児童性的虐待は「いけにえの儀式」のよう ローマ法王、具体的対策を約束
2019年2月25日

キリスト教カトリック教会の法王フランシスコは24日、聖職者による未成年への性的虐待問題に具体的な対策を導入すると所信を発表した。

聖職者による性的虐待に関する特別会議は、21日からヴァチカンで行われていた。会議閉会に際し、法王は加害者の聖職者は「サタン(キリスト教の悪魔)の手先」だと発言。全ての事件に「真剣に」取り組むと述べた。

また、児童虐待はキリスト教以前にあった古代のいけにえの儀式を思い出させると語った。

その上で、大司教らは今後、虐待阻止と加害者への処罰のガイドラインを見直し、強化すると述べている。

BBCのジェイムズ・レノルズ・ヴァチカン特派員によると、法王は今回、大まかな方針を述べるに留まったが、虐待の被害者やサバイバーは具体的で詳細な対策の発表を訴えるだろうと指摘している。

「サタンの手先」

法王フランシスコは4日間におよぶ会議の最終日、「(児童虐待は)かつて特定の文化で広く行われていた、残忍な宗教儀式を思い起こさせる、そこでは人間が、多くの場合は子どもが、いけにえにされた」と述べた。

「この非人道的な行為は世界中で起きているが、特に教会においては、教会の倫理的権威や道徳的信用度とあまりに対照的で、どこよりも深刻で不道徳な行いとなる」

「人の魂を救済に導くため神に選ばれた聖職者が、自らの人間的な弱さや病に屈し、サタンの手先となってしまう。虐待の中に、純真な子どもさえ容赦しない悪魔の手を見る」

法王はその上で、今後は被害者を最優先し、全ての加害者を法の下に引き出し、虐待の隠ぺいを終わらせると約束した。

また、未成年への性的虐待は「全ての文化や社会にまん延する現象」で、世界共通の問題だと指摘した。


会議では何が?

会議には、130以上の国のカトリック司教協議会会長が招集された。

協議会会長には神父の義務となる行動規範や、虐待の発見や警察への通報に関する訓練など、虐待の対処法の行程案が提示された。

会議ではまた、被害者が虐待やその隠匿について証言する場面もあった。ほとんどの被害者は匿名で証言した。

アフリカ出身の1人の女性は、10代の頃に神父から何年も性的虐待を受けたが、神父がコンドームの着用を拒否したため、妊娠中絶を3回することになったと話した。

別のアジア人の男性は、100回以上にわたり暴行されたと訴えた。

法王にかかる重圧

2013年3月に選出された際、法王は虐待問題に「決定的な措置」を行うべきだと述べたが、虐待を隠ぺいした大司教の責任を問うために十分な働きをしていないという批判も出ていた。

カトリック教会では数十年にわたり、何千人もが神父から性的虐待を受けたと考えられており、教会も世界中で虐待を隠ぺいしていたと批判を浴びている。

虐待サバイバーは現在、未成年を守るために事前策が必要だと訴えている。

現代のカトリック教会にとって最も喫緊な危機について、法王は指導力を発揮し、実行可能な解決策を見出すという大きな重圧にさらされている。

https://www.bbc.com/japanese/47353318