意識がもどらない、アナを安全な場所で治療させるため
ゼータさんが、ヘリコプターに乗せてくれた
アナはアーカム財団の24時間態勢の保護を受け、安静をたもたれると
ゼータさんは約束してくれた
ボクチンは・・・
バー「なんと」に残った
アナを一人にすることは、心配だ
だが、どのみち、ヤツラがいるかぎり、また同じような危険な目にあわせてしまうかもしれないのだ
それならヤルことは、ひとつしかない
ボクチンは心に決めた
やられるまえに、殺る・・・だ
そして、もうひとつ
ボクチンは、ひとつの疑問を晴らすためにも、バー「なんと」から席をはずせなかった
ボクチンが家をでて
バー「なんと」につき
ごりっぺが襲いかかってくるまでの、短時間で
なぜ、アナをキノコ人間にかえ
連れてくることができたのか?
連れ去り、拉致し
機械を使ってキノコ人間化し、運んでくるという手間を考えたら
とうてい時間がたりないのではないか?
ボクチンは、その疑問を部長にぶつけた
「部長・・・もしかしたら その『機械』って、持ち運びできるぐらい小型なんじゃないですか?」
「ニジさんをきずつけたボクチンを恨んで、ごりっぺの仲間がアナをキノコ人間にして」
「ボクチンを苦しめるために・・・連れてきた・・・」
「それなら説明がつく」
部長は口元にこぶしをおき、つぶやくように言った
「そう・・・かもしれない」
「いや・・・そうだろうと思う」
「僕が虹村教授のもとにいたころの、『機械』は大型トラックにも積めないぐらい、大規模な装置だったし」
「その力もよわく、望んでいる効果を期待するには、あと何十年かかる?というものだった」

大規模な装置 の図
部長の顔が一段と険しさをます
「でも、もし・・・」
「もしも『機械』が、エコバックにでも入れて、買い物気分で持ち運べるぐらいの小型化に成功しているとしたら・・・」
「たとえば、警察」
「自衛隊」
「国会」
「原子力発電所」
「その、どこで『機械』を使っても、この国を崩壊させることができる」
「!!」
バー「なんと」の店内にヒヤリとした空気がながれた
そのなかでも、アヤさんは、さらに凍てつくような瞳を部長にむけ
「そんなことは、させない」
有無を言わさぬ迫力をもった言葉を放った
にぎりしめたコブシから、赤い血がしたたり 落ちた
「うん・・・そうだよ アヤさん そんなことは絶対にさせない」
部長の目に力強く燃える、炎が見えた
つづく