部長のスタンド「ペイントブラック」は部長の後ろで
オイリーさが匂ってきそうなビルドアップポーズをとっている
「僕、行ってくる決心をしたよ」
「僕の方から、出向いて行って彼らを止めてくる」
「僕が・・・!」
部長は燃えている
ボクチンはあわてて
「ええ?でも、だめですよ、それは」
「さっきはブチきれちゃって言っちゃったけど」
「やっぱり、部長は危険をおかしたらダメですよ」
ボクチンはツバをとばしながら、部長をとどめる
「ね!なんさん」
ボクチンにふられて
なんさんに皆の眼がむく
やはりこのチームの中心は、なんさんなのだ
なんさんは、ぬるくなったココアをシンクに流すと
「部長、ニジさんを相手にしても、スタンドをつかえる?」
「ニジさんがないても、たたかえるの?」
部長は眉をよせ、一瞬なきそうな顔になるが
「僕は彼らを止め、ニジさんを助け出す!」
と、力強く言い放った
部長の後ろにいる、ペイントブラックのとったガッツポーズは
まるでボディビル全日本チャンピオンのような、威厳をはなち
その笑顔は、雨上がりの青空のようにサワヤカだった
「よし!」
「行こう!! 特攻野郎Aチーム 出動っ!!」
「作戦開始時間はヒトフタマルマル!!」
なんさんは、コブシをにぎりしめ、いきおいよく振りあげて叫んだ
後ろでミコシさんが、なんさんの手にぶつからないようにカナリヤのカゴをチョイとずらしてもっている
さすが、名前のとおりミコシている
「特攻野郎とは、懐かしいんだけど」
「なんさん今回は、ぼくひとりでいってケジメをつけてくる」
「ドクロさんやアナさん、この店にも皆にも迷惑をかけすぎたから」
「これ以上は、危険な目にあわせられないよ」
それを聞いた、なんさんは、ひときわ真剣な表情をして言った
「ドクロッチは?」
「来るなと言われても行きますよ」
「アナをあんな目にあわされているんです」
「『機械』のこともほっとけないし、石仮面をつぶしたゴリッペをたたきのめさないと、きがすまない」
「あれはドクロさんが・・・」
部長がくちごもる
「たまちゃんは?」
たまねぎさんは
「部長が心配だし、アナさんかわいそうだし」
「強そうな人と闘えそうだし・・・行きたいなあ」
「アヤさんは?」
アヤさんは無言で、ギラリと大きなナイフを抜いた
「う、うんわかった」
「じゃあ、ミコシさんは?」
ミコシさんは、にこやかに
「水臭いですよ、部長、おともしますよ」
「うん、ほんとに水臭いよね部長は!!」
なんさんは、ほっぺをふくらます
「ふーちゃんは?」
「できたら、ふーちゃんの力を借りたいんだけど」
ふろしきさんは、まってました!とばかりに
「いいんですか!?いきたいいきたい!いきたいです!」
と喜んだ
「うんうん、ありがと ふーちゃん」
「あと、ゼータさん・・・は?」
なんさんの口調が、すこしくぐもったのでゼータさんに視線を移すと
ゼータさんは目をつぶって考え込んでいた
そして、なんさんに言った
「もちろん・・・私も行きます」
「だけど・・・アーカムは動けません」
「アヤさんは、とめられないので、大丈夫ですが」
「名前を出しては、いけない人が絡んでくるとなると・・・」
「アーカム財団は、手を出せないことになっているんです」
「・・・申し訳ない」
ゼータさんは、堅くまぶたをとじた
「だいじょーぶ!!皆でいったら あっという間よ!!」
「エクスペンタブルズ2よ!!」
なんさんが言うと
「にゃはははは」とたまねぎさんが笑う
消耗されるのは、ちょっとツライんだけど・・・なんさん
ゼータさんも苦笑いしながら、つづける
「なんさん、アーカムが動けないとなると ニジさんやごりっぺさんたちの居場所をつきとめるのが非常に困難になってくるんですよ・・・」
「攻めるのではなく、いつ来るか分からない敵を迎え撃つのは、不利ですし」
「時間が、あとどれくらいあるのかも、わからないし・・・」
「うん・・・気持ちは本当にありがたいんだけど なんさん やっぱ・・・」
部長の言葉になんさんは、くいぎみで
「ジャジャーーーーン!」といって
エプロンのポケットから、ピップエレキバンのシートのような紙をとりだし
得意そうにピラピラと振りかざした

「それは・・・超小型熱発電発信機・・・」
いつのまに・・・・という顔でアヤさんが、口をあけて固まっている
「さっき、ごりっぺさんに貼っといたよ!」
なんさんが、さらに得意そうに胸をはると、たまねぎさんとミコシさんが拍手をした
そういえば、ごりっぺをフライパンでナイスショットしたとき
なんさんは、ごりっぺをつっついていた
あのときに・・・・?
「部長・・・これで皆でいけるよ!」
「うん、ありがとう なんさん」
「みんなも・・・いっしょにきてくれるかい?」
全員がたちあがり、部長にむけて力強く、微笑みをむけた
こうして・・・
特攻野郎A(雨露)チームのエクスペンタブルズは
決戦に向けて、出動をきめたのであった
つづく