クラシックの演奏会会場には、その大小を問わず、常に持ち続けていたいものがあります。
それは、エレガントさ
いかにエレガントであるか。
実はこれ、全ての基本なんです
意外でしょうけれど、迷ったりした時の判断基準にもします。
「それは、エレガント」と。
日々の生活のなかで、美しさにこだわる人は多いとは思うのですが、それは感覚的なはかりのようなものであって、私はレセプショニストの仕事をするまで、あまり「エレガントとは何か」なんて考えたことはありませんでした。この仕事の制服であると最近では思います
スタッフの立ち居振る舞い、所作はもちろんのこと、会場の備品や掲示物なども。接客も。一言で言ってしまえば、全てこれに繋がります
♪姿
ホールの程度が知れてしまうのがスタッフの所作と言ってもいい気がします。
どんなに音響などがすぐれているホールであっても、イメージや人気に直に現れます。ア-ティストにとっても、やっぱり憧れのホール、「いつかあそこで・・・」と思うことがあると思います。小さくとも格調高い名ホールというのはありますよね。
社会人の基本、接客の基本のお辞儀はいうまでもなく、「クロークはどこですか?」などという質問への答え方、言葉遣いを初め、方向を示す指先などなどは当然のこと、ズバリ、「姿」そのものが美しくエレガントであるかどうか。歩く姿はどうでしょうかただ、立っている姿。それだけではっきりと違いが表れてきます。
(お客様の立場ではそういうホールの見比べも楽しんでください)
演奏中、ほぼお客様のいらっしゃらなくなったロビーや、死角の通路などでも、だらけてふにゃっと立ったり、おしゃべりはしていないでしょうか?
モニター鑑賞のお客様やふいに客席のなかから出てこられるお客様もいらっしゃることを常に念頭に置いておきたいものですね
♪会場
開場前の準備から、コンサートが進行していくその過程、そしてお客様を送り出す終演後。チケットを切る台を出したりしまったり、アンコールボードを用意したり、結構備品や掲示物をお客様の知らない間に目まぐるしく替えますね
作業の途中でガタゴトと大きな雑音を発生させて平気でいませんか?
その準備やしまった物の状態はエレガントでしょうか歪んで置いてあったり、掲示物が斜めに貼ってあったり、セロテープがむき出しになっていませんか?奥にしまった不必要なものの裏側が見えているなど、見苦しくないですか?
また、利用するお客様にとってベストな状態ですか
多分お客様はそういうのを細かくはチェックしてはおらず、来場した時点でそれが普通の状態として無意識の範疇にあると思います。だからそ、雰囲気がエレガントかどうかという印象だけが残ります
一流ホテルのロビーに一歩入っただけで「うわ~っ」と思える洗練された雰囲気や、きびきびとしたホテルマンの動きに「やっぱり違うなぁ…」と思うことと同じだと思います
♪接客
接客はエレガントでしょうか
お客様の欲しておられることを正確に読み取り、さりげなく、期待以上の対応をする。反対に、欲しておられないのに、親切の押し売りをしてしまっていないか
目立ちすぎたり恥をかかせたりしてはいないか
というようなことも出来て、なお且つお客様が満足してくださるような笑顔や自分の「雰囲気」はあったかどうか
お客様が満足を得られたときの、お顔、表情がとても素敵で、私の方がお客様のように余裕のある態度の人物になりたいと、こちらがさわやかな気持ちになることが時々あります。落ち着いて「そうね。」「ありがとう。」と納得とお礼の言葉を頂戴したとき、どんな疲れも飛んで行ってしまいますし、それがまたお上品だったとき、とても学びになります
これって、コンサートホールだけでの話ではなく、他の仕事にも必要なことですし、個人の生活のなかで生かされれば一番素敵なことですね。茶道や華道といったことも、こういうことに繋がるのかな?とちょっと思ってみたりもします。私生活にも自然とエレガントの制服をまとっているような人を目指したいです