ブルームバーグでとても気になる記事があった。以下に引用してみる。

GPIF三谷理事長:国債など約4兆円の資産売却へ-年金特会補てん

 9月3日(ブルームバーグ):世界最大の運用規模を持つ年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の三谷隆博理事長は、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、年金特別会計の資金不足を補てんするために、今年度中に国債など4兆円前後の資産を売却する方針を示した。インタビューは2日行った。

  三谷理事長は、今年度中に市場で売却する額に関して「4兆円前後だ」との見通しを明らかにする一方、売却資産については「国債だけとは申し上げません」と語った。ただ、「債券が今のところ一番売りやすい」とも述べ、「少なくとも先週ぐらいまでは債券市場は好調だったので売りやすかった」との認識を示した。

  厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っているGPIFは、年金特別会計から年金積立金の寄託を受けている。2009年度の同特別会計は、高齢化に伴い年金受給者への支払いが増加する一方、賃金の低迷などで保険料収入が伸び悩んでいるため、資金不足が発生。このため、GPIFは保有していた財投債の満期償還資金と国内債券売却(市場運用分)を通じて資金の一部を同特別会計に返還した。

  三谷理事長は今年度も「似たような構図だ」と述べ、「保険料は毎年少しずつ上がっているが、まだ出るほうが増えているのに追いついていない状況で、今年も相当程度、特会に資金をお返ししなければならない」と語った。

         利回り低下で妙味薄れる債券

  大和総研の土屋貴裕ストラテジストは今年度売却分について3兆円台を予想していたとし、4兆円程度の規模は「若干大きい」と述べた。土屋氏は「価格の上昇している資産を売ることになるので、足元でこれだけ金利低下であれば、国内債券を売ることになるし、この時期に株を売ることはないと思う」との見方を示した。

  GPIFは8月30日、10年度第1四半期(4-6月)の運用状況を発表。4月以降のギリシャの財政危機に端を発した国内外の株式市場の下落や円高などにより、3兆5898億円の損失が生じた。収益率(運用利回り)はマイナス2.94%と09年1-3月以来5四半期ぶりマイナスとなった。

  収益率の内訳は、外国株式がマイナス17.43%、国内株式もマイナス13.93%と大きく落ち込む一方、資産の約7割を占める国内債券はプラス2.29%だった。運用資産額は6月末時点で116兆8027億円。

  10年国債の利回りが一時1%割れとなる中、三谷理事長は国債投資について「ここまで来るとあまり妙味はない」との見方を示したものの、中期計画で資産運用構成が決まっているので「妙味がないからやめますという訳にもいかない」とも指摘。今年4月から始まった第2期中期目標期間(10年4月-15年3月)の基本ポートフォリオについて、国内債券67%(かい離許容幅プラスマイナス8%)、国内株式11%(同6%)、外国株式9%(同5%)、外国債券8%(同5%)などと説明した。

          日本の財政状況を懸念

  一方、先進国で最悪の状況にある日本の財政状況については「非常に心配だ」とする一方、「国債の金利がすぐに2、3%に跳ね上がるかというと、必ずしもそうは思わない」と述べた。その理由として、個人も企業も貯蓄超過にある中、貸し出しの減少に直面する金融機関は「結局、国債を買うしか運用する道がない」ことを挙げた。

  さらに「恐らく日本銀行がやっている超緩和政策は当分の間は続く」との見通しを示し、「ここ数年の間で長期金利がポーンと跳ね上がる危険は少ない」と語った。

  新興国投資や、プライベートエクイティー(PE=未公開株)、不動産、商品相場など、一般的な株・債券以外の分野で資産を運用する「オルタナティブ投資」については「勉強はしている」としつつも、「やはりリスクが高いことは間違いないので、なかなかそう思い切って目をつぶってやりましょうという訳にもいかない」と語った。

  インフラ投資についても「いろいろ勉強させてもらっている」と述べたものの、採算性に加え、法律上の問題が発生する可能性を指摘。「実際に運用に踏み切るかどうかは、まだちょっと距離はある」と語り、慎重な姿勢を示した。
国内年金、バフェットに倣いインフラ投資拡大-野村はファンド設立へ

9月2日(ブルームバーグ):国内年金基金の間でファンドなどを通じ、運用資産を有料道路や鉄道、水道、電力施設などのインフラ(社会資本)に投資する動きが広がってきた。少子高齢化で加入・受給者構造が変化するなか、中長期的に安定的な収益を期待する基金が新たな分散投資先として資金を振り向けている。

JPモルガン・アセット・マネジメントの調査によると、インフラ投資は2008年度の7基金から09年度は14基金まで増え、10年度も新たに4基金が検討しているという。こうしたなか、野村ホールディングスが投資先に海外企業を含むインフラファンドの設立準備に入るなど受け皿づくりも進んでいる。

資生堂企業年金基金では今年度から北米、欧州を投資対象とするインフラファンドで15億円の運用を開始した。同基金の六田嘉孝常務理事は「きちんとインカムが得られる投資先はインフラだ」と指摘。安定収益の期待できるインフラ投資は、分散投資先としても有効であるとの認識を示した。

一方、「リスクを抑え予定利率を達成できるかが課題」というアステラス企業年金基金の田島一郎常務理事は、先進国や新興国などのインフラファンドへの投資を検討中であることを明らかにした。また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)はインフラ投資の検討に向け近く具体的な調査に入る方針を公表している。

インフラは「廃れない」

鉄道などのインフラ事業は、建設や維持にコストがかかるが、参入障壁が高く経営は独占的になることが多い。このため料金の値上げも需要に大きな影響を及ぼさず、インフレヘッジ機能が期待できる。また、景気に左右されにくく20-30年の長期間、安定的したキャッシュフローが見込めるなどの特徴がある。

野村証券では、海外投資も念頭に置きカントリーリスクをカバーする機能を持つインフラファンドの設立に向け日本貿易保険(NEXI)と提携。アセット・ファイナンス・ストラテジー室の園山俊雄氏は「インフラは流行り廃りでなく、どんな産業でも使う。経済成長に応じてインフラの需要は伸びる」とファンド運営に意欲を示した。

経済産業省の資料によると、海外機関投資家の運用ではすでにインフラ資産が一定の規模で組み込まれている。世界でインフラファンドに投資する公的・民間年金基金数は全体の36%。年金規模が100兆円の豪州では、約5%がインフラ投資で運用されているという。

バフェットも投資を急拡大

米資産運用サービス会社ラッセル・インベストメンツでは、インフラ事業は物価や金利上昇への対応力が強いなどの点から、世界の機関投資家の資産ポートフォリオ全体に占めるインフラ投資の割合は09年の0.3%から12年には4倍の1.4%に上昇すると予想している。

  世界では米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイも分散投資の観点などからインフラ投資を急拡大している。同社は今年2月、鉄道会社を260億ドル(約2兆1900億円)で買収。これにより、3月末時点でインフラ資産は1109億ドルと同社の資産の3分の1を占め、3カ月間で2.5倍になった。



GPIF:運用先分散を模索、未公開株や海外インフラ視野-日経

8月19日(ブルームバーグ):年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が投資分散化に向け、未公開のベンチャー企業や海外のインフラ事業など新分野の投資を検討している、と19日付の日本経済新聞朝刊は報じた。GPIFは9月上旬にも調査を委託する企業を選び、年度内に報告書を受け取るという。情報源は示していない。


年金積立金:国内債券中心に安全運用を重視、中計策定-NHK

4月4日(ブルームバーグ):公的年金の積立金運用を行う厚生労働省所管の「年金積立金管理運用独立行政法人」は、安全な運用を重視し、引き続き国内債券中心の運用を行うとする今年度からの中期計画を取りまとめたと、4日午前のNHKが伝えた。情報源は開示していない。

  123兆円におよぶ公的年金の積立金の運用を行っている独立行政法人が策定したのは5年間の中期計画で、厚生労働省が認可したという。計画には、鳩山内閣が年金制度の抜本的見直しを行う方針を打ち出していることから、運用利益の数値目標は盛り込まず、長期的な観点から安全で効率的な運用を行うとしている。

  債券と株式の配分比率では、従来と同様に、全体の67%を国債や社債などの国内債券、20%を株式とする方針で、国内株式11%、外国株式9%でそれぞれ構成されると報じている。
公的年金運用に借入枠、給付増に備えて2兆円をGPIFに-日経

3月31日(ブルームバーグ):国民年金と厚生年金の積立金を管理・運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2010年度から限度額2兆円の借入枠を設定する、と日本経済新聞が31日付朝刊で報じた。年金受給者の増加で給付が膨らみ、積立金の取り崩しが進むのに備え、必要なときに運用資産を売却できないリスクや売却による市場への影響を緩和する狙いと日経は報じている。取材源は示していない。


日本の公的年金:ベンチマーク「TOPIX」の変更検討

3月25日(ブルームバーグ):122兆円を運用する世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、日本の株式や債券のベンチマーク(運用成果の基準)の変更を検討している。流動性の観点から、運用ポートフォリオのベンチマークに対するリスクが高まっていることや運用コストが要因。

  同法人の川瀬隆弘理事長が24日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで語った。川瀬氏は、現在日本株のベンチマークとしているTOPIXの構成銘柄の中には取引量の少ないものがあると指摘。「われわれがそういう銘柄を動かすときには、自らのハンディになる」と語り、「もう少し流動性の高い大型株に集中したベンチマークの方が取引しやすい」と述べた。

川瀬氏は、企業年金連合会などがラッセル/ノムラなど流動性の高い銘柄に絞ったもので運用していることを挙げ、「GPIFでもスタイル別のベンチマークではラッセル/ノムラを使っている。われわれだけのベンチマークを作ってもらうのは現実的ではないので、どういうインデックスがあるのかを探している」と説明した。

  ただ、「流動性はあるがリターンがTOPIXに負ける指数ではなかなか採用は難しい。その穴をどう埋めるかというところは残る」とも述べ、具体的な指数名についての明言は避けた。

  年金などの機関投資家は、株式運用でトラッキングエラー(ポートフォリオのリスクを測定する基準)を縮小させることを重視している。そのために銘柄入れ替えなどを行う場合、「流動性が低い銘柄があると結果的にリターンを上げにくくなることがある」と大和総研の土屋貴裕ストラテジストは指摘。結果として運用成績にマイナスの影響を及ぼすことになれば、ベンチマークの採用に対する疑問が出かねないという。

  TOPIXは東京証券取引所1部上場の全銘柄を対象とする時価総額加重平均指数で、25日現在1680銘柄で構成されている。トヨタ自動車など時価総額が大きい銘柄の売買高は多いものの、時価総額が小さくなるに伴い売買高が低下する傾向がある。「海外では運用に適したベンチマークが出来ている。日本ではベンチマークでTOPIX全盛だが、それでいいのか考えていかなければならない」と、川瀬氏は強調する。

  大和総研によると、日本ではTOPIXをベンチマークとする投資家が圧倒的に多い。企業年金連合会などでは指数に連動した運用を目指すパッシブ運用で、以前はTOPIXを採用していたが、現在はラッセル/ノムラPrime指数にしている。

  変更に伴うインパクトについて、大和総研の土屋氏は「GPIFを参考にアセットアロケーションを作っている他の年金が追随する可能性がある」と指摘したうえで、それを考慮すると「ベンチマーク変更はGPIF単独以上の市場インパクトがある。どんな構成銘柄の指数に変わるかで違うが、運用対象から外れる銘柄にとってはネガティブ」と述べた。

           債券も採用変更検討

  一方、GPIFは債券運用でNOMURA-BPIを採用しているが、「ベンチマークの3割弱を占める事業債など国債以外の流動性は低く、それでいいのかという問題がある」と川瀬氏は語った。

(引用終わり)

私達の老後を支える財源である、厚生年金、国民年金、企業年金の運用が大変な状況にあると言うことが書かれている。しかも、「利幅」がとれる国債などを売却して、損失補てんをしていると言う現状である。ということは、これからの利回りは現状では、あまり期待できない、ひいては、年金受給者が増えて行くこれからの時代において、損失補てんに利回りの取れるものを売却して行く方向では、運用益が減り、恒常的な財源不足に陥る危険性があると言うことである。

やはり、保険料未納についてjは、厳しく対応し、強制執行をどんどんかけて行かないと年金制度自体が立ち行かなくなることは明らかである。毎年の年金保険料のアップでも追いつかない、運用益が出ている国債を売却して損失の穴埋めをしているなどの話を聞いていると、老後がぶっ飛びそうな予感がしてくる。

企業年金運用先を生保、信託から株式、債券中心の基金に運用を委託しなおしをした結果がこのようでは、先行きが思いやられる。老後の希望も失わせて行く手立てを、世界を支配しようとする輩はすでに手をまわしていると言うことである。サラリーマンの年金が、401Kプランになった時点で怪しいと思い、 401Kを採用しない方向での検討が必要であったことを物語っているようである。