〇あらすじ
『ナチスの強制収容所/ナチス絶滅収容所』は、1945年に製作されたアメリカのドキュメンタリー映画。ジョージ・スティーヴンス監督によって制作され、収容所の実際の映像を記録している。この映画は、第二次世界大戦中にナチスドイツが自国内外に数多くの強制収容所を造った様子を捉えており、ユダヤ人だけでなく、ジプシー、ポーランド人、ロシア人、そしてドイツ人政治犯など、ナチスが敵と見なした多様な人々が運び込まれた様子を映し出している。
1945年製作/アメリカ/二作品で約69分
Amazonプライム、U-NEXTで鑑賞可。
〇感想
以前のブログの映画レビューにも記載した映画「関心領域」につながる映画です。
「関心領域」のYouTube動画の解説はここ
映画「関心領域」で訴えていた事がこのドキュメンタリー映画の中にあります。
映画「ナチス絶滅収容所」の冒頭で、この映画は連合軍がドイツ国内に侵攻した時に米国陸軍が撮影した記録であり、一切の改編はなくアイゼンハワー最高司令官のお墨付きの記録映画であるという正当性を謳っています。
そして本編に映し出される数々の強制収容所と、その内部の様子と蛮行の跡です。目を覆いたくなる惨状ですが、現代を生きる我々にとって目をそむけずに見るべき映像と思い最後まで鑑賞しました。
ライプツィヒ強制収容所では連合軍の侵攻をナチが聞きつけ、捕虜220人を木造家屋へ誘導し、液体燃料をかけて火を着けました。更に高所から機関銃で火から逃げる人々を狙い、そして最後に電流の流れる有刺鉄線が行く手を阻みました。
またアルンシュタット強制収容所では、ポーランド人、ロシア人捕虜が主です。収容所の近所にある村の傍に捕虜1500人分の遺体を埋めました。しかし、村の人々が悪臭に耐えかねて、村人自らが村から遠い場所に埋め直しました。そして連合軍が収容所に来た時に村人に再度、遺体を掘り返へさせました。
また、収容所がある都市のヴァルマールの住民1200人が収容所を訪れました。
彼らは、裕福な洋服、アクセサリーを身に着け、笑顔も見られ、初めは見学気分で収容所に訪問しました。連合軍が彼らに初めに見せたのは展示品でした。それはナチ親衛隊の妻からの依頼で作成した捕虜の皮で作ったランプシェードなどでした。更に生首を乾燥させて実物の1/5サイズにした物もありました。また、遺体の数々と拷問の方法なども実演し、それを見て気絶する人も続出しました。
残忍さと非道さを見せつけて、自国(ドイツ)の犯した罪を理解させることが目的でした。
このドキュメンタリー映画の中では淡々と記録映像を流します。映画「関心領域」では、収容所の壁一枚隔てた所に住む収容所の所長一家の普段の生活の物語です。
しかし撮影手法は、収容所の内部を見せずに、収容所の音と自宅から見える範囲の様子しか見る事ができません。その為、観客は何が行われているか想像するしかない映画です。上記のようなホロコーストの史実を知らないと(無関心)であると映画「関心領域」は映画の内容が理解できないように撮影されています。映画が好きな人であれば今までにも「シンドラーのリスト」、「ソフィーの選択」、「サラの鍵」等々の代表的なホロコースト映画を観ているので「関心領域」を観ても理解できると思われます。
一般的には、第二次世界大戦中に、当時ヨーロッパにいたユダヤ人の3分の2にあたる約600万人が犠牲となりました。ブルドーザーで処理される遺体、シャワー室で毒ガスを浴びせられた数々の遺体、その一人、一人に親、兄弟、友人などがいたと思うと、過去の事でも許せない。
以上