「たまねぎさああーーーん!」
ボクチンは絶叫した
「はいよーー!」
ボクチンたちのすぐそばで、げんきな声がした
たまねぎさんだ!
ガンダムハンマーでつぶされたはずの・・・
「ぎやあああああああああ!!」
「なんで、私 見て悲鳴をあげんのよ、ドクロッチ」
たまねぎさんは不満げに指さした
たまねぎさんが潰されたはずの場所には
ぐちゃぐちゃに砕けたプラスチック?の破片と
黄色と黒色の縞模様のチャンチャンコがおちていた
「代わり身の術!?」
ボクチンは驚きの声をあげたときには、たまねぎさんは、きえていた
それを追って、一瞬遅くガンダムハンマーの二撃目がこちらに向かってつっこんでくる
「やだー! 鬼太郎のフィギュア~!私ねらってたのにいー」
フロシキさんが、すっとんきょうな声をあげる
いや、にげないと!
ゴギャアアアアアアアアアン!!
凄まじい質量と破壊力を伴い、とんできたガンダムハンマーは
ボクチンらの目の前の、何にもない空間にぶつかり弾き飛ばされた
「ドクロッチ~ 結界はってるからだいじょうぶだって」
頭をかかえてしゃがみこんでしまったボクチンをつっつきながら
ナンさんは、呑気にいった
そ・・・そうか そうだった
ボクチンは自分の身に危険が及ばないわかると
たまねぎさんの姿をさがした
たまねぎさんは、まるで
ヒラリヒラリと舞い遊ぶアゲハ蝶のように
踊るように、しかし最小限の身動きでハンマーをかわしていた
手を、後ろ手に組んで
跳ね
飛び
おもしろいようにかわし続ける
とん!! と鉄球に手をそえ軌道をそらすときだけ
その先にいたゼータさんのヒーローフィギュアが、木っ端みじんにつぶされた
「なぜだ・・・なぜ あたらない!!」
ガンダムの動きは、まるで 生き物のように有機的でスムーズだ
それもそのはず
スタンドの能力で直接、その中に入り込み一体化して動かしているのだから
おそらく、ゼータさんの動きをそのままトレースしているのであろう
だが ハンマーは、たまねぎさんにかすりもしない
むなしく空をきり
いたずらにエントランスホールの
壁を
床を
自分で精魂込めて作り上げたヒーローたちを打ち壊していた
「な・・・なぜ・・・・・」
ゼータさんはガンダムの中で息をきらしていた
たまねぎさんは、華麗にハンマーをかわしながら説明した
「こういう鎖で振りまわす武器って、投げる時の軌道が
その振り方で、まるわかりなのよ」
「多人数の素人さんを相手にするときは、便利なんだけど」
「私みたいに武術をやっている人、相手にはつかっちゃダメなのよ~」
「そいで~」
「さきっちょを当てるか、鎖でからめるかしないで よけられちゃうと
すっごい隙ができるのよね~」
ゼータさんは、ムキになってぶんまわす
ガンダムハンマーの鉄球を余裕でかわし
たまねぎさんは講釈をつづける
「鎖で引き戻す時に、いっぱつで間合いをつめられちゃって 叩かれちゃうのよね~」
「・・・」
「こんなふうに!!」
たまねぎさんは、わざとゆっくりとハンマーをかわしたかと思うと
反転
アヤさんがみせた、凄まじいスピードの跳躍をはるかにこえた猛スピードで
ガンダムの足元までひととびし
コクピットめがけてパンチをはなった
メギョン!!
にぶい音が響き
ガンダムのボディが大きく凹んだ
「なっ!?バカな!」
ガンダムは二歩三歩とよろけ、片膝をついた
「たま仙流『硬気功』」
「効いたでしょ?」
たまねぎさんはニコリとほほ笑む
さらに
「あ、あと このイボイボの玉の武器は、自分より頑丈な装備をつけた
重い相手をと闘うためのやつだから、こんな小さくて すばしこい
オバ・・・おねえさん相手には選択が最悪なのよね~~」
「長年、アヤさんの戦いを見守ってきて な~んにも学ばなかったのかしら?」
「クスクスクス」
この一言でゼータガンダムはブチ切れた
つづく
んな辛口で、ゼータさんをおこらせて大丈夫なのか?たまねぎさん
次回「ラスト・ショット」の巻きをお楽しみに!