ボクチンは この物語の一応、主人公であるのだが
ストーリー中 今だ、読者の方がボクチンを応援したくなるような、人間的魅力や
心を奮い立たせるような勇気・意志の強さなどを見せたわけではない
およそ、情けないこと言ってるなあ、この主人公は・・・とあきれられているであろう
が、こんなボクチンでも自慢として人に語れるところがある
それは、肉体の屈強さと腕力だ
中年になってから始めた空手・・・道場ではボクチンを倒せる者は一人もいなかった
誰が相手でも、どれだけ全力で打ち込んできても、ボクチンはケロリとしていた
相手がボクチンを殴り、蹴りつかれて息が上がり、動けなくなった所をたたきつぶす
それが常だった
主人公の美点が「打たれ強さ」という地味さは、どうかとおもうが
とにかく早い話 喧嘩には自信があった
突然、見たこともないような怪人が襲いかかってきたのではあるが、なんとかなると思ってた
男が右腕を振りかぶる
素人が・・・振りかぶったら次は、その腕をパンチとして振り下ろすしかねえだろうが・・・
すごい勢いで突っ込んでくるが、パンチの軌道は読める
相手の右手のパンチを左手で内側にうけながし
体の頑丈な 胸の部分で受けとめ、下方向に力を逃す
こうすると相手は、自分のつきだした右手が邪魔になり
2発目の左手のパンチが打てなくなる
体制をくずす
そこへすかさず、渾身の鉄拳をぶちこんで・・・・と
ここまで0,2~3秒でシミュレーションし
男の巨大なこぶしを左手でうけ・・・・・
たと思ったら
次の瞬間、100Kgはあるボクチンの体は、バウンドしたスーパーボールのように
バー「なんと」の壁(約4m後方 1m上空)にたたきつけられていた
オブジェのカナリヤが、バサバサと暴れ鳥かごを揺らす
あれ・・・本物のカナリヤだったのか・・・
「ああ~~~かなりやさんが!」
なんさんが言っている
「部長・・・カナリヤさんをおねがい~」
・・・って なんさん今そんな場合じゃないっしょ・・・
と 失いそうになる気を、なんとかとりもちながら立ちあがろうとした時
ギラリと光る爪を構えた、あの女がボクチンの心臓めがけて つきたててきた
ああ~~!! これ、もう
死んだな・・・
「ガギン!!」
ドクロ・・・死亡
小説「機械」
完
もちろんウソです 続きます