国連総長の墜落死「撃墜命じられた」と新証言


【ニューヨーク=橋本潤也】英日曜紙オブザーバーは13日、1961年9月に第2代国連事務総長のダグ・ハマーショルド氏を乗せた航空機がアフリカの北ローデシア(現ザンビア)で墜落した事故について、近くで戦闘機を操縦していたベルギー人パイロット(2007年に死亡)が撃墜したことを裏付ける新たな証言が見つかったと報じた。

 同紙によると、証言は今月、米国で開かれる映画祭で公開されるドキュメンタリー映画「コールド・ケース・ハマーショルド」で明らかにされた。映画では、「撃墜を命じられたが搭乗者は知らなかった」などと、このパイロットから関与を打ち明けられた知人の証言を紹介しているという。

 ハマーショルド氏は事故当時、ベルギーから独立直後のコンゴ動乱の停戦調停に赴く途上だった。パイロットは、コンゴ共和国(当時)から分離独立を宣言したカタンガ政府に傭兵(ようへい)として雇われていたという。

 これまでにも、このパイロットが撃墜に関与したとする説が浮上したことがあったが、パイロットの飛行は記録に残されておらず、アリバイがあると考えられていた。映画は、飛行記録が改ざんされた疑いがあるとの証言も紹介しているという。

 ハマーショルド氏の墜落死については、国連が設置した機関が2017年にまとめた報告書でも、「外部からの攻撃」の可能性を指摘していた。