映画『ある男』レビュー | 同人作家弾のブログ

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 こんにちは、弾です。最近『ある男』という映画を見ました。

 原作は僕が昔ハマった『日蝕』の平野啓一郎さんです。

 

 離婚をして田舎に子供を連れて帰った里枝は、家業の文房具屋に画材を買いにやってくる大祐という男と恋に落ち再婚する。

 大祐との間に娘ができ四人家族で幸せに暮らしていたところ、不慮の事故で大祐は死亡してしまう、葬儀にやってきた大祐の兄は大祐の遺影を見て、これは自分の弟大祐ではないと言い出して……弁護士の城戸に身元の調査を依頼する。

 

 という感じのミステリーっぽいお話で、お話の中心はXと呼ばれたある男が一体誰であったのか、その謎を解く物語です。

 ネタバレは避けて書きますが、これが結構切ないお話です。

 人の生きる意味みたいなものを突きつけられるお話で、さすがは芥川賞作家が原作を書いただけはあります。

 

 普通の人から見れば恵まれているように見える、有名人権派弁護士である城戸も心と家庭の中に闇を抱えていて、在日コリアンであることにコンプレックスを持っています。自分の人生を捨てて別の誰かになりたいという欲求は誰にでもあるんじゃないかと問いかけてくるような描写があり、それがこの物語の没入感を高めているように思いました。

 

 ストーリー展開も勢いよく、謎が解き明かされる度に濃密なヒューマンドラマが心を掴みます。

 平野敬一郎ファンはもちろん、彼の著作を読んでいない人にもお勧めできる映画だと思います。

 

 


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