(9月3日 時事通信)
ドイツ連邦銀行(中央銀行)は2日、理事会を開き、「すべてのユダヤ人は特定の遺伝子を所有している」との持論を展開したザラツィン理事 (65)の解任をウルフ大統領に申請することを決めた。同大統領はザラツィン理事を批判しており、解任を承認するのは確実。発言は「人種差別」との非難を 浴び、政界から解任要求が強まっていた。
 ナチスによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の歴史を抱えるドイツでは、ユダヤ人問題に関する発言は慎重を要する。連銀は独立性を保持しているが、メルケル首相は「発言は受け入れられない」と解任を求める考えを示唆していた。また、同理事が所属する野党・社会民主党は、除名手続きを進めている。
(引用終わり)

(ご参考)
 
http://turugi10.hp.infoseek.co.jp/marco/index.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AD%E4%BA%8B%E4%BB%B6
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88

考えさせられる問題である。特に、ドイツは過敏に反応する。

(ご参考)

ドイツ:連銀理事「すべてのユダヤ人に特定遺伝子」

 【ベルリン小谷守彦】ドイツ連邦銀行のザラツィン理事(65)が、移民問題を扱った自著出版のインタビューで、「すべてのユダヤ人には特定の遺伝 子がある」などと発言し、波紋を呼んでいる。ドイツではナチス時代、「人種学」によってホロコースト(大虐殺)が正当化された経緯から、人種を学術的に根 拠付ける考えはタブーで、メルケル首相をはじめ政界は総批判だ。

 ザラツィン氏は自著「ドイツが消える」をめぐる29日付独紙「ウェルト日曜版」インタビューで近年、アラブ系の移民が増えていることを問題視した。ザラツィン氏は、ドイツのアイデンティティーが将来「溶解」していくことに懸念を表明。記者から「遺伝子上のアイデンティティーもあるのか?」と問われ、問題の発言に至った。

 メルケル首相は「発言は受け入れられない」と連邦銀行にザラツィン氏の更迭を要請。ザラツィン氏の所属する野党・社会民主党も30日、党籍離脱手 続きに入ることを決めた。だが、連邦銀行理事会は、発言を非難したものの、ザラツィン氏の解任は見合わせた。連邦銀の独立性は高く、理事解任には理事会の 決議が必要だ。そのため、発言を巡る騒動もしばらく続きそうだ。

(8月31日 毎日新聞)


「味方がないのに真実を訴えるのは、学者として途方もない勇気がいる」 ホロコースト産業を批判するフィンケルスタイン教授に圧力

政治学者ノーマン・フィンケルスタインは、イスラエルの政策に対する強烈な批判で米国では異彩をはなっています。2000年に出版した『ホロコースト産業』では、米国のユダヤ系支配層やイスラエルが、ホロコーストという民族の迫害の記憶を利用して、自分たちの利益を増進し、ユダヤ文化の伝統を損なってきたと論じ、痛快な批判を繰り広げました。第二次世界大戦中にスイスの銀行がユダヤ人の資産を着服したとして、ユダヤ系の団体が一斉に騒ぎ立て補償を求 めた事件について、あれは何の根拠もないゆすりだったと暴き、アメリカの外では大ベストセラーになりました。デモクラシー・ナウ!にもしばしば登場し、イ スラエル支持の論客と鋭い論争を見せていました。

 しかしフィンケルスタインの呵責なき批判は大きな反発を招き、学者としてのキャリアで大きな犠牲を支払わされてきました。昨年はとうとう、助教授 として6年間教鞭をとってきたデポール大学を辞職する事態となりました。テニュア(終身在職権)獲得を不当に拒まれ、大学側と数ヵ月にわたって闘争を繰り 広げた末のことです。この背景には外部からの露骨な圧力が働いていました。アメリカの大学でイスラエルを批判することが事実上タブーに近くなっている現状 の、犠牲になったのは明白です。

 今回の番組は、フィンケルスタインがまだ騒動の最中にあったころに放送されたもので、大学側の措置がいかに不当なものであったかを示しています。 ホロコーストとイスラエル政策という、フィンケルスタインの研究の2つの柱に関して、その分野では世界的に著名な2人の研究者に今回の問題について話を聞 いています。オックスフォード大学国際関係論教授のアヴィ・シュライムは、アラブ=イスラエル問題の専門家です。シュライムは、フィンケルスタインを「とても印象的で、学識のある、慎重な研究者」と高く評価しています。また米国の歴史家で、ホロコースト研究の創始者として知られるラウール・ヒルバーグは、 フィンケルスタインの「鋭い洞察力と分析力」を讃えています。「誰一人味方がいない中で真実を訴えることは、学者として途方もない勇気を必要とする」と言 います。

 「彼の名は歴史叙述の歴史に残るでしょう。最後に正しさが証明される者が勝ち残るのです。彼はその1人になるでしょう。ただし、そのために支払う代償は大きいようです」(中野)

(ビデオ) http://democracynow.jp/stream/070509-2/dn2007-0509-2.ram

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ゲスト: 
*ラウール・ヒルバーグ(Raul Hilberg) オーストリア生まれの米国の歴史家。ホロコースト研究の第一人者。『ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅(上・下)』(柏書房)によってホロコースト研究を基礎づ けた。 ヒルバーグはこの番組収録からそれほど日の経っていない8月4日に亡くなりました。

*アヴィ・シュライム(Avi Shlaim) オックスフォード大学の国際関係学教授。イスラエル=アラブ紛争についての世界的権威の一人。The Iron Wall: Israel and the Arab World など、著書多数

(デモクラシーナウより引用)