次の日、我に返った自分。
とりあえず冷静になって考えはじめた。
犬は汚れてダニだらけ。でもよく見ると柴犬?だった。
柴犬・・・血統書つきだから飼い主いるかも・・・
とりあえず命には別条なさそうと思い、一度警察に届けることにした。
もしかしたら誰か捜したりしてるかも・・・という期待も少しあった。
電話をしたら一度警察で犬を預かるとのこと。動けないこのコを預けるのはかなり不安だった。
1日警察にいて飼い主がいなければ、次の日には市の愛護センターに行くこともわかっていた。そして、愛護センターでの命の期限もわかっていた。
全部わかっていながらも、預ける自分は最悪だとも思った。
でも、私の中での気持ちはその時からすでに決まっていた。
「飼い主が現れなければ私が飼い主になる。」この状態でこのコを飼えるかどうか不安もあったが、飼うと決めたのは上司である院長の一言だった。病状について相談した時に院長は言った。
「引き取れば?できるでしょ」
たったこの言葉。
世話ができるかできないか・・・と問われると、「できなくはない」ということだった。
犬をみる限りなんとなく捨てられたのだろうということも予想していたし、体の状態から歩くことはできないだろうと感じていた。愛護センターでも、成犬を譲渡するk9ウォーカーというとり組みもあるが、おそらくこのコは対象外になる。
一生介護が必要になるからだ。そう考えた時に、世話ができるなら飼おうという結論になったのである。
それに何故だかわからないが、もうその犬に愛情が湧きはじめていた。
私は説得する時間が欲しかった。
旦那を説得する時間が欲しくて犬を預けたのも理由の一つだった。
一体なんてきりだそうか。明らかに手のかかる犬であり、これからの飼育代もばかにならない。貯金だってない。娘もまだ7か月でこれからますます目が離せなくなる。そう考えるとなかなか話せないでいた。
愛護センターで日ごとに掲載される迷い犬の写真を眺めながら1日2日と過ぎて行く。
話せないままで3日が過ぎた。
犬を預けて4日目の朝に、旦那が私に言ってくれた。
「飼おうか」と。
この3日間、毎日私が悩んでいることもわかっていたし、飼いたいと思っていることも旦那は気がついていた。
旦那に感謝し、私は早速愛護センターに連絡を入れ、午後に犬を迎えにいくことにした。
