尾木ママ“マル暴”顔負けの関西大運動部を斬る! (夕刊フジ)

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 教育評論家の尾木直樹・法大教授(写真提供 産経新聞社)

 関西の有名私大、関西大学で、運動部員の不祥事が相次いでいる。傷害や恐喝など若気の至りでは済まされない刑事事件も目立つ。フィギュアスケートの高橋大輔選手(25)ら日本を代表するアスリートを多く輩出してきた名門で、一体何が起きているのか。

 今月に入り、関大ヨット部で不祥事が発覚した。ヨットを保管する艇庫敷地内で8月初旬、3年生の男子部員(20)が2年生の男子部員(19)に「指導」と称して顔を殴打。2年生は1カ月の重傷を負い、ヨット部は同月10日に活動を停止した。

 今年4月にはレスリング部の男子部員(22)が、同学年の男子部員2人=いずれも(21)=から、加熱した焼き肉用トングを押し当てられたり、賭けトランプで現金数十万円を脅し取られるなどして、吹田署に被害届を提出した。

 一昨年の夏にも、硬式野球部の4年生部員=当時(21)=が、振り込め詐欺に使う通帳作りを拒んだ大学生に対し「金を出せ。250万用意できなかったら拉致する」などと脅し、恐喝未遂罪で逮捕・起訴…。

 まさに暴力団も顔負けの反社会的行為が続々。教育評論家の尾木直樹・法大教授は「運動部特有の特権意識と閉鎖的な群集心理、相手の痛みを理解するトレーニング不足がこうした事態を引き起こす」とみる。

  「有名私大の運動部ではスポーツエリートが推薦入学するケースが多く、学内で一目置かれる存在になりやすい。これをはき違えて『多少のことなら許される』 と思ってしまう。周囲の痛みや影響を考える訓練ができていないタイプだと、(先の事件のように)大ごとになってしまうまで分からない」

 運動部の場合、先輩が後輩を厳しく指導しがちだが、「規律や上下関係の厳しさは、社会的な礼儀正しさを重んじるという背景から醸成されたものではなく、必ずしも人間性とは一致しない」(尾木氏)という。

 関大では応援歌の一節にある「カイザー」(ドイツ語で皇帝)にちなみ、各運動部で「カイザーズ」というチームネームを共通して使い、親しまれている。

 彼らは“皇帝”としての威厳を取り戻せるか。


[ 2011年9月6日17時00分 ]

http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_university__20110906_2/story/06fujizak20110906011/