自作小説 「機械」 決戦・ 急 その14 | どうも、ドクロ家DEATH!

どうも、ドクロ家DEATH!

きゃっきゃうふふな日々をご紹介、かーちゃん達にはナイショだぞー(゚Д゚)ノ


小説「機械」


最終話「今 二人が空にむける機械は」 


後編








ポンっと オレの背中に触れたのは、雨露部長の手だった











部長は、口の端から血をしたたらせ、顔面は蒼白に

体に受けた刺し傷をかばいながら、ヨロヨロと立っている

だが、その目の光だけは、以前にもまして鬼気迫るものがあった










ど、どうして・・・あのキズで・・・

「部長・・・キズがっ!」









部長は

「ドクロさん・・・僕は大丈夫」

「それより、今は、カナさんだ」










「そ、そうなんです!機械は壊したのに、にじさんの力が・・・止まらないんです!」









にじさんは、小刻みに震え苦しんでいる

その、体の崩壊は、止まらず

いつ、崩れ落ちてしまってもおかしくないと、思わせた










部長は、怒りをあらわにした口調で

「これは・・・力を無理やり、出させられてる」

「カナさんは、利用されているんだ・・・」










「な・・・?だっ、だれが!?」

「ま・・・まさか・・・」











「そう、許せないよね ドクロさん」

「自分のために、命がけのカナさんを利用するなんて・・・」

「ドクロさん、僕、いくよ」

「君は、カナさんを頼む」










な・・・・

「部長!あんた 死んじまいますよ!」

「オレが!」










「いや」

「僕が」

「僕が、全ての決着をつける」

「じゃなきゃ死んでも死にきれない」










「そ、そんな・・・」











部長は、くるりと振り返ると

背中越しに「みんなを頼む」といい

右手を高く、かかげあげた










すると

照明が落ち、ところどころ薄暗くなった武道館ホールに

まるで、昇ってくる太陽のように 光り輝く物体が、現れた



いや・・・ちがう

元から、そこに居たんだ



バサリ バサリと大きな羽音がし

ステージの部長の前に降り立ったのは、火の鳥の体をなした カナリヤさんだった











黄金色の尾羽が、キラリと輝く

「君なら わかってるんだろう?」

「頼む、僕を そこへ連れてってください」










部長の言葉に優しく うなづくと

カナリヤさんは、部長を その背中にいざなった



部長は、傷をかばいながら、カナリヤさんの大きな背中に乗る



カナリヤさんが、部長をきづかいながら、ゆっくりと羽ばたき始める











羽音に混ざって、聞こえるか 聞こえないかという声で

部長は言った

「カナさんを・・・みんなを頼む」

「ドクロさん・・・さよならだ」











さよ・・・なら・・・?



オレは ハッと飛びだすと

「部長!だめだ!いくなああ!!」

「いくな部長ーーーーーーーっ!!」











だが、その声は虚しくホールに響いた



部長を乗せたカナリヤさんは、ゆっくりと上昇すると

なんさんが、魔法で、天井にあけた大穴をすりぬけ

武道館外の、上空に舞い上がった











「部長 死ぬな・・・」

にじさんには、聞こえないよう オレはつぶやいた



























どうも、ドクロ家DEATH!




空が、星が、月が うつくしかった

「こんな夜なら、そう・・・悪くはないな・・・」



部長は、つぶやき 視線を移すと

そこに 

男は・・・いた










M王武道館 最上部

黄金色の「たまねぎ」が

内部から あふれだすエネルギーによって

さらに、輝きをましていた


どうも、ドクロ家DEATH!














カナリヤさんから、降り立った部長を見つけ

男は、驚きもせず

「やあ・・・ひさしぶりだね」と言った



どうも、ドクロ家DEATH!













部長は、憎悪をあらわにした瞳で 叫んだ

「なぜ、カナさんを騙した!」











男は、その問いを無視して

「その怪我 いたそうだね」

「スタンド? スタンドを体の内側で発現させて、キズを閉じてるんだろう?」

「すごいなっ!」










部長は、声を震わせて

「なぜ、カナさんを裏切った!!」












男は、ふところから、黒い塊をとりだし

部長に向けて、かかげあげ

「スタンドを防御につかったら キミ 出血でショック死しそうだね?」

カチリっ 

男は、大きな拳銃の撃鉄を起こした



どうも、ドクロ家DEATH!











こらえきれなくなった部長は、キズにかまわず ありったけの声で叫んだ

「なぜ キミを愛したカナさんを利用した!!」











その声と同時に、M王町の空に

「バァーーーン!!」という銃声が響き渡った



とびだした弾丸は、奥深く肉に食い込んだ











部長の声にあわせるように 男に突撃した

カナリヤさんは、その身に銃弾を受けながら

その巨大なツメで、男の手から拳銃を奪い取ると、空高く舞い上がった




どうも、ドクロ家DEATH!













だが、受けた銃弾の痛みから、速度をおとし

ついには、握りしめていた拳銃を取り落とし その身を武道館の屋根の下へと消した











放り出された拳銃は、きれいな放物線を描いて空を横切り

近所に建っている住宅の玄関わきに 立てかけてあったホウキにあたり

バウンドして、すぐ横の洗濯機の中にナイスシュートされた











部長は、うずくまった・・・キズの痛みと苦しさに耐えかね、顔が あげられない












そんな部長の姿を見て

男は、部長の周りをゆっくり歩きながら、話し始めた



「私は、あの娘を騙しても、裏切ってもいない」


「こうなることは、あの娘にもわかっていたはずだ」


「ごりっぺくんや、くっきーくん、ゼータくんに与えた力も、機械の力じゃあない」


「あれは、私が持っていた プッチ神父のディスクをはめて発現した力だ」


「カナも知っているはずだ」


「機械が生み出すのは、キノコ人間のみ」










男は、にやりと笑う




どうも、ドクロ家DEATH!










「私の計画に必要だったのは、力をもった「同士」ではない」


「まさに」


「まさに必要だったのは、キノコ人間なのだ」


「キノコ人間には、感情がない のではない」


「一つの感情に支配され、それをため込むのだ」


「その感情こそ・・・恐怖」


「感情に含まれるエネルギーの中で、一番強い力を持つのが 恐怖だ」


「恐怖をため込んだキノコ人間から、膨大なエネルギー「マガツヒ」を集めること」


「それこそが、本当の目的だ」












男は、雨露部長の方を向く

「そして・・・キノコ人間に恐怖を与えるのに最適なのが・・・キミ」


「雨露くん・・・というわけさ」


「カナに説明したのは、人類の解放という目的だけだったが」


「私の目的は、人を救うだけじゃない」


「星、そのものを救うのだ!!」



どうも、ドクロ家DEATH!











男は、武道館頂上にある 巨大な たまねぎの台座にあるスイッチを押した

玉ねぎの中ほどに まっすぐ二本の平行する スジがあらわれた

そのスジをさかいに、玉ねぎは3つに分かれて、それぞれが回転を始めた











膨大な量の にじさんの感情を吸収した玉ねぎは

グオングオンと、さらにそのエネルギーを増幅し始めた













男は、空を仰ぎ見て


どうも、ドクロ家DEATH!











「ここより・・・このM王町より」


「とてつもない量のマガツヒを放射し、すべての人類をキノコ人間としてコントロールし」


「この地球に「大調和」をもたらすのだ!!」


「もはや、あなたがたパブロフの犬どもは、この地球にとって、害毒なのだ!!」














男は、うずくまり体をふるわす部長をみおろす


「カナは、よくやってくれたよ」


「私のコアな、ファンたちを秘密裏に これだけ集め」


「この武道館コンサートを成功させるために、十二分に役立ってくれた」


「もし、雨露くん キミが力を貸してくれなかったとしても、キノコ人間から力を集めればよかったし」


「もし、キミが邪魔をしてきても、あの娘が生み出す 膨大な量のエネルギーを」


「さらに、もう一度この機械に吸い込ませれば、必要な量のマガツヒは用意できたからね」












「カナは、最高の理解者だったよ」

男は、そう言うと こともなげに「機械」のスイッチを押した












ついに・・・



全ての人類をキノコ人間に変える


終末のエネルギーが


「機械」から発射されようとしていた











だが

男は、振り返り信じられないものを見た

男は、決めつけていたのだ

部長は、もはや 死ぬ寸前で、痙攣しているのだ・・・と









だが、それは違っていたのだ

部長は、死の淵から三度 立ち上がってきたのだ











「な!?・・・」

男は、それ以上声にならなかった











幽鬼のように立ちつくす部長

うなだれていて、表情は、見えない

が・・・

言った


「そんな、くだらないことのために」

「あの子を」

「カナさんを苦しめたのか」











部長の体から スタンド「ペイントブラック」が抜け出てきた


どうも、ドクロ家DEATH!


血が・・・

部長の体から血が、ドバリと噴きだす











男は、うろたえていた

うわずらせた声で

「そ・・・そんな体で・・・」

「助けてくれる仲間もいないし」

「ペイントブラックには、人を殴り倒すほどの力もない」

「感情をぬりつける能力だって、元々のスタンドの持ち主の私には通用・・・しない!!」


男は、自分に言い聞かせるかのように叫んだ











部長は、ゆらりと顔をあげ、男を射抜くように見つめた

「言いたいことは、それだけか?」












男は、誤解していたのだ

部長は、怒りのために震えていたのだ

静かに キレていたのだ











ペイントブラックは、くるりと向きをかえ

男に背を向けた



部長は、自分の血で真っ赤に染まった 白衣のポケットから

とりだしたものを握りしめ

それを、ペイントブラックに叩きつけた











「な!なにを!?」

男には、まったく理解ができなかった

目を見張り、それ以上声を出せなくなった男に

部長は、言った









「アーカム財団にも、スピードワゴン財団にも知られず」

「なんさんの一族が人知れず、守り続けてきたもの」


部長が、この闘いに赴くまえに、なんさんの隠れ家で受け取ったもの


「それはスタンドの力を さらに、その先にすすませる!!」












それは、「弓と矢」の矢じりだった


どうも、ドクロ家DEATH!



どうも、ドクロ家DEATH!








この「矢」に体を射抜かれて、生き残った者は、スタンドの才能を呼び起こされる

そしてさらに、この「矢」に選ばれたスタンドが、もう一度射抜かれた時

そのスタンドは、新たな「究極」ともいえる力を手に入れられる


どうも、ドクロ家DEATH!









その「弓と矢」の「矢じり」を

部長はペイントブラックに刺したのだ

ペイントブラックが、内部から光を放ち始めた












「ううう・・・」

男は、うめき あとずさる



光の中で、ペイントブラックのシルエットが変化してく

そして

変化がおさまったとき 光は、スタンドの中にすいこまれるように消えた












ペイントブラックの


額と手の甲に「矢じり」の形が浮き出し

手に持っていた筆は、なくなっていた


すらりと伸びた足で、地面を力強く踏みしめ

威厳あふれる、雄々しい姿で立ちつくしていた











「そんな・・・ばかな・・・」

すでに恐怖にひきつった男の顔面めがけて

部長は、その究極の力をまとったスタンドのコブシを叩きこんだ


「ペイントブラック!レクイエム(鎮魂歌)!!」


「ウウウバッシャアアーーーーーーーーーーっ!!!」









男は、気おされ 完全にタイミングを逃した

部長に隠していた、自分の新しいスタンドを発現しようとした

だが、間に合わなかった










ドグッシャアーーーーーーッ!!











「ぐああああああああ!!」











男が吹き飛んだ先の地面に

突如

真っ黒い、闇よりさらに暗い 底なし沼があらわれ、ひきづりこんだ










もがいても もがいても どんどん沈んでいく

叫び声をあげたかったが、口の中に動物や虫の死骸がまじった泥が、流れ込んできた

男は、気を失った












気がついて、目を開けると

無数の銃口が、ひしめきあって自分の方に向かっていた

あと、何秒後に発射されるのか?

男はガタガタ震えだした

「バーーーーン!!」

銃口の一つが、火を噴いた


男は、叫び声をあげたが、今度は叫び続けなければならなかった

数え切れないほどの銃が、順番に一丁、一丁 きちんと決められたペースで火を噴き

そのたびに、自分の体に穴をあけるのだ

男は、気を失った












また、気がつくと 今度は体中に見たこともない

とてつもなく、おぞましい蟲が蠢き

男の肉を食いちぎり、体内に潜り込もうとしていた













「ひいいいいいいいいいいいいいやあああああああああああああっ!!!!」

男は、またも叫び声をあげたが、無駄だった











ペイントブラック・レクイエムが作りだした恐怖の幻想は

形をかえ、とめどなく なんどもなんどもなんども

男に襲いかかった











何度目かの恐怖が襲いかかってきたとき

ふいに、部長の声が聞こえた












「終わりのない、無限の恐怖」

「これが、ペイントブラック・レクイエム」













「キミの敗因は、たったひとつ」



「大槻くん」



「たったひとつの単純(シンプル)な答えだ・・・」



「キミは僕を怒らせた」

















だが、男は、もう 部長の声を聞いてはいなかった

男の心は、すでに

完全に壊れていたのだから



ただ

男の体だけは、フラフラと

いまだに回転をつづける「機械」に近づいて行った

そして

ふいに



男の体は、機械の回転に巻き込まれ

ぐしゃぐしゃにちぎれながら

その内部に

血を

肉を

骨を

引きこまれ 挟まり

とうとう 機械の回転を完全に止めた



それは、まるで

ペイントブラック・レクイエムの与えた恐怖に耐えきれなくなった

男の体が 終わりを求めて飛び込んだ・・・かのように見えた










男は、死んだ

「天使を呼ぶ機械」は沈黙した

これで、ニジさんも救われた

部長は、もう、思い残すことはなかった












終わった・・・













だが











そうではなかった













完全に動きを止めた「機械」から

金色にかがやく玉ねぎの壁面から


するりと


小さな


黒い


透き通った体の


「子猫」が抜け出てきたのだ・・・


どうも、ドクロ家DEATH!













子猫は、部長の横をチョコチョコと歩き、通り過ぎる

部長は 言った


「そうか・・・あのバスケット爆弾をもってきたのは、キミだったのか・・・」












子猫が・・・人間の声でしゃべった



「おめでとう、あの男は 死んだよ」



「ボクは、あの男のスタンド」



「機械の中にたまっていたエネルギーを吸って」



「ボクは、生まれたニャ」



「雨露さん 今回はキミの勝ちニャ」



「けど、これで終わりじゃないニャ」



「これが、始まりなのニャ」



「でも、残念・・・キミはもう・・・」



「お別れニャ・・・」














子猫は、M王町の夜空に

す~~~~っと

とけこんで









消えた












部長の体から

最後の力が尽きた



部長は、倒れた

武道館の屋根のスロープを転がり落ち

止まった



すでに、流れ出る血もつきていた














部長は、最後に つぶやいた












「みんな・・・ぼく もう・・・」





「玄界灘だよ・・・」





「おちる・・・ね」




















こうして





M王町は、人類は救われた





大槻ケンヂは、子猫になった





バー「なんと」は、常連の一人を失った





「天使を呼ぶ機械」をめぐる闘いは、終わった














自作小説「機械」






おわり













エピローグにつづく