「殺った!」
・・・
・・・・・・
「・・・?」
ボクチンのキックは男の顎を完全にとらえた
普段なら相手は、マンガのKOシーンのようにきれいに倒れるはずだった
顎を蹴りぬかれることによって、頭頂部は急激に振れ
頭蓋骨のなかで脳みそは、ぷるんぷるんの豆腐のように揺れるはずだった
立ってられるはずはなかった
「効きませんよ、残念ですが」
ボクチンの足を万力のような腕で握った男は、そう言うと
力まかせにボクチンの体ごと、引っこ抜いたかと思うと
そのままボクチンをブウン!!と投げ飛ばした
それも片手で
こうしてボクチンは、またしてもバー「なんと」の店内を飛んだのだった
ガッシャーーーン!バリン!
部長とミコシさんの間のカウンターに叩きつけられた
背中をしこたま打ちつけて、息ができない
「うわあああああああ!!ドクロさーーーん!!」
「あああーー!!ドクロッチ!それ!」
ミコシさんと部長が悲鳴をあげた
大げさだなぁ
心配してくれるのは、うれしいけど・・・
ここはボクチンが踏ん張るしかない
あのゴリラ野郎とわたりあえるのは、ボクチンしかいない
ボクチンは血を吐きながら、立ちあがろうとしたが下半身に力がはいらない
2歩3歩よろけた後、床に倒れこむ
見あげると
あの男がボクチンめがけて飛んでいた
両手を堅く組んで、頭の上に振りかぶっている
たぶん約1秒後に
その巨大なコブシをボクチンにハンマーのようにふりおろすのであろう
ああ・・・今まで生きてきた記憶が・・・
楽しかったこと、悲しかったこと、次から次へと・・・
あれ?これ?走馬灯?
あれ?この流れって
死ぬの?ボクチン
「ズッ ドォーン!!」
あれ?この感じで次回に続くのって何回目だ?
ちょっと読者さんに申し訳ないなと思いながら・・・
続く