汚染されたコメが消費されないための関門は三つある。
・コメの作付け制限をする
・出荷制限をする
・流通、販売段階で検査する
これらの関門の裏で、何が起こっているのか。
検査手法に疑問 恣意性は排除できず
人間に外部と内部の被ばくがあるように、作物にも直接降りかかる汚染と、土から吸収される汚染がある。
田植えは5月以降だから、放射性物質が大量に放出されたとされる震災直後ではない。
そこで、問題になるのは土壌から吸収するほうだ。
現在、国は土壌の汚染が進んでいるとして、福島原発から半径30km圏内などを、コメの作付け制限の地域として指定している。
この地域内のコメ農家には、国から補償がされることになっているから、制限をくぐり抜けてまでコメを作るメリットは小さい。
第一関門の「作付けの制限」を突破してまで市場に流れ、消費される可能性のあるコメは少なそうだ。
しかし、これでは不十分だ。
なぜなら、放射性物質は、同心円状に等しく拡散してくれない。
文部科学省が発表した地図を見ても、作付け制限地域外も汚染されていることがわかる。
しかも、これはあくまでシミュレーションであって実際に測ったものではない。
チェルノブイリ原発事故でも、放射性物質は距離に比例して飛散しないことがわかっている。
50km地域でも非汚染地域として制限がなされていないエリアがあるが、280km離れていても最も危険とされる「立ち入り禁止区域」に指定されているところもある。
つまり、広範にわたりまだら状に強弱がついて汚染されるのだ。
そこで、国は作付け制限地域外のコメについて、自治体に収穫前と収穫後の検査を指示した。
これが第二関門の「出荷の制限」に当たる。
検査は収穫の1週間前に水田にイネが植わっている状態で予備調査を行い、そこで基準値を超えた場合、本調査を行う。
本調査で健康に害がないとして定めた暫定基準値を超えた場合、出荷制限することになる。
現在、収穫を目前に控えて、全国で、予備調査の結果が出始めている。
8月19日には、茨城県鉾田市で初めて52ベクレル/kgの放射性セシウム(セシウム134、137の合計)を検出。
その後も、千葉県、福島県などで50ベクレル/kg程度が検出されたものの、「今のところは小売りが茨城産を回避する動きは見受けられない」とコメ卸業関係者は胸をなで下ろしている。
しかし、この検査の手法に、疑問を投げかける関係者は多い。
予備調査で最大5点、本調査で重要調査区域に指定された場合、15ヘクタールに1点であり、検査ポイントが少ないといわれているのだ。
また、恣意的にポイントを選んだり、低い数値が出るまで検査することも可能だ。
予備調査にしろ、本調査にしろ、そのポイントは「県に任せている」(農林水産省関係者)。
各県はさらに市町村に検査を指示、実際の作業は、県や市町村、農協の関係者などが行う。
前述のように放射性物質はまだらに飛散する。
より汚染の低いポイントを選んで検査するような悪意はないと信じたいが、少なくとも、仕組みのうえではそれができるようになっている。
福島県内の市町村ではすでに予備調査がなされたが、放射性物質は基準値以下どころか、不検出だったところもある。
しかし、これには福島県内の農家からですら、辛らつな声が上がっている。
「千葉と茨城からも検出されているのに、福島で不検出はありえない。そもそも作付け前の水田土壌調査や農作物検査にしても農民は1人も立ち会っていない」(いわき市50代)、
「不検出は信用できないから自分なら少し検出された地域のコメを食べる」(郡山市60代)
福島県の関係者は
「各市町村には、文科省が自治体向けに作成した空間放射線量の分布図のうち、最も高いところで計測してくれと頼んでいる」
と反論する。
しかし、同じ県内の農家から、疑問の声が上がるのだから、検査のやり方には改善が必要だろう。
「福島の農家から”自分の畑を検査したい”という希望が多数上がっている。
希望者の自主検査を自治体が支援し、その結果を国の検査と併せて使うことでより緻密な結果が出るような仕組みにするべきではないか」
と宮崎毅・東京大学大学院教授は言う。
心配されるのは検査の信頼性だけではない。
収穫から出荷までのあいだの2次汚染も気がかりだ。
コメは収穫、脱穀、精米の段階でかなり放射性物質が取り除かれる。
仮に5000ベクレル/kgに汚染された土壌で作られたとしても、理屈のうえでは精米した時点では54ベクレル/kg程度にまで下がっていることになる。
しかし、脱穀機に汚染されたもみがらが残っていれば次回の作業の際に2次汚染の危険が残る。
また、コメ以外の部分の汚染も問題となっている。
イネの葉や茎、もみがらは食用や飼料として出荷されているが、検査対象になっていない。
農水省はもみがらの処理について検討を進めているが、「出荷に間に合うのか」(販売業者)と不安の声が高まっている。
福島県に続々集まる他県産の米袋
最大の問題は検査の結果、出荷が制限されたとしても、くぐり抜ける方法があるということだ。
福島県いわき市・浜通りにある大型ホームセンター。
そこで今、ひそかに人気を集めている商品がある。
それが使用ずみ米袋「一空袋」だ。
一空袋とは、文字どおり、1度使用して空いた米袋。
ホームセンターでは山積みの栃木県や青森県の農協の一空袋が次々と買われ、すぐに売り切れた。
地元関係者は
「他県の一空袋がこんなに並んでいるのは今まで見たことがないし、売れ行きもすごい」
と驚きを隠さない。
コメの出荷後、精米されたり、外食企業などの最終消費家に渡った時点で、米袋は不要になり、それがリサイクルされ流通するのである。
一空袋自体は珍しいものではなく、割安な紙袋として農家が自家消費用のコメや農作物を入れたりするのに使ってきた。
だが一方で、一空袋はコメの産地・銘柄偽装の道具としてよく知られた存在でもある。
一空袋にはコメの産地、銘柄、生産年月、生産者の名前と住所が記され、集荷した農協と検査員の検印が押されている。
いわば農協お墨付きの米袋だ。
もしこの一空袋に、悪質な農家やブローカーが違うコメを入れれば、偽装を見破るのはプロでも容易ではない。
『コメほど汚い世界はない』(宝島社)の著者である食品ジャーナリストの吾妻博勝氏はこう指摘する。
「今、福島県になぜか他県産の一空袋が大量に集まってきている。これが産地偽装に使われたら、大変なことになる」
検査の手法に不安があるうえに、出荷制限をかいくぐる偽装袋が出回っているというのでは、第二関門では防ぎ切れず漏れるコメは少なからずありそうだ。
そして、最後の関門が「流通、販売段階での検査」である。
外食最大手ゼンショーは、使用するコメについて産地ごとに放射性物質の検査を始めた。
また、ロイヤルホールディングスも検査機器を導入、検査を始める。
ただし、外食、流通企業でも独自の検査機器を導入しているのは例外的な存在といえる。
多くは卸業者の検査証などに頼っている状況だ。
袋の偽装があれば見抜くことは絶対に不可能だ。
特定の産地のコメを買い続けるのを避ける
ここまで見てきたように、三つの関門で防いで、いっさい口に入らないようにするのは難しい。
しかし、消費者ができることもある。
同じ店で長い期間買う、もしくは、一つの産地のコメを買い続けることを避ければ、特定の汚染された地域のコメを摂取し続けるリスクは減る。
スーパーの店頭で、安全性の確保についてどのような取り組みをしているのか聞いてみるのも手だろう。
納得いく説明が返ってこなければ、コメの専門店などを回り、なじみの店を見つけるのもいい。
楽天などのサイトでも、コメが扱われていて、多くの購入者が商品や店を評価している。
それらを利用するのもいいだろう。
コメの検査、流通の仕組みを見る限り、リスクをゼロのすることは不可能だ。
しかし、リスクを低減することは可能なのである。
究極のリスク低減策 農家から直接コメを購入
どんなふうに作られたのかわからないし、流通経路で偽装されてしまうかもしれないなど、コメに関する不安は尽きない。
そこでお勧めなのが農家から直接購入する方法だ。
家の近所に農家がなくても大丈夫。
インターネットで検索すれば、いくつものこだわりコメ農家が自身のホームページや楽天に出店してコメを販売している。
ほとんどのページでは、コメづくりへの強いこだわりを読むことができる。
どのように土を作っているのか、農薬を使わない、または減らすために何をしているのか、農薬を使った場合はどんな目的でどれくらいの量か、などを写真付きで紹介しているのだ。
また、作業員や家族の写真、毎日のように更新されるブログなどは当たり前で、外部機関に依頼した食味値を掲載し、おいしさをアピールするところもある。
もし、インターネットだけでは不安なら、水田を公開しているところもあるから、直接訪ねてみるのもいいだろう。
むろん、この買い方も100%安全とは断言できないが、納得はしやすいはずだ。
政府備蓄米として、平成26年度から毎年20000トンの福島県産のコメが買い入れられている事実
https://twitter.com/konotarogomame/status/723417546947317760 より
(管理人より)河野太郎防災担当大臣が、政府備蓄米を43.4トン被災地に送ったそうですので、今回は備蓄米がどこの県のものか調べたいと思います。
政府備蓄米とは
緊急時に備え蓄えておく米。1994年制定の主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律で条項として定められ,政府米 150万tを基本に,自主流通法人による民間備蓄 50万tが義務づけられるとともに,その目標数量や運営に関し毎年の基本計画で定めることが明示された。
備蓄運営方式に関する食料・農業・農村政策審議会食糧部会における整理
ここに膨大な資料があるので 暇なとき読んで下さい。私はもう目が疲れて読めません。
農林水産省 国内産米穀の政府買入れに係る一般競争入札の結果について から
今年の備蓄米として買い入れ予定数量というのがあって、福島県からはもう、20000トン買うことが決まっていたのです。
新潟 22133
秋田 21343
福島 20000
山形 12707
宮城 9900
岩手 7200
栃木 6771
千葉 1100
茨城 990
埼玉 432
群馬 10
48都道府県で156026トン。半分以上が東日本のコメです。
平成28年産備蓄米の政府買入れに係る一般競争入札(第4回:最終)の結果(平成28年3月8日実施)(PDF:112KB)(平成28年3月9日公表)
福島 20000 トン
平成27年産備蓄米の政府買入れに係る一般競争入札(第8回:最終)の結果(平成27年6月23日実施)(PDF:112KB)(平成27年6月24日公表)
福島 20000 トン
平成26年産備蓄米の政府買入れに係る一般競争入札(第6回:最終)の結果(平成26年4月22日実施)(PDF:76KB) (平成26年4月23日公表)
福島 20000 トン
平成25年産備蓄米の政府買入れに係る一般競争入札(第9回:最終)の結果(平成25年6月25日実施)(PDF:77KB) (平成25年6月26日公表)
福島 11074 トン
平成24年産国内産米穀の政府買入れに係る一般競争入札(第8回:最終)の結果(平成24年6月19日実施)(PDF:51KB)(平成24年6月20日公表)
福島 1320 トン
平成23年産国内産米穀の政府買入れ(一般枠)に係る一般競争入札(第10回:最終)の結果(平成23年8月23日実施)(PDF:74KB)(平成23年8月25日公表)
記載なしでしたが、こちらにありました☟
福島 120トン
23p http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/syokuryo/111130/pdf/sankou1-bunkatu2.pdfより
平成23年度~平成28年度の備蓄米の中に 福島県の米が 約7万トン 含まれているということです。 平成26年度からは事前契約(作付前)で年20000トン決まってる・・・・
食べてない場合は飼料になっている・・・
http://www.nosai-iwate.or.jp/seifubichiku.pdf
こういう資料もありました。
つまり、備蓄米を米菓(おせんべいなど)、みそ、米粉、焼酎などの加工品にしたってことです。
さらに
農林水産省では、児童・生徒等に「米の備蓄制度」、「ごはん食の重要性」を理解していただくために、学校給食等に使用する米の一部に対し政府備蓄米を無償または有償で交付しています。(米粉パン等用も含まれます。)
交付する政府備蓄米は、直近年産米とします。
とありますので、給食でも備蓄米を食べさせてるんですね。福島産のコメを含む備蓄米を、災害時に被災者に食べさて、学校給食でも食べさせる、この国って一体何なんでしょうか?
これを見ると当時の状況がわかります。茨城 群馬 栃木 千葉 宮城の米も当時検出されています。
17 政府備蓄米の買入(事前契約) 平成23年度(この当時基準値が500ベクレル/kg)
日本は基準値以内の福島県米を含む備蓄米を、原発事故以降、加工品や給食や、災害用で国民に食べさせてるということです。
各県のコメをブレンドしてるのかどうかわかりませんが、いずれにしてもロシアンルーレットであることは確か。
備蓄関連資料 を時間があったら読んでみると、さらに絶望が深まると思います(苦笑)
https://blog.goo.ne.jp/flyhigh_2012/e/854a2c8736636a4247559def9aa258ae