地に落ちた信頼。日本の統計は、中国に劣るとも勝らない存在か…
日銀は安倍政権と一体化した組織感が鮮明に
当メルマガではこれまで、内閣府が各省庁と連携して繰り出してくる国家統計データに対して、日銀は一定の距離を置いているかのように説明してきました。
しかし、どうやらこれは私の大きな誤りのようです。
黒田日銀総裁は、問題となっている厚生労働省の毎月勤労の調査方法改定に深く関わっていたことが明らかになり、正直、あぜんとしています。
これは2015年11月の経済財政諮問会議の議事録から明らかになりました。
当時、厚生労働省が過去データの実勢に合わせて修正をおこなったところ、かなりのものに下方修正が示現してしまい、民主党政権下の2011年の賃金指数を、2014年で下回るというまさかの事態に陥ったとされています。
そのため2015年11月の諮問会議ではこれが大問題となり、当初は麻生太郎財務大臣が調査サンプルの入れ替えを強く求めたとされてきました。
それが、「直近の名目賃金のマイナスは統計上のサンプル要因が影響。実勢は緩やかに上昇していると考える」と、この件に口火を切ったのは、だれあろう日銀の黒田総裁であったことが判明してしまいました。
※参考:閣僚や日銀総裁から批判→見直し開始 賃金の統計調査 – 朝日新聞デジタル(2019年2月17日配信)
日銀総裁までも安倍政権に忖度か…
もともと黒田氏は生粋の大蔵(現財務省畑)の役人ですから、日銀のプロパーで構成される統計局とは一線を隔す存在であることは間違いありません。
しかし、すでにこの時は異次元の緩和から2年半が経過し、これといった経済指標上の成果がいつまでたっても出ていない状況下だったので、こうした改ざんに近いデータの入れ替えを黒田総裁自身が積極的に口にしてしまったものと思われます。
これにより、日銀総裁は相当、安倍政権に忖度する存在であることも、もろばれの状況になってきています。
安倍氏に近い御用経済学者の伊藤元重や、当時の安倍内閣の腰巾着である高市早苗総務相や甘利昭経済再生相が、こうしたデータ入れ替えに加担するのはある意味で非常にわかりやすい構図です。
しかし、日銀の黒田総裁までもがこうした進言に先陣を切っていたというのは、かなりあきれる状況です。ご本人がここからどう弁明するのかが注目されます。
少なくとも黒田総裁が、国家データ偽装により無理やり創出したインチキ・アベノミクス(別名:ウソノミクス)に猛烈に加担して片棒を担いでいた共同正犯であることだけは、どうも明確な状況です。これはもはや、言い訳のしようがない状況に陥っているように見えます。
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日本の国家統計は中国に劣るとも勝らない存在か?
中国が高度成長を果たした過去20年あまりでも、中国国家統計局が発表する各種経済データはどこまで本当か判らないというのが世界的な市場の見方です。
実際GDPなども、地方政府から出てくるデータがかなり改ざんされていることを、この国家統計局の責任者が公然と認めるというかなり唖然とする事態が起きてきたことを、いまさらながらに思い起させられます。
しかしどうも、日本の状況は下手をするとそれよりも酷いものになりつつあるようで、今後発表されるあらゆる経済統計もまったく信用する気にならなくなってしまったのは、かなり残念な状況です。
地に落ちた日本の信頼、どう回復するのか?
米国では、トランプがFRBパウエルに物申したことで、政権と中央銀行の独立性の問題が強く問われてきました。
国内に目をやると、安倍政権と少なくとも黒田日銀総裁は一体化しており、日銀の独立性などなんら担保されていないことがまるわかりの状況です。
この国はここまで失墜した信頼を一体どのようにして回復させていくのでしょうか?
FXのファンダメンタルズを語るべきこのメルマガで、何度も国家データ偽装の話をテーマにしなくてはならないのは、実に情けないものを感じます。しかし、自国のファンダメンタルズを示すデータ問題が大きく揺らいでいる以上、目を背けるわけにはいかないのが正直な気分で、国内でこのように呆れる事態に陥ることになるとは夢にも思いませんでした。
正直なところ、かなりがっかりです。
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