備讃フェリー「しわく丸」 | ドルフィン企画~瀬戸内海クルーズのご案内~

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僅か10年という旅客船史上でも希な短命だった「しわく丸」。
新造当初は車両デッキの高さが5mもあって「何でも積める」というキャッチフレーズでデビューしたものの、結局船そのもののトラブルが続いて短命となった…

この航路は船を着ける港湾設備が全てスベリなので、船のゲート(エプロン)は2段構造にする必要があり、結果船首部分に重量がかかる構造になりやすく、かといって狭い港に入るので大きな船にすることはできず、そのくせ冬場の北西季節風の影響を受けやすいので時化に強い構造にしないといけないので、大きい船が好まれる、要は相反するスペックを求められるので船を設計する段階からとても悩ましいのだ…
不調続きだった「しわく丸」は何度も大規模修繕を重ねたが、結局新造船を作ることになり「ひろておん」の就航と引き換えに今回引退となった…

かつて「しわく丸」が就航前に「しわく2」に乗って讃岐広島へ行った事があり、それからあまり日が経っていないようにも思うが、まさかこんな早く「しわく2」を引退に追い込んだ船が引退するとは思わなかった。
「しわく丸」に乗って久しぶりに讃岐広島へ向かった。

車両も乗客もまばらだからそう思ってしまうのか、はたまた車両デッキも客室も天井が高いからなのか、とても広い船のように思えて今まで乗ってきた他の旅客カーフェリーとは明らかに雰囲気が違う。
引退前とは言ってもまだ就航して10年程の船だからなのか?とても綺麗な船で船内は清潔感が溢れている。
客室のシートも生活航路にはもったいない位高級感溢れるものが使われ、机もあったり、壁なども派手ではないもののきちんと装飾されていて生活航路にありがちな無機質感はない。

この船の就航する島には、この船の引退時点で中学生が1人居たがこの船が引退した翌月に中学校を卒業してしまった…
「しわく丸」は讃岐広島と小手島・手島の3つの島と丸亀を結んでいたが、この船は就航している10年間で島の人口は大幅に減少し、それに比例して交流人口も減少してしまった。
かつては「こんな大きな船が今後も要るのか?」との議論もされたようだが、ここで新造船を建造してもとても運輸収入だけでは建造費を回収できないが、人口は少なくとも島で生活する島民の為にも航路を維持する必要はある。
しかし、塩飽諸島に限らず今後本格化する船員不足問題とも関連して、日本全国の離島で航路再編成をしていくことは避けて通れない課題だろう。