欧米の男たちは、ビジネスシーンで、黒いネクタイをするなど珍しくない。
「黒」の放つオーラやメッセージには、「自立心旺盛・大人の気分演出」などがある。が、「黒いネクタイ=弔事」というイメージが浮かんでくる人(男女ともに)は、わが国には沢山いよう。
白いネクタイで遊ばせて、
ほんの少しドレスダウンしてみた
だが、ハリウッドのスターたちを例にとっても、「お祝い」の席や「アカデミー賞」などの各種の授賞式では、ブラックスーツに「黒い蝶タイ」ならぬ、黒いネクタイが、ドレスコードとして一般化している。
そういった装いは、わが国では悲しみの席そのものといった感じだ。
したがって、「ハレの日」には、「白・シルバーグレー」「白黒の織り柄」や「縞柄」のネクタイが、モーニングコートやタキシード、燕尾服に合わせる、安心コードになる。
また、ブラックスーツでは少し軽いし、先の正礼服では重すぎる、という場合に重宝するのが、「ディレクターズスーツ…シングルかダブルのブラックもしくは、ダークグレーや濃紺の無地ジャケットに、モーニング用の縞柄コール地(コードストライプ=ひも縞)のパンツ(スラックス)との組み合わせ」だ。
こういったしきたりは、その場に失礼でなければ、堂々としているに限る。
ただし、パンツの裾仕上げは、シングル仕上げ(モーニングカット…前と後ろの裾ラインに、1センチ~1.5センチほどの傾斜をつける場合も)が、フォーマルでは正式だということを、ジェントルマンなら心得ていたい。
ダブル仕上げのパンツで、会場を自由自在に動き回れるのは、そういうことを知っている男に限る。
それにしても、誰が、いつ頃、「黒」を正式なフォーマルウェアに定めたんだろう?
諸説は沢山あるが、断頭台に上った悲劇のヒロイン、「マリー・アントワネット」だという説が説得力がある。
おしゃれ着として、喪服のイメージだった「黒い服」を、最先端のドレスとして発表(1926年)したのは、かの「ココ・シャネル」である。かたやメンズでは、黒い服をビジネスウェアにまで浸透させたのは、確固とした根拠があるわけではないが、私的には、デザイナーの「アルマーニ」氏ではないかと思っている。
なにしろ80年代の初頭に、アルマーニが黒い「ビッグシルエット」の服をわが国に上陸させたときの、強烈なインパクトは半端ではなかったからだ。
〔PHOTO:DOMINANT LIMITED〕
(月刊『中小企業と組合』「ダンディズムの引き出し Hide of Dandyism」より)
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