この事件ののちに思ったのだが
古今、これほどまでに己の無力さに打ちのめされた主人公が、いただろうか
人類が持て余してしまうような、超高度な科学力、不可思議な力を秘めた超古代遺跡を
悪しき勢力から守り、封印する 世界の守護者「スプリガン」のトップエージェント
武術の最高峰に位置するような技を極め、仙人を目指す武道家
空間を捻じ曲げ、発射された弾丸を消し去り、強大なモンスターを一撃で沈める魔法使い
常人には決して防ぐことのできない力で、心を自由に操り、望めば一切の証拠を残さず
人間の心を完全に破壊することができる超能力者
そのどれもが、その存在を知るだけで
打たれ強さだけが自慢のボクチンを打ちのめすには、充分だろうに
さらに
極めつけの力をもった者の登場により
本日、何度目?か
またしても、ボクチンは自分の無力さを呪うことになった
まったく、なんていう日なのだ!今日は・・・
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なんさんが言ったとおり
バー「なんと」の壁にとりついていた者は、侵入を試み始めた
ダン!ダン!ダン!!
ドアを激しくうちつけてくる
壁の揺れは、いっそう激しくなってくる
ごりっぺに投げつけられ、ズキズキと痛む体で必死にドアを抑え込むボクチンは
叫ぶ、「なんさん!なんとかしてええ!!」
なんさんは、皆を集めて相談を始めた
「部長、あの人たち、どーしたらいいとおもう?」
「うーん、あーは、なっているけど、もとは普通の人だから・・・」
「怪我させるわけにいかないし・・・」
「なんさんにお願いしたら・・・」
「うん、もしかしたら死んじゃう人でちゃうかも・・・だしぃ」
「部長のスタンドでも、あんないっぱいの相手は無理っぽいよね?」
「うん・・・それに、もしかしたら効き目なさそうだよ」
「うーん・・・」
「たまちゃんは?」
「んにゃー、あんなにいっぱいはシンドイよ~」
「そうよね~・・・」
「じゃあ、アヤさん・・・は」
と、なんさんの声が聞こえた後
バー内でキラッ!と何かが光った
「あーーー!アヤさんに任せたら、切っちゃうしぃ!」
「うーーん・・・と・・・なると・・・」
「うん、やっぱここは」
「そうね」
「ミコシさん、おねがいできますか?」
・・・?
ミコシさん?
失礼だけど、京極コスプレーヤーの古本屋さんが、こんな家まるごとガタガタ揺るがすような、なにか
相手に何ができるのよ?とボクチンは心の中で悪態をついたが
ミコシさんは軽やかに返事をした
「ええ、そうですね!おまかせください!」
「うん、あんがと!ミコシっち!」
ええ~・・・まじでえ?
ミコシさん~?
ボクチンの心配はよそに、チーム「なんと」の作戦会議は終わったようだ
「ドクロッち、もうちょっとだけドアがんばってね」
と なんさんはカウンター内に戻ると、冷蔵庫から昼間 ゴリゴリと調合していた黒い飲み物をとりだし
「ミコシっち!どうぞ!」と勧めた
ミコシさんは、なんさんからグラスを受け取ると
ぐいっ!と一息で飲み干す
ええ~・・・こんなときに何、飲んでんのよ・・・もしかして、酔拳?とか?
ボクチンはもう、なんだかウンザリしてしまったが
「よし!じゃあ行くよ!!作戦開始ぃ!!」
なんさんの元気な掛け声により、妖怪語り部の反撃ののろしはあがった!
つづく
