ロッピスは夢を見た。
ロッピスの家が燃えていた。
ロッピスはひとりきりでそれを見ていた。
涙を流すことなく、使用人たちの叫び声や
鳴き声が耳に入り離れなかった。
だか、ロッピスは悲しくなかった。
ロッピスは悲しいことには慣れてしまったのだ。
今迄に起こったことが悲しすぎて
悲しさとは何かわからなくなっていた。
やがて、ロッピスの家は焼け落ちて
跡形もなくなってしまった。
ロッピスは一人になった。
ロッピスには親戚もいなければ顔見知りも
友達もいない、ずっと一人だったのだ。
ロッピスは一人になることは慣れていた。
なのに、悲しみが大きかった。
お母さんもいなくなり、使用人の人もいなくなったロッピスは
本当の『ひとり』なっていたのだ。
それでもロッピスは涙を流さなかった。
ロッピスは苦しさや悲しさや涙を全部忘れていた。
ロッピスは歩いた。
あてもなくただひたすら
まっすぐ、まっすぐ歩いた。
途中、知らない人の家の庭を通ったり
深い川の中を歩いたり、泥だらけの田んぼを歩いたり
いばらの道を歩いたり、雑草だらけの道もまっすぐ歩いた。
沢山歩いたロッピスは
くつづれや疲れで足が動かなくなる日もあった。
そんなときロッピスは靴を脱いで
長めの木の棒を使って歩き続けた。
そして長い年月が過ぎた。
ロッピスはとうとう力尽きて
道の真ん中で倒れてそのまま息絶えてしまった。
「!」
ロッピスは目が覚めた。
そこは見知らぬ家だった。
そして、とても心が温かくなる場所だった。
ロッピスは夢で見たことを一瞬忘れ
すこしだけ笑ってみた。
うまくは笑えなかったが
笑っていると自分でもわかった。
「あ、よかった!起きたんだね!」
後ろから声がした。
ふりかえるとドアの近くに
さっきの少年が立っていた。
「大丈夫?」
その少年はやさしかった。
少年がロッピスに近づいた。
「!くるな!!!!」
ロッピスは怒鳴った。
少年はその場で止まった。
ロッピスは怒鳴ってしまったことを後悔した。
ロッピスは少年が嫌いなんじゃない
ロッピスは怖いのだ。
ずっとひとりで孤独だったロッピス。
人とのかかわり方を知らないのだ。
お母さん以外の人とは
話したことがないのだ。
「大丈夫。僕は君を怖がらせたいわけじゃない
仲良くしたいんだ。だから恐がらなくていい。」
少年はまたロッピスにちかづいてきた。
ロッピスは今度は怒鳴らなかったが
酷く震えていた。
「ごめんね。君はお母さんと一緒の所に
行きたいって思ったんだよね
でも、今お母さんのそばにいったって
お母さんは嬉しくないと思うよ。
僕がもし、君のお母さんだとしたら嬉しくない。」
「どんなに私のことが好きでも・・・か」
「・・・うん。やっぱり好きな人ほど
長生きしてほしいと僕は思うな。
あ、ごめんね!!
僕思ったこととか、直球でいっちゃうから・・・ご、ごめん。」
「イヤ、その方が助かる。
お母さん以外の人間と喋ったことがないし
興味もなかったから、人のこころというものが私にはわからない
だから、気持ちを素直に伝えてもらえれば
それから考えることなら、私にもできる。」
「お母さん以外!?
お父さんは!?」
「あいつの名前を出すな!私はあいつが嫌いだ!!」
「あぁ・・・ごめん。
でも、無理もないかもね。ここには、子供が少なすぎる。」
「私は人間が嫌いなんだ。
だから、会おうともしなかった。
離れたり、くっついたり、嫌ったり、差別したり
あんな団体と絡みたいと思うやつもわけがわからない!」
「確かに、人間はわけがわからないね。
僕もあんまりあわないから
誰が何を考えてるのか、全然わからなくて怖い。」
(!!なぜ!?)
「でもね、頑張ってるんだ。おもしろいんだ。
人の心を予想して、一緒のことを思っていたら
すごく嬉しくなる。
だから嫌いではない。」
(何故・・・私と一緒にいて笑顔になれるのか・・・
わからない・・・)
そのとき、ロッピスのペンダントが光った。
~つづく~
さすがにこの時間は眠いっす・・・
少年君は
名前を出したら紹介しようかな・・・