪徳マルチ商法の「ジャパンライフ」会長、反社会的勢力のメンバー、半グレ組織のトップらが呼ばれていた。安倍と周辺の一味は税金を使って支援者を接待し、後援会関係者による前夜祭の明細書も隠蔽。「反社」の定義も勝手に変更した。嘘と現実の矛盾が生まれ、整合性が取れなくなれば、現実のほうを歪めていく。今回の改ざんも、「推薦者名簿は廃棄済み」という国会答弁との整合性を図るためだった。安倍政権は日本の敵であるだけではなく、人類の敵、文明の敵である。