日本クルーズ客船「ぱしふぃっくびいなす」 | ドルフィン企画~瀬戸内海クルーズのご案内~

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昨年末で引退した日本船籍の外航客船「ぱしふぃっくびいなす」
日本で最も新しい外航客船が他の古い2隻よりも先に引退してしまった…
ここ数年のクルーズ業界に取り巻く様々な問題がこの船の引退を早めてしまったようにも思うが、そもそも日本はクルーズ業界において世界的にみても特殊なビジネスモデルを構築しており、急速なインバウンド需要の増加によってこの日本独特のクルーズビジネスモデルが維持できなくなってきているのかもしれない…

この「ぱしふぃっくびいなす」の大きな特徴はとってもフレンドリーな独特の雰囲気を醸し出していたことで、リピーターも多かった。
そんなリピーターさんにより楽しんでいただくために、新寄港地の開拓に積極的だったので、私の住んでいる御手洗にも私の記憶のあるだけで3回寄港しており、これは日本船籍の外航客船では唯一の実績である。

先月御手洗には外国船籍の外航客船が初寄港したが、それまでにも外航客船寄港の計画はあったものの実現していなかったので、コロナ禍前に実際に寄港した外航客船は「ぱしふぃっくびいなす」のみであった。
御手洗集落の人口は200人程度だったので、受け入れ地区人口の倍以上である400名以上乗船できる大型客船の寄港にはそもそも受け入れに無理があり、当然船会社の協力と理解は不可欠だった。
実際に運航会社はとても協力的だったので大きなトラブルも無く3回の寄港を無事に終えたのだった。

特に1回目の御手洗寄港の計画が出た頃には、別の運航会社では「ふじ丸北木島寄港」計画があり、クルーズ業界において瀬戸内海の島へ大型客船が寄港できるかどうか挑戦をしていた時期であり、御手洗と北木島での実績は大きな希望となった。
しかし、その後寄港地の開拓は瀬戸内海の島ではほとんど実績がなく、他の外航船を含めても限られた島のみであり、その理由は寄港地の過疎高齢化が進んで受け入れが難しくなってきたのではないか?と勝手に思っている。

世の流れとはいえ、色々と夢を与えてくれたこの船の引退を少し寂しく思った。
船のサイズ的に利益を出すことが難しく、今後このサイズの船は世界的にラグジュアリー船へシフトしていくので、ラグジュアリー船の需要の少ない日本船籍では維持できないだろうし、一方でカジュアル船はもっと大きな船にする必要があるので瀬戸内中心部へ入ってくることは難しいだろう。

そもそも今後瀬戸内海の島に住む人が急速に減る見込みの中で、瀬戸内海島嶼部における観光誘客をどう受け入れしていくのかを真剣に考えないといけない。
政府も「人さえ行けばどうにかなる」的な観光施策を一旦見直さないと、今後様々なトラブルが僻地ではおこってくるような気がする…

とにかく「ぱしふぃっくびいなす」には色々な夢を見させてもらったように勝手に思う。
ありがとう、そしてお疲れ様でした。