◼️航一視点◼️

『さくらいこどもクリニック』には、結を含め、有紀ちゃんと志保ちゃんの3人の医療事務兼診療助手がいる。

有紀ちゃんはもぅ10年位のベテランさんで、
志保ちゃんは専門学生の頃からバイトに来てくれていて、卒業後もずっと働いてくれて、5年位になる。
いつか志保ちゃんに「将来は?医療系のコースに進んで看護師になるとか?」と聞いた事もあった。
『エヘヘ🎵だってぇ~、私向いてないと思うんですぅ~🎵』って誤魔化されたっけな…(笑)
…向いてない!?そんな事はない。
よく気が付くし、いつも努力は怠らない。
分け隔てなく仕事をこなす、今時には珍しい子だと思うのにな…。
その仕事っぷりを見ていた悠真も『志保ちゃんは何で看護師にならない?向いてると思うけど?勿体ない』と言う位だ。
ま、強いて言うなら、あの喋り方だろうか(笑)
子供相手ならまだしも、あのフニャッとした喋り方は…💧『看護系以外でも社会に出たら、その喋り方はね…』と何度か注意した事もあったが、何せ結もそんな感じだからか、俺は苦にはならない。
だが…(笑) 悠真は別らしい…。

「はぁい🎵お薬ちゃんと飲んでね~(笑)お大事にして下さぁぁぁ~い☺️」
親子が診察室を出た後、
「…コォラ💢志保ちゃん!またその口調!」
隣の診察室から悠真の叱る声が聞こえる。

「きゃは🎵悠真先生が巻き舌で怒ったぁ~😆」

「仕事は遊びじゃないって何度言えば分かる?」
「仕事はちゃんとしてますぅぅっだ(笑)」

「コォラッ💢もやもやむかっ……」
壁はもう少し厚くしておくべきだったか…?
そんな事を思いながら、パソコンに向かう。

志保ちゃんはどちらかと言えば、結に似た感じのちょっと天然だ。
結と違うのは、医療系の専門学科に通っていたので、少なからず知識がある程度。
だから、もっとしっかり勉強すればいいのにな…って思う。
今までは誰も叱る人が居ないので、フニャフニャッと自由にやっていた。
悠真が来てからは、よく叱られているのを耳にする。
で、「悠真先生に怒られちゃいました~😣」って愚痴りに来る(笑)

この間も……
午前診終了後に医局でコーヒーを淹れていた俺の所に、志保ちゃんが入ってきた。
「航一先生~💧悠真先生がぁぁ~😣」

「(笑)今日はどうしたの?」

「また怒られるからって気を付けていたんですけどぉ~…ぁ……気を付けていたんです。
でも、不意に呼ばれた時に『はぁぁい🎵』って言っちゃっただけなのに…💧」
(笑)言い直した…一応、わかってはいるんだ…。
「(笑)悠真は細かくて、厳しいかもしれないけど、当たってはいるからね🎵もし、僕がそれは言い過ぎだって思ったら、ちゃんと言ってあげるよ☺️
それに、結も似た所があるけど、結には言わないでしょ?何故だと思う?」

「そりゃ、結さんは航一先生の奥さんだしぃ…」

「いや、悠真はそんなに器用に使い分けられる人間じゃないよ。仕事で必要だと思った事は、結であろうと厳しいよ。診療助手に必要な事を結は叩き込まれていたからね。(まさにね…)
少なくとも、僕から見た感じ……悠真は志保ちゃんの事を他の誰よりも気に掛けてると思うよ?違うかな?
志保ちゃんは悠真の事、どう思ってるの?(笑)」
志保ちゃんにもコーヒーを淹れてあげて、
さりげなく聞いてみる。本人達は気付いているのかわからないけど……イイ関係だと思う。
……結に話したら、また大ゴトになるんだろうな…(笑)黙っておこう。

お願いう~ん❤️…はじめましての時はぁ~‥あ…💧ごめんなさい…💧」

「ハハ(笑)いいよ。今は🎵診療時間外だし、悠真も居ない」

「…はい✨…。ぇと、はじめましての時はぁ、優しそうだしぃ、色々お話してくれて、楽しいしぃ…カッコいいでしょ?だからぁ❤️あ、でもぉ‥よく私の事、怒るしぃ…💧嫌いなのかなぁってぇ…💧
どんどん声が小さく、ゴニョゴニョ…(笑)
「(笑)ん~…悠真の女性のタイプはわからないけど…どうでもイイって思ってる人の事、いちいち叱って、直そうとしてあげたりしないと思うよ😃
志保ちゃんも、叱られたらちゃんとしなくちゃって思うんでしょ?‥なかなかだけど(笑)
もし本当に嫌だって言うなら、志保ちゃんには僕についてもらうようにするけど?」

「イヤッ!!ちがぅっ…ダメですぅ!私ぃ…💧頑張って直しますぅ…💧」

「あはは(笑)ね?もっと自分の気持ちに正直になりなさい。別にウチは院内恋愛禁止!なんて言わないから✨」
志保ちゃんは顔を赤くして、俯いてコクンと頷いた。ちょうどそこへカルテ整理を終えた悠真が入っていた。
「お疲れさん~☺️どうした?2人で話し込んで…?」

「ィャ…何でもないよ。さて、カルテ、カルテ」
コーヒー片手に右手でヒラヒラバイバイ手を振って、医局を後にした。

さて、このあと、2人はどう転ぶかな?(笑)


◼️悠真視点◼️

「志保ちゃん、大丈夫か?顔、赤いけど…?
兄貴と何の話してた?」
 
「……(フルフルフル…)何でもない…です」
 
「……そっか」
「……あの……!」
「んぁ!?ポーンビックリした……」
コーヒーカップに口を付けかけて、急に大きな声で話すから、危うくこぼしかけたじゃないか…💧
「ごめんなさい…💧…あの‥大きい声で…ガーン
ごめんなさい…💧今日も…ぇっと、話し方‥
また、悠真先生に怒られちゃった…💧」
 
「ははっ(笑)何?落ち込んでんのか?(笑)
それで兄貴に愚痴ってたとか?」
 
「ちがっ…!わ、ショボーンないけどぉ…でも、愚痴ってなんかぁ…💧」
手に持っていたカップを置いて、志保ちゃんの頭をクシャクシャってしてやると、ビックリしたように首をすくめた。
 
「ぁの‥悠真先生?‥どうして、私にそんなに怒るんですか?私が嫌いなんですか?お願い
志保ちゃんが何だか今にも泣き出しそうに見えた。
 
「嫌いな人間に、イチイチ目くじら立てて叱るほど、俺は暇じゃぁない(笑)」
 
「…え?嫌いな人間には叱ら…ないの??」
 
(……ん?何言ってんだ?俺…)
「ただ、志保ちゃんはちゃんと出来る子なのに、勿体ないなって思うから。志保ちゃんの仕事っぷりなら、どこの病院に行っても出来る力はあるし、頑張れば看護師だって夢じゃないと思う」
 
「看護師なんて…💧他の病院に行く気もないし。航一先生にも言われたけど、無理ですよぅ…」
 
「でも、専門学校の看護科は卒業できたんでしょ?(笑)後は国家試験だけなのに、勿体ない」
 
「したけどぉ~…」
(…じぃぃ…(笑))思わずいつものクセで語尾を伸ばして喋る志保ちゃんを見つめてみる。
「(はっっ!ガーン)‥ごめんなさい…💧でも、航一先生は、『今は診療時間外だし、悠真先生も居ないからイイよ』って言ったもん…💧」
兄貴のやつ…(笑)
「まぁね😃仕事とのON左右矢印OFFを切り替えるのは悪くない。何度注意してもOFF左右矢印OFFのように思えるけど(笑)」
そう言うと、志保ちゃんは口をとがらせて拗ねてる。((笑)かわいいな…ぇ?何だ?)
拗ねる志保ちゃんを見て不意にそう思った理由が分からなかった……。(何だ?この気持ち…)
 
「と、とにかく!…志保ちゃんは、今どうすべきかをもっと考えなさい。自分の人生なんだから…ね?」
訳が分からない事を言い残して、医局を飛び出した。
 
★つづく★