「どうした? チャンスニ」
「どうしたじゃないわよ」
助手席に座る私の太ももを、それとなく撫でて。
ユノはいつもの笑顔。悔しいけど、好き。
睨み付けても、ユノは全く動じない。それどころか。
私の鼻を軽くつまんで、楽しげに笑う。
「なによ・・・、もう」
「怒った顔も可愛いな」
まあ。私がこんなに怒ってるのに、気付かないどころか。
可愛い・・・なんて、よく言う。
「誰でも可愛いんでしょ? あの女だって」
「あの女?」
クラクションを鳴らされて、ユノがアクセルを踏む。
「テミンよ。男と見れば誰にでも色目使って」
最低。思わず、つぶやけば。
「お前が一番だよ、チャンスニ。だからそんなこと、言うな」
たしなめるように私を見る。諭すようなその顔も。
やっぱり・・・好きで。
意地悪。最低。女たらし。・・・思うけど。
大好きなの。肩にもたれると。
優しく、肩を抱いてくれる。家に、着いて。
車を止めてすぐ、抱き合う。あなたじゃなきゃダメなんだから。
いっぱいキスして、もつれるように家に入って。
ユノは私を抱き上げる。こういうときのあなたって本当に激しいから。
ちょっと、楽しみ。
荒々しく服を脱がされて、ベッドに押し倒される。
「私だけを見て」
キスをしようとするユノの唇を、指で止めて。
囁く。ユノは私の手を握り締めて。
お前だけを見てるよ、いつも。心配しすぎだ、チャンスニ。
お前が思うより俺はもっと、お前だけを思ってる。
言うなり、その唇が私の唇をふさぐ。