静寂 | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

先日、私がいつも楽しみに訪問させて頂いているブロガーさんの記事のコメントで、コンサートホールの静寂さについてやりとりされていました。それは、演奏中はもちろんでしょうけれど、客席に一歩踏み入れて感じることのできるもののことではないでしょうか。


そうですね。お客様もそんなところもお感じになりながら、いらしてくださるのですね。

ホールの隅々まで感じ、愛してくださるのは嬉しいなと思いました。


お客様は、1番乗りでも1番最後でも、客席の扉が全閉している状況で、そこにいるのは我一人、という状況はまず遭遇することはありませんね。


レセプショニストはそういった状況は日常的にありますが、私自身も、開演前ですと、非常に身の引き締まる思いがします。終演後はオケやお客様がハケて静寂が戻っても、変わらずに威厳に満ちた様子の客席から出て、扉を閉めるまでは「疲れた~」なんて思う隙を与えない気がします。


コツコツという靴音も、書類を広げて確認する音も、コホンと咳払いする音も、お上品に響いているのを感じることができ、つい、所作がそっとそっとになってしまいます。


だからこそ、演奏中の物音はもちろん、途中入場に非常に気を遣います。日常から、しかもさっきまで遅れて焦ったり走ったりしてどちらかというと多少平常心ではない状態から、一気に静寂の海に飛び込む、ということになるのですから。場合によっては「靴音がかなり響きますので・・・」というコメントをすることもしばしばありました。


でも、そのような静寂を愛することができるホールというのは、ホールの残響のみならず、自慢の内装なども手伝って、ホールそのものが持っている雰囲気、威厳に満ちた感じが余計にいい意味での緊張感を高めている気がします。


私にとって、好きなコンサートホールの客席内は、ある意味パワースポットになっています。