みずほ総合研究所のシニアエコノミスト、草場洋方氏は「日銀が現段階で最善を尽くしたのは疑いないが、全体としてこの政策が日本経済てこ入れに大きく寄与するとみるのは難しい」と述べた。
アナリストらは、今回の措置が円高進行を阻止するにもほとんど役立たないとみている。大企業の悲鳴を受けて、政府は円が対ドルで15年ぶりの高値を付け た9月15日、2兆円の円売り介入を実施した。介入は当初成功し、円は1ドル=82円87銭から3円前後下落した。だが、その後この下落分をほとんど取り 戻した。5日の日銀発表に対する為替相場への影響も一時的だった。
トウキョウフォレックス上田ハーローの石川昌信氏は、今回の発表に意外な部分もあったため、円が若干売られたが、持続的な円安になるとは思わないと述べた。
円に対する上昇圧力は今後強まりそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)が追加的な資金供給策を検討しているためで、一段のドル売りにつながる可能性が ある。バーナンキ議長は4日、FRBの最近の量的緩和は成功だったとし、追加的な緩和が景気に役立つかもしれないとの見方を示唆した。
ラボバンク・インターナショナルのシニア通貨ストラテジスト、ジェーン・フォーリー氏は「バーナンキ発言で、11月の一段の量的緩和への期待が高まっ た」と述べた。アナリストの中には、予想されるFRBの量的緩和の規模はおよそ1兆ドルとみている向きもいる。そうなれば今回の日銀の600億ドルをはる かに凌駕する規模だ。
日銀にとっての問題は、FRBの追加措置が、今回の日銀の措置を上回ったらどうするかというものだ。今回の日銀発表のあとアナリストらに取材したところ、日銀は新規資産基金をもっと活発に使い、資産買い入れを一段と増やすだろうとの予想がもっぱらだった。
(10月6日 WSJ)
日銀は、FRBの日本支店だから、当然のことながらFRBより指示された事をやる。だから、余り効果のないことでも「やっている」という事を示す為に行う。