世界の巨匠・ピアニストのクリスチャン・ツィメルマンが昨年秋からの来日ツアーを終えられました。一度は急性腰痛症によりドクターストップがかかり、公演の延期もありましたが、無事に終えられてよかったです。
幸運なことに、私はかつて仕事で客席内担当になったこともあったし、スタッフとしてではなくお客として聴きに行ったこともありました。
スタッフとしては、とにかく繊細な彼の公演を守るのに、終始ピリピリと緊張が漂っていたものの、好きな演奏家の公演にスタッフとして携われること自体、とても嬉しいことです。
一方、前に聴きに行ったときは、話題のルトスワフスキのピアコンで、ただただ圧倒され、それは今でも鮮明に思い出されるものでした。
さて今回はどうしようかと迷いましたが、プログラムがベートーヴェンの後期3大ソナタとあってはどうしても客席で聴き届けたいと思い、チケットを買いました。
そして今回。選択は大成功だったと思います。
本当に拍手が鳴り止みませんでした。スタンディング・オーベーションも起こりました。アンコールがないとわかり、客電が上がってもなお、しばらく拍手は送り続けられました。
拍手には、畏敬の念が込められていたのではないでしょうか。ツィメルマンがベートーヴェンと作品に込めた畏敬の念を、聴衆が彼に送っていました。
また続きを改めます。