ドドオォォン!!
ヒーローフィギュア軍団とキノコ人間軍団が、ぶつかりあう音がホールにひびいた
50人からなるキノコ軍団は、うなり声をあげヒーローたちに組み付こうと殺到する
ひときわ大きめのキノコ人間が、セーラームーンにとびかかった
が、ヒラリとかわされ、もっていたステッキ?でかるくいなされ
バランスをくずしよろける
そこを、スパイダーマンが蹴りあげた
ガッチャマン5人組が華麗なチームワークで、キノコの一団をけちらす
そのとなりでは、孫悟空が
実際のマンガやアニメで、よく見た あの躍動感たっぷりさで、キノコ人間に
エルボーでつっこみ、まわしげりで弾き飛ばす
「か かっこいいいいいい!!」
やはり、子どもの頃 あこがれたヒーローが、まじかで闘う アクションを見せられると
それが敵だったとしても、見とれてしまう
フロシキさんは、ケータイでムービーを撮り
なんさんは、ことあるごとに「おお~ うおっ!! いけええ!!」などと歓声をあげている
部長だけが顔を手でおおって、こまりはてている
「部長・・・これは?」
「あ、そうか ドクロさんは知らなかったね」
「フロシキさんの能力」
「ええ・・・これも・・・」
「スタンドというものですか?」
フロシキさんが撮影に夢中なので、部長がかわって説明してくれた
フロシキさんの能力は
「スタンド」ではなく
「念」という力だそうだ
やはり、人間の奥底に眠る力で
鍛え上げることで、その人特有の超常的な付加能力を作り出すことができる
そしてフロシキさんの「念」特有の能力は
『不思議で便利な大風呂敷(ファンファンクロス)』
という名前だ
「念」という力で生み出した
「風呂敷」は
術者の意志で、自在に大きさを変え
物体を、その風呂敷で包み込むことにより
時間が「静止」した別世界に転送し「保管」することができるのだ
ボクチンたちが、この武道館に来るときは
敵に面のわれてないフロシキさんが、皆をその風呂敷でつつみ
人目につかないように運び込んだ ということだそうだ
さらにいうと
ミコシさんの能力
神通力「冥諧画術 筆しらべ」で召喚された「呑龍」は
現世にある、あらゆるものを呑み込むことができる
呑みこんだものは、呑龍が現世を離れるとき 呑龍と一緒に闇の世界につれていかれる
そのため
フロシキさんは、キノコ人間の保護のため
バー「なんと」によばれたのだ
暴れるキノコ人間を、部長がひとりずつ時間をかけて治療するため
時間を止めた世界で、保管するため
呑龍に消化され、地獄に落とされないように
呑龍に吐き出させた
キノコ人間を フロシキさんの能力「念」で あずかってもらっていたのだ
今日フロシキさんが、この戦いに呼ばれたのも この
「念」の力をたのまれてのことだ
ただ
「念」能力の、より攻撃的な使い方でという意味合いでだ
「ファンファンクロス」の保管の能力は
対象を「念」で作りだした「風呂敷」をかぶせれば、瞬時に発動し
一度、保管されてしまえば、自力での脱出は 絶対に不可能なのだ
時間が止まった世界で動けるものは、いないのだから
だがフロシキさんは、「念」の風呂敷をより攻撃的に
まるで突っ込んでくる闘牛にマントをひるがえす マタドールのように
風呂敷をふるうのではなく
安全に保管しておくはずのキノコ人間たちを解放し
戦いに使うとは、部長もナンさんも予測がつかなかったということだそうだ
「そ・・・そんな便利な・・・」
「つーか・・・それ メチャクチャこわい能力っすね・・・」
「うん、フロシキさんが敵にまわっていたらって 想像もしたくないよね」
部長は身をすくめる
キノコ人間とヒーローたちの激戦をしりめに
余裕ができたボクチンは、ふと 見慣れない光景をみつけ、おどろく
アヤさんが泣いていた
肩をふるわせているが
声を押し殺して・・・
それを たまねぎさんが気遣っている
ボクチンは、見てはいけないものを見てしまった気がして
キノコたちのバトルに視線を戻した
・・・おされている?
いや、明らかにそうだ
超人ハルクの猛タックルで
鬼太郎の放った、リモコン下駄で
筋肉マンの筋肉バスターで
次々にキノコ人間は、倒れていき
その数はすでに、手の指で数えられるぐらいの人数になっていた
「あ あららら?」
ブロシキさんは、目をパチクリして部長の方を向いた
「ほらぁ~・・・」
部長が、声にならない声という感じで、こたえると
「あ!じゃっ じゃあ 私!私がちょくで行きますんで!それで・・・」
とフロシキさんは うろたえた
「いや、僕ら全員で・・・」
と部長が言いかけた、その時
ふいに
スタンドの煙とヒーローたちの影の中から、ゼータさんが現れた
「それは、困りますね」
「まあ、皆さん全員でかかってきたとしても、私のスタンドなら、お相手できますが」
「精魂込めて作り上げた、ヒーローたちですから」
「できるだけ、傷をつけられたくないんですよ」
「それに 私は一対一で闘ってみたかった人がいますので」
「全員で来られると困りますから・・・」
ゼータさんは、もう一度帽子をかぶりなおすと
ボクチンたちの足元を指さし
「小細工させてもらいました」と言った
そこには、ゼータさんが持っていた
赤い工具箱がいつの間にか ポツンと置かれていた
い・・・いつのまに・・・
ボクチンが手をのばそうとすると
ゼータさんは
「おっと!さわらないでください」
「その工具箱には、戦車2~3台は軽く吹き飛ばせるほどの火薬がつまっています」
「私がこの、起爆装置のスイッチを押せば、このホール丸ごとふっとぶでしょう」
ボクチンは、おどろいてとびのいた
「私は自分の力を試したいんですよ・・・」
「みなさんが一人ずつ、ちゃんと順番を守って、私と戦ってくれる限り」
「このスイッチは、絶対に押しませんので・・・」
そういうとゼータさんは、またスタンドのケムリに その身を隠した
ゼータさんの声だけが響く
「私がまず、一番に・・・」
「最も闘いたかった人・・・それは・・・」
ううううううううう!、やっ!やばいいいいいい!!
ボクチンだ!バー「なんと」で言いあいしたから、ゼータさんはボクチンのこと
根に持ってる!絶対!!
「それは・・・」
やめてえ!指名しないでえええ!!
「それは アヤさんです」
アヤさんが肩がビクリと震えた
つづく
次回 傷心のアヤさん一人と、ゼータさんのスタンドが操るヒーロー大軍団が激突する!?
「修羅雪姫」の巻きを
乞う!ご期待!!