「気」になるお客様 | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

気配・雰囲気・活気・陰気・陽気・呑気・強気…

などという言葉がございますが、日頃お客さまと接するなかでも、そのようなもの、「気」を感じながら仕事をしています。


コンサートに於いては遅れて来た方のご案内で、時に演奏中の入場をお待たせする時、客席で傘を床に置いて頂くなど何かご協力をお願いした時、また 終演後 満足を分かち合ったり、あるいは何かご不満に思うことがあった場合などに話しかけていただく時…。


同じ場面なのに 当たり前ですが人によって態度や言葉に違いがあるのを 何年仕事していても新鮮に感じています。


それらは素敵なお見本か、反面教師のどちらかで、全て私に何かを教えてくれ肥やしになります。仕事の度に繰り返しあることなので 繰り返し自分も真似しようと思ったり、反省することができます。


先日は客席のポジションに居る時に一瞬なのに楽しいことがありました。


曲間ごとに転換のあるプログラムで、もう後半の2曲目あたりというのに、出演者が袖から出てくる!という間際に飛び込んで来られたお客様が。


まだお座席まで行ける!?と咄嗟に判断が必要ですが、チケットを確認しているとそれだけで完全にアウトだろうな…ご自身で場所をわかっているならセーフだろうなと思いつつ、話しかけ始めました。(注:ここのホールでは遅れ客を個別にお席までお連れするご案内をしていません。)


ところが さっさとお座席まで行けない飛び込み客用のレセプショニストの椅子をご自身で出して、ほど良い位置に置くと座られ、こちらにゼスチャーでGoサインを送られます。


身のこなしの早さ、完璧さから、よほどコンサート慣れしている方か、関係者の方かどちらかと言えそうです。ほっとしつつ、この曲が終わると自席に行っていいですよとご案内しに行こうとスタンバイして見守っていました。(この方ならわかっていそうだと思いながら。)


いざそのタイミングで、お客さまに近づくと、お客様も脱兎の如くというくらい俊敏に椅子を元の位置に戻し、こちらに向かって走り出そうとされたので、軽くぶつかってしまいました。


この時点で事情は呑み込めましたが、ロビーに出られるようなのでドアを開けて差し上げようとしました。お客様は軽く、でもしっかり私の方にポンと手を乗せてから「サンキュ~」と言わんばかりに爽やかに、でも猛烈なスピードでダッシュして行かれました。


きっと、本来は袖で出演者をお迎えするマネージャーかどなたかだったのだと思います。


大変に印象的でした。このやりとりよりもその方の放つ気が大変質のいい明るい感じがしました。出演者を心から大切に想っていらっしゃるのだろうなと感じることができました。


後であの方は誰?と仲間に聞こうと思っていたのにすっかり忘れて帰ってしまいましたが、最近こんなに「気」がキレイで素敵という雰囲気を放つ方にお会いしていませんでした。オーラが撮影できるカメラがあるそうですが、あの方を撮ってみせていただきたいものです(笑)。肩に置かれた手から気功よろしく何かいい気をもらった気がします。


我ながら「頑張ってる」と思える時にはよく他人から「オーラが出てる感じがする~。」などと時々言われることがありました。同じ頑張っていても心が疲れていながら頑張るのと、大変でも輝きながら頑張るのと違いますし、自分でもその感覚の違いはわかります。


あのお客様はきっと自然体でそんな輝きを放っておられる方なのでしょう。久しぶりに、輝こう!と思わせていただきました。年度初めでもあり、イロイロと変化があって大変な時ですし、その為には心の掃除から始めよ!という学びを得たいい機会でした。